学校の先生から学ぶ、相手が自発的に行動を変えたくなる注意のコツとは? | ZACグループ代表取締役社長・金森秀晃オフィシャルブログ

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株式会社ZAC社長 金森秀晃のブログ。
人事制度構築、教育・研修サービスとその現場から得た気付きについて綴っています。
企業研修・コンサルティング・スクールのことから、大好きなおやつの事まで幅広いブログです。

 

「人の迷惑になるから止めなさい!(静かにしなさい!)」
親御さんが子供を注意するときの代表的なキラーフレーズですよね。
(時代と共に若干変わりつつあるかもしれませんが)
私も子供のころ毎日のように言われたものです(;'∀')

以前、小学校の教員をなさっている方のお話を伺う機会がありました。
小学校はクラスに先生1人に対して子供たち40人前後という大所帯です。
先生という仕事は児童の特性と生活背景の諸事情を把握しながら導くという大変なお仕事ですよね。

教員歴20年近くで中堅どころのその先生は
「子供たちの吸収力はスポンジです。授業では教科書の知識を教えるだけではなくて”前提”を入れていくことが大事なのだとようやっと気づきました。」と話してくださいました。

どういうことかというと・・・
同じ事象に対して、子供たちへの伝え方を指摘から動機付けに変えたのだそうです。

例えば、授業中に騒いでいる児童がいたとしましょう。
先生としては静かにしといてほしい状況です。

指摘の場合は「●●さん、みんなの迷惑になるから静かにして!」と先生が注意します。
一方で動機付けの場合は「●●さん、この授業はみんなが~~な人になるのに役立つ話だよ」と先生が伝えます。

いかがでしょうか・・・?
指摘の場合での先生側の前提は”あなたは周りに迷惑をかけている人だよ”
というメッセージが込められていそうな気がしませんか?
結果、児童は”先生から注意されたから仕方ないけど黙っとくか・・・”となるでしょう。

一方、動機付けの場合での先生側の前提は”将来、人の役に立つ広い視野を持った人になれるはずだよ”というメッセージに取れそうです。
結果、児童は”そうなりたいし、静かに話を聞こう”となるでしょう。

このように行為自体は同じに見える場面でも、発するにあたっての思考は全く違うものになりますよね。
この違いは前者は”今”で”後者は”未来”に視点があることから生じていると思います。
(もちろん、緊急時には指摘してすぐに危機回避をせねばならないときもありますが)

先生は「ついつい目先の管理だけをしてしまった方がラクはラクだし、そういう注意をしてしまうこともあります。
ですが、子供たちは大人がどういうつもりで自分たちに言葉をかけているか本能的に感じ取ってると思うんです。
だからこそ、私の方でもどういうつもりで声掛けをしてるか前提を大事にしてるんです。」と仰っていました。

相手が変わることを促す前に自らのアプローチを変え、結果として相手の思考が変わって変化していく。
”期待せずに信じる”とはまさにこのことなのだなと学ばせていただきました。

先生にとっては半紙を一枚ずつ積み重ねていくような感覚にも思えそうですが、
子供たちが大人になった時に”あれがあったから今の自分がある”と自分を信じる礎になるのでしょうね。

人事コンサルタント
金森 秀晃