1番センター鳥海純 6R 0分35秒、TKO勝利で復帰戦を飾るも…? | ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

ボクシング&ロック野郎 higege91の夜明けはまだか?

人生の曲がり角に遭遇したボクシング&ロック・マニアhigege91。暇を見つけてはホール通い。ああ、俺は戦っているか!? ああ、俺は俺の求める『俺』に近づいているのか!?

2005 10 24 チャレンジ スピリット シリーズ  日本バンタム級3位 鳥海純 VS 同級 高野旭

鳥海 高野 ポスター


…負けられない2人の三十路ボクサーの対決…。王座陥落した復帰戦に当たる今回の後楽園ホール。…やや客の入りが悪いが、これが現実と言うものなのだろう。しかし、HIGEGE91はこの「復帰戦」という舞台こそ、ある意味、目が離せない。特に、あの「まさか」のクマトーン戦敗北から、前・東洋太平洋王者がどのように「自分」を追い込み、「結果」を出すか…?これが「人間ドラマ」としてのボクシングではなかろうか…?


 チャンピオンがチャンピオンでなくなったとき、手のひらを返したように周囲から人がいなくなる…って話は良く聞く。実際のところは知らないが、そんな明と暗を経験した鳥海がどんなファイトをするか?それでも応援してくれる後援者たちに、王座奪取のときにプロポーズした彼女に、ボクシングファンたちに、どんな「形」で「今」の自分を示せるのか…?非常に興味深い1戦であった。また、対戦者の高野旭もまた31歳で二人は同い年であるところもなんとも言えない…。高野選手の写真が昨日付けの記事にアップしてあるが、「いい顔」なんだよなぁ…。アマエリートとしてプロのリングに上がった鳥海に対して、高野は『叩き上げ』っぽいのだが、どうなんだろう…?その戦績に根性と努力を垣間見ることが出来る…。



高野旭 1974年生まれ 長野県出身 24戦11勝11敗3分… 


 ああ、本当にリングが好きなんだな。こんなに負けていても、どうしようもないほど、好きなんだろうな…。



リングの上が、俺達の 生きる場所。



・・・とは、今回のパンフレットのキャッチフレーズなのだが、鳥海にしても、高野にしても、31歳で戦う彼らはそれを失うことほど恐ろしいことはないのだろうな。他に何かあればいい。でも、青春の全てをリングに、拳に賭けた彼らにとって、恐らく、闘うことを奪われた時、そこに横たわるのは「空虚」なのかもしれない。だとしたら、当たり前だが負けられない。絶対に負けられない。僕には果たして「人生」を賭けた「何か」があるだろうか?…何の為にこの「人生」があって、なぜ、こうも僕は「ボクサー」にこうも惹かれ、慰められ、奮い立たされ、その「答え」を求めようとしてしまうのだろうか…?


前東洋太平洋バンタム級王者・現日本バンタム級3位 鳥海純 74年生まれ 29戦23勝9KO5敗1分…。


 前座試合から「KOシーン」が多かった今回の興行…。不穏な気配。予想外の結果が生まれる予感…。

特にセミファイナルの日本バンタム級7位・河野公平のKOは凄まじかった。対戦相手はペッチダム・シスサイソン(タイ)。戦績は不明だが、まともなボクサーっぽく見えた。ムエタイ上がりかもしれないが、とにかく、河野のハンマーのようなボディーフックから顔面への連打で2R1分7秒でTKOだったわけだが、倒れたまま起き上がることが出来ず、担架に乗っての退場となった。最高の出来だった。本当に強かった。驚いた。


 …で、メインイベント。高野入場。ベテランらしい、落ち着いた風情。鳥海入場。こちらも落ち着いている。しかし、前回のクマトーン戦では落ち着きすぎていてエンジンが掛かる前にペースを奪われ、さらにダウンを奪われて負けたんだよな…。立ち上がりが要注意だ。高野としたら出だしから「全開」でいきたい。そんな作戦が有効だろう…。



R1 カーン。ゴングが鳴り、積極的に出て行ったのは高野だ。鳥海はなんだか身体が少し重そうな印象。やはりスロースターターなのか?…また、「見過ぎて」ペースを失ったりしないだろうな…!? 高野のジャブが思いのほか当たってる印象。…鳥海は距離を測っている感じ。…なのだが、細かいのを貰ってしまう。なんだ、なんだぁ?…が、R終盤には打ち終わりに踏み込んでのショートの連打を打ち込み、それはかなりの有効打で好印象。うーん、高野のプレッシャーは良かったが、有効打の見栄えのよさで鳥海を支持。10-9

鳥海VS高野2

R2 高野のジャブは思いのほか当たる、が、ダメージを深く与えるその後に繋がらない。鳥海は絶好調…って様子でもない。ディフェンスが悪い。カウンターを狙うとそうなってしまうのか分からないが、細かく貰い、時には追い詰められる。まだ「左」は炸裂しない。鳥海の武器は「早い左ストレートカウンター」だ。狙いすぎ?…とは言うものの、コンビネーションの速さと、狙いすました高野の「打ち終わり」に踏み込んでの連打をまとめるあたりは「前OPBF王者」の技有だ。しかし、高野も根性で接近戦を挑む。悪くない。ポイントは鳥海に行くが、1っ発で形勢を変えそうな力を秘めている。高野の逆転の可能性は高い。その脆さ、危うさが鳥海にはついて回るのは否めない。…クマトーンの時は、その脆さ、危うさが露呈された結果だったとも言える。鳥海優勢だがまだまだ分からない。高野の根性次第では…? 鳥海 10-9 ※このR中に高野が右瞼をカット、鳥海の有効打によるもの也。

鳥海VS高野

R3 …高野が突っ込み、鳥海が距離を保ってチャンスに踏み込む展開が続く。高野としてはガチャガチャ打ち合いたい。鳥海は身を翻して連打、さらに、ズドン!!…ああ、高野ダウン!! 左ストレートを正面から受け、ニュートラルコーナーを背に倒れこんだ。真っ直ぐに下がっちゃったのか?…サウスポーで格上の鳥海のスピードに対応し切れなかったダウンだった。高野は起き上がろうとして、「一瞬」身を起こそうとするも、そのさらに「一瞬」、意識が身体を離れたような、「気持ち良さそうな?」、遠くを見るような表情をみせた。…僕たち観客にとってはまさに「0.5秒」の一瞬に、ダウンした高野にとっての「0.5秒」の中には「夢?」なのか、「幻覚?」なのか、何かがよぎったように僕には見えた。…それは天井から吊るされた無数の眩しい照明の向こうに、何が見えたのだろうか…?…ああ、高野がんばれ!! 高野、立ち上がる。足元はしっかりしているようだ。タイミングと方向、角度が抜群だった。鳥海、ここでチャンズと見て突っ込む…、が、高野は激しく応戦する。手数も減らないし、パンチもまだ重そうだ。逆に鳥海が測り間違った距離で高野のパンチを受ける。高野、ここは凌いだ。当然ダメージはあるだろう。鳥海のパンチは重そうではないが、さすがに連打も浴びてるし、ダウンも奪われた。高野としては勝負を長引かせるわけには行かない。鳥海10-8 ※鳥海、偶然のバッティングにより右目をカット。

鳥海復帰戦 インターバル


R4 高野が意地を見せる。鳥海の保とうとする距離を踏み越えて接近して左右を振るう。さっきのダウンはどこへやら…。ボデー打ちにショートのアッパー、ステップのいいはずの鳥海を追い詰める場面が見られた。負けずと鳥海も連打で応戦するも、アグレッシブを貫いた高野の攻勢を支持したい。いい根性だと思った。グッと来た。高野10-9


R5 しかし、冷静さを取り戻した鳥海、自分の距離で、自分のタイミングで高野を圧倒し始める。相変わらずジャブを浴びるも、右の大きなパンチはブロック。鳥海の出入りのボクシングが有効打を生み、さらに、足を止めての打ち合いにも応じる。手応えがあるのか、高野のダメージが深いと見てか…?鳥海の攻勢10-9


R6 三十路対決の終焉は、あっという間に訪れた。ズドン!! 0分36秒だった。鳥海の左ストレートが高野の「チン?」に炸裂!!ド正面からガードの空いた顔面に思い切り踏み込んでの左ストレートだった。高野はパンチを打ちかけてたのかもしれない。だとしたら、威力は倍増である。モロに入って堪らずダウン。レフリーはカウント途中で試合終了を宣言。

鳥海 高野をKO


鳥海は再起戦を6RTKOで飾った。先ずは良かった良かった。


 あまり時間がない。もう31歳。後がない。世界ランクをゲットするには、再び東洋太平洋王座を奪取するか、現日本王者、サーシャ・バクティンに挑むか…、またはだれか世界ランカークラスの強敵との強気なマッチメークで果敢にアタックするか?いずれにしても、残酷なようだが厚い壁をもう1度破らなくてはその「先」はない。現・WBC世界王者 長谷川穂積の背中は正直、今はもう霞んで見えない。サーシャは返上したがっているようだが、サーシャ以外の誰かと決定戦で争って日本王座を手に入れても長谷川には、まだ、肉迫できない。正念場である。クマトーンがツニャカオと奪われたOPBF王座をかけて闘う。その動向にも注目だ。とにかく、もう1度、「桧舞台」にあがるには、修羅場を潜りなおす必要があるのだ。突き進め、鳥海純!! 今までだってそうだった。負けてからさらに強くなってきた。…しかし、今夜はパンチくらいすぎてなかった?ちょっと心配だったのは「立ち上がり」と「見過ぎ」の傾向…。それと、ディフェンスだ。カウンターは諸刃の刃、とは言え、相手に「1っ発」があったら、剛打で鳴らす敵だったら、かなり今夜の出来ではヤバイ感じがした。どうなのかな…。


鳥海VS高野3


…ああ、高野選手、お疲れ様でした。感動しました。その『前進魂』は観ている人たちを唸らせたと思います。僕も「もしかして…」って随所に思いました。ご苦労様でした。今後は応援したいと思います。ありがとう。


 …さて、しばらく観戦できないな。静岡で地方ロケだし、ああ、退屈だな。…って「仕事」じゃないか!?


 働かざるもの喰うべからず…!!


…で、気付いた方はいるだろうか?今回の観戦記の写真が良くなったことを…。光学12倍、デジタル48倍ズーム機能搭載カメラ買っちゃいました。…だって、世界王者がそこにいるのに豆粒みたいな写真しかゲットできないなんてどうしようもないって思ってたんです。ちょっと充実。しかし、写真とるのって難しい。もっと鍛錬しなくちゃな…。

鳥海ガッツポーズ …ピンが来てなかったぁ


ボクシング最高!!


 つづく