ZACグループ代表取締役社長・金森秀晃オフィシャルブログ

ZACグループ代表取締役社長・金森秀晃オフィシャルブログ

株式会社ZAC社長 金森秀晃のブログ。
人事制度構築、教育・研修サービスとその現場から得た気付きについて綴っています。
企業研修・コンサルティング・スクールのことから、大好きなおやつの事まで幅広いブログです。

 

「クラッシャー上司にだけは、絶対になりたくない」

そう思っているのに、気づけば部下が次々と辞めていく。
あるいは、部下の顔色が明らかに曇っている。
そんな相談を、私はこれまで何度も受けてきました。

そんな相談をしてくれる方ですから全員全く「悪い人」ではありません。
むしろ真面目で、責任感が強く、部下の成長を本気で願っている人がほとんどです。
それなのに、なぜか「クラッシャー上司」と呼ばれる状態に陥ってしまう・・・

今日は、そんな方に向けて、「こうすれば大丈夫!」
という具体的な3つの処方箋をお伝えしてみたいと思います。

実際、クラッシャー上司と聞くと、
パワハラ気質で人の気持ちがわからない人物を想像しがちなのですが、
そういうわけでもなく、以下のような特性を持った方が多い印象です。
(もちろんそうでない方もいらっしゃるのですが・・・)

・高い基準を自分にも部下にも課している
・求める水準が高いからこそ、できない部下に苛立ちを隠せない
・部下の気持ちもわからなくはないけれど、言わないと仕事にならないと思っている

これらはすべて、ある意味責任感があるからこそであり、
明確な悪意のようなものはないでしょう。
だからこそ本人は「自分が悪い上司だ」という自覚を持ちにくく、
周囲から指摘されて初めて愕然とすることが多いのだと思います。

ただ、ここで一つ、はっきりお伝えしておきたいことがあります。
「こうあってほしい」というスタンダード、理想の姿を持っていること自体は、まったく悪いことではありません。
むしろ、それがあるからこそ部下を育てようという熱意が生まれます。
変える必要があるのはスタンダードそのものではなく、
そのスタンダードから生まれるエネルギーの「伝え方」です。

早速、その効果的な「伝え方」をみていきましょう。

処方箋1:スタンダードをスモールステップにする

高い基準を持つことは良いことだとお伝えしましたが
問題は、その基準を無意識に一足飛びに部下へ求めてしまうことです。
「本来できてほしい姿」と「今の部下ができる姿」の間に大きな段差があるまま指導すると、部下はその段差の高さに押しつぶされます。

ゴールとしてのスタンダードは下げなくて構いません。
そのかわり、そこに至る道のりを細かい階段に刻み直してください。
「まずはここまでできればOK」という小さな到達点を、
部下の今の位置から一段ずつ設計する。
理想は変えず、歩幅だけを変えるイメージです。


処方箋2:注意する回数を1/3~1/10に絞ってみる

気になった瞬間ごとに、思いついた指摘をすべて口にしていないでしょうか。
「気づいたことは伝えるべき」なのはその通りなのですが、
指摘の総量が多すぎると、部下にとっては「常に監視され、否定され続けている」という体験になります。

スタンダードが高く色々なところが気になる方は、具体的な目安として、
「注意したい」と感じた回数の1/3程度に絞って口に出す、というルールを持ってみてください。(自分が細かいタイプと感じる場合は最初は1/10程度に絞ってもいいかもしれません)
残りの2/3は、心の中で観察するにとどめます。
これは甘やかしではありません。
本当に伝えるべき1/3を選び抜くことで、指摘そのものの重みと効果が増すのです。


処方箋3:自分の中の隠れた「被害者性」から生まれる「攻撃性」に気づく

これは例えば、今自分がものすごく大変な状況におかれていたりすると
「自分がこんなに大変なのだから、このくらいやってもいいだろう」というような
被害者性から生まれる攻撃性のことを指しています。

若い頃に大変なパワハラ環境の中で生き残ってきた方だったりすると
無意識にそうした感覚が生まれてしまうことがあるのだそうです。

この被害者性から生まれる攻撃性が入ってしまうと
得てして効果的な指導にはなりにくいですから、
「自分にはそんな被害者意識はない」と感じたとしても、念のためゼロだと決めつけずに、
「もしかしたらあるかもしれない」という前提で自分を疑ってみてください。
この一呼吸が、指導の言葉を変えるかもしれません。


いかがでしたでしょうか。

改めて最後にお伝えしたいのは、
実は「クラッシャー上司になりたくない」と悩んでいる時点で、
すでに大丈夫だということです(笑)
悩み、振り返り、変わろうとする姿勢そのものが、
すでに部下との関係を守る力になっています。

ぜひ高いスタンダードを持ち続けること自体は、これからも大切にしてください。
そしてそこから生まれるエネルギーの出し方・使い方・届方を工夫して、
人材育成のプロフェッショナルになっていってきましょう。

人事コンサルタント
金森秀晃

 

こんにちは!
管理部の佐々木です。
今回は私がブログをジャックします。

忙しい日々が続くと”もったいない時間の使い方をしてしまったな”
などと頭をよぎることが増えたりしませんか?

ここ最近、時間が気になっていたこともあり
先日ふと思い立って「モモ」という児童書を読み返してみました。
読んだことがある方も多いかと思いますが、人々から時間を奪っていく灰色の男たちとモモが対峙するというストーリーです。

私も小学生の頃に一度読んだことがあるのですが、当時は
「モモが何かと戦ってるけど、何と戦ってるんだろう・・・?」というのが率直な感想でした。
今思えば、時間という目に見えない概念と戦うというのが不思議で仕方がなかったのかもしれません。
でも大人になった今、改めて読み返してみると当時とはまったく違う感覚で読んでいる自分に気づきました。

作中では、灰色の男たちは人々に「時間を節約すれば、その分あとで豊かに暮らせますよ」ともっともらしく語りかけ、人々から時間を奪っていきます。
奪われた人たちは、日々の生活からゆとりや会話が消え、常に何かに追われるようにせかせかと動き回るようになる。
けれど本人たちは、自分が時間を奪われていることに、なかなか気づけないんですよね。

読みながら、なぜ子供の頃はこの話にまったく響かなかったんだろうと考えてみました。
いろいろと理由がありますが、時間を有意義か否かを評価するという概念もありませんでした。
ただ最大の理由としては、あの頃は時間を全部自分のために使っていて、「奪われる」という感覚自体が存在しなかったからだと思います。

それを思うと大人になってからは、「奪われる/奪われない」という2択で時間を捉えるようになっていました。
仕事、家族、付き合い、社会的な役割。関わる物事が増えるたびに
「また時間を無駄にしてしまった」
「忙しいから自分の作業時間は確保しなきゃ」といった感じで奪われないように躍起になっていたかもしれません。
今回読み返していても、最初のうちは「自分の時間を灰色の男たちに奪われないようにしないと」という感覚で読んでいました。

ですが読み進めるうちに物語の中でモモが灰色の男たちに立ち向かえたのは、「時間を奪われないように」と身構えていたからではないのだと感じました。
モモには、ただ人の話をじっくり聞く、目の前の相手と一緒に過ごす、という自分なりの"ありたい姿"があった。
その姿勢があったから、周りに振り回されて動くのではなく、時間の中心に自分が存在していたのかもしれないと思いました。

これは自分にも同じことが言えるなと思い、今回の気づきを整理すると、ポイントは2つあると思いました。

・「奪われる/奪われない」という視点は、常に受け身になる
今回のケースであれば、何かをやる前から「これは自分の時間を奪うものか、そうじゃないか」で判断するということです。
結局は目の前の物事に対していつも身構えることになってしまいます。

・先に「自分はどうありたいか」を持っていれば、奪われた感覚自体が生まれにくい
関わる物事が多くても少なくても、その時間を自分がどう過ごしたいのかが先に決まっていれば、奪われる/奪われないに焦点が向くのではなく、自分のありたい姿に沿っているかどうかで時間を捉えられるようになります。

小学生の頃は、この物語を「怖い大人たちから時間を守る話」として読んでいたのだと思います。
大人になった今読み返すと、「時間を守るかどうか」よりもっと手前に、「自分がどうありたいか」という問いがあったのだと気づかされました。

子供の頃に響かなかった本が、大人になって急に刺さってくる。
そんな経験は、皆さんにもあるかと思います。

「時間がない」と感じたときこそ、奪われないように守ることを考える前に、自分がどうありたいかを一度言葉にしてみると、時間の感じ方そのものが変わるかもしれませんね。

 

「もっとブレない自分になりたい」

そう思ったことはないでしょうか。

評価されないと落ち込む。 比較されると自信を失う。 キャリアに悩む。
そんな自分を、弱いと感じてしまう人は多いと思います。

先日、モデルの冨永愛さんとフィギュアスケートの坂本香織さんの対談を拝見する機会がありました。
テーマは「インナーストレングス」、内なる強さについてです。

歩んできた道はまったく違う二人でしたが、話には共通点がありました。

それは
「強い人とは、ブレない人ではない」
ということです。

むしろ、
「ブレても、また自分の軸に戻ってこられる人が強い」
というおっしゃっていました。

お二人とも、一度は自分の強みを見失った経験を語っていますが
周囲の一言や経験を通じて、
「自分は何を大切にしたいのか」 「自分はどうありたいのか」
をもう一度見つけ、戻ってくる。
その繰り返しが、その人の「軸」になっていくのだということを表現されています。

これは自分らしさを求める時代の
今後の組織作りにおける有意義な視点になるのではないでしょうか。

組織が目指すべきは、
「ブレない人を育てること」ではなく、
「ブレても戻ってこられる人を増やすこと」
であるということです。

人は、生きていれば必ず迷うでしょう。
そんなときに「自分で考えろ」と突き放すだけでは、自分の軸を取り戻せません。
必要なのは、自分で考え、選び、迷い、そしてまた戻ってこられる環境です。

一つ間違えてはいけないのは
辞めさせたくないからといって
「組織に依存させよう」「組織に頼らせよう」というような考えで
組織を作ることです。
これは間違いなく選ばれない組織になっていくと思います。

その組織にいることで、自分らしくいられる。
自分の人生を、自分でコントロールできている感覚を持てる。
そう思える環境こそが、人の内なる強さを支えるのだと思います。

組織にいながらも「自分の軸」で生きられること。
それが、これからの組織に求められる姿ではないでしょうか。

そのために必要なのが、
「組織の価値観と自分の価値観をすりあわせる場」

自分が乗っている船(組織)の価値観や向かう方向性を確認し、
ただやらされているのではなく、自分はその船で
どのような役割を果たして、どうありたいのかを
仕事を通じて発見していくプロセスに大きな価値があります。

そのためには組織から求められることが不明瞭ではいけませんし、
それを踏まえて自分は何が嫌で何が好きなのかが明らかになっていけば、
ブレることを容認しながら、どんどん強くなる人を育てていくことができます。

「ここにいるだけで、自分らしく、人として強くしなやかになれる」

これこそ最高の採用ブランディングと言えるのかもしれませんね。

人事コンサルタント
金森秀晃

「現場ごとに事情が違うから、ルールでは縛れない」
「いや、ルールがないと現場がバラバラになる」

組織づくりの現場では、こんな議論がよく起こりますよね。

今日はこの問いについて・・・
ムキムキの方といえばこの方!
アーノルド・シュワルツェネッガー氏(以下、敬愛の気持ちを込めてシュワちゃんと書かせて頂きます)が
「直感の原則」と呼んでいる考え方から一緒に考えていきたいと思います。

まずその考え方についてですが、
シュワちゃんいわく、トレーニング初心者のうちは、
やはり決められたプログラムを継続することが非常に大切なのだそうです。
基本的なフォームを身につけ、同じ種目を繰り返し、少しずつ重量を伸ばしていく。
つまり、まずは「型」を身につける。

そして厳格に型を守り、経験を積んでいくと、
毎回同じコンディションではないことが分かってきます。

今日は身体が軽い。いつもより重量が上がる。
逆に、今日は身体が重い。普段の重量が異様に重く感じる。
そういうときは、重量やセット数、種目の順番などを調整する。

これが「直感の原則」と呼ばれるものなのだそうです。

いわずもがな、これは決して「気分で好きなようにやる」という話ではありません。
目指す方向や基本の型は守りながら、
その日の状態に合わせてやり方を変えるということです。


実はこれ、組織づくりにも同じことが言えると思うのです。

「現場ごとに事情が違うから、ルールでは縛れない」
という気持ちもわかるのですが、基本の型がないと
ズレにも気づくことができなくなってしまいます。

型どおりにやってみる。うまくいかない部分を洗い出す。
その原因を分解する。共通するパターンをまとめる。
そして、チームで共有する。

型ありきで、そのズレを共有し、形式知化していくプロセスにこそ価値がある。
弊社では、これをCABA-Sモデルと呼んでいます。

そういう意味では、
・“ある程度”効果的な型と実践
・ズレを確認するための日々起こるケース
・ズレを共有して型を見直す場
この3つがあれば、組織はどんどん強くなっていくということですね。

同じプロセスを、筋肉に革命を起こしているシュワちゃんが
おっしゃっているので間違いありません。

ぜひ私たちもこの法則に習って、強靱な組織を作っていきましょう。

人事コンサルタント
金森秀晃

 

こんにちは、人事コンサルタント・講師の三上絢愛です。
今日は金森 社長のブログをジャックいたします。


今年も上半期が終わり、リーダーの立場の皆さんにとっては
そろそろ成果が出てきてほしい時期かと思います。

リーダーや先輩という立場になると、つい言ってしまう言葉はありませんか?

「何か困ったことがあったら、いつでも言ってね!」

よかれと思って伝えたこの言葉。
しかし、実際には部下から何も相談がないまま時間が過ぎ、
「えっ、こんなところで躓いていたの…?」
「それくらいもっと早く言ってくれればよかったのに」(;'∀')

と頭を抱えた経験、一度はあるのではないでしょうか。

「声をかけたのに、なぜ相談してくれないんだろう?」とモヤモヤしてしまいますよね。


実は私自身も、過去にまったく同じ悩みを抱えていた時、
当時の上司からかけられた言葉にハッとさせられたことがあります。

「あなたが差し出している『階段』は、部下にとっては
見上げることしかできない急勾配な段差かもしれないよ」

上司側からすれば「一段登って、いつでも声をかけてきて」
というフラットな場づくりのつもりでも、経験の浅い部下からすれば、
その一歩を踏み出すハードルが非常に高くなっていることがあります。

仕事の難易度や「どれくらいなら聞いていいのか」という捉え方は人それぞれであり、
まさに「階段の1段の高さに対する感じ方(価値観)」は人によって全く違うのです。

だからこそ、部下との距離を縮めるためには、自分が設定している
「場の段差」を丁寧に見直すことが欠かせません。

具体的には、相手が無理なく足を踏み出せる高さにまで、
場の設定(階段のステップ)を細かく刻んであげることがポイントになります。

自分基準の「このくらいなら登れるだろう」という思い込みによる場づくりが、
無意識のうちに相手との間に高い壁を作ってしまっている可能性があるということです。


この気づきを得てから、私は関わり方を大きく変えました。

これまで、新しいイベントの企画を任せる際、
「じゃあ、この方向性で進めてみて。困ったら言ってね」と渡していましたが、
変更後は、相手が登れる高さまでステップを分解し対話の場を設定するようにしました。

具体的には、「企画を進めるにあたって、まずは『目的の整理』『ターゲットの設定』『構成案作成』
の3つのステップがあるけれど、どこまでなら自力でイメージできそう?」
と全体のステップを共有しながら、お互いの認識を擦り合わせるように問いかけてみました。

すると部下から、
「実は目的とターゲットをどう紐付ければいいかが分からなくて…
『何がわからないのかが分からない』状態でした」と、
素直な本音を明かしてくれたのです。

「困ったら言ってね」と急な段差を前に提示されていた時には言えなかったSOSも、
登れるステップまで場を細かく設定してあげることで、
部下も安心して自分の弱みや疑問を口にできるようになりました。


「いつでも声をかけてね」というオープンな姿勢はもちろん大切です。
ですが、もし部下との距離を感じたり、なかなか相談に来てくれないと感じたら、
「自分が用意している場(階段)の高さは、相手にとって高すぎないか?」
と見直してみることも必要かもしれません。

部下が安心して一歩を踏み出せるように、場の設定を小さく刻んであげることが、
最終的には大きな達成感やモチベーションにもつながります。

・部下との距離の縮め方がわからない…
・世代間ギャップがありどのようにコミュニケーションをとったらいいのか戸惑う… など

同じ課題でお悩みの方は是非ご相談ください。


人事コンサルタント
講師 三上絢愛

 

「うちのスタッフ、正直そんなに仕事できないのに、自己評価だけは高いんですよね。
自己認識がズレていることを、どうしたら理解させられるのでしょうか。」

管理職の方から、こういう相談をよく受けます。

でも、最近の脳科学の研究を知ると、
もしかしたら“矯正しなきゃ”から、”使える!!”となるかもしれません。

というのも・・・
講談社ブルーバックス『世界一面白い脳の講義』によると、
人は誰しも自分の能力や性格を「平均よりわずかに上」と評価する傾向があるそうです。
心理学ではこれを「優越の錯覚」と呼びます。

これは一部の自信家だけの話ではなく、多くの人に共通する心の働きであり、
脳内のドーパミン系や神経ネットワークの働きとも結びついていることが分かってきています。
つまり、意志の問題である以前に、脳がもともとそう働くようにできている、という側面があるのです。

書籍では、適度に自分を肯定的に見積もることは、
「自分にもまだできることがある」という感覚を支え、
困難な状況でも行動を続ける心の足場になり得る、
そのように説明されていました。

つまり、自己評価と他者評価にギャップがあること自体は、
脳の仕組み上むしろ自然な状態で、
問題にすべきは、そのギャップを本人及び組織がどう扱うかということですよね。

例えば
ギャップを突きつけて「過大評価している」と指摘するだけの面談は、
相手の心の「足場」を壊すだけで終わります。

傷つけるから言わない、みたいなアプローチは論外なのですが
(管理者の責任を果たしていないからです)、
その自信をつかって、多少勘違いさせたままやるべきことをやらせる
推進力に変えてしまうというマネジメントが効果的ということが
科学的に証明されているということなのかなと思いました。

できるという気持ちを使って、
本来その方が生きる行動を取らせているうちに
認知行動療法的に解釈もそうなっていく可能性は高いですから、
その瞬間、優越の錯覚は成長のエンジンに変わります。

そういう意味では
部下の自己評価に違和感を覚えたとき、「困った性格」で片づけるのではなく、
「そのズレを成長のエネルギーにどう転換できるか」という視点に立つ。

これこそが、育成型マネジメントの本質と言えるのかもしれません。

自己評価の高い部下に悩んでいる方はぜひ試してみてください。

人事コンサルタント
金森秀晃

 

 

 

先日、「質問しているだけなのに、なぜか面談が取り調べのようになってしまう」というテーマで動画を出しました。

一生懸命質問しようとするほど、
「次はこれを聞かなきゃ」
「このことを確認しなきゃ」
と、一問一答のようになってしまうことがありますよね。

その背景には、自分が知りたい情報に合わせて質問してしまう「確証バイアス」があり、

動画では、これを防ぐために、
「広げる→掘り下げる→確認する→合意する」
という質問の流れを紹介しました。

そんな動画を見てくださった方から、こんな質問をいただきました。

「言っていることは分かるのですが、面談の目的がはっきりしていると、
『これを聞かなきゃ』『これを分からせなきゃ』というモードになってしまいます。
結果、確証バイアス全開の質問を繰り広げてしまいます。
雑談ならできるのですが、こういう場面ではどうしたらいいのでしょうか?」

確かに、こういう場面ありそうですよね・・・!

むしろ、面談の目的を真剣に考えている人ほど、
陥りやすいのではないでしょうか。

そんな方向けに1つ面談を上手に進めるポイントをご紹介したいと思います。

それは面談を「時間軸」で3つに分けて考えてみるということです。

仮に30分あったとしたら、10分・10分・10分でわけて
3つのステップで面談を進行していきます。

① まずは、相手の価値観をとことん聞くフェーズ

最初から「どうしてほしいのか」を伝えようとしてはいけません。

まずは、
「なぜそう思っているのか」
「何を大切にしているのか」
「どういう状態を望んでいるのか」
を、とことん聞くフェーズです。

ここでは、相手を変えようとしないことが大切です。
「なるほど、あなたはそう考えているんですね」
と、まず相手の世界を理解する。


② 次に、相手の価値観を「目的」と「手段」に分けるフェーズ

話を聞いていくと、だんだん、
「この人が本当に大事にしたいのは何なのか」
が見えてきます。

例えば、
「患者さんに迷惑をかけたくないから、自分が全部やります」
という人がいたとします。

この場合、
目的=患者さんに迷惑をかけたくない
手段=自分が全部やる
と分けて考えることができます。

ここを分けるだけで、面談の見え方が大きく変わります。


③ 最後に、「目的を叶えるために、その手段でいいのか」を一緒に考えるフェーズ

ここまで来て、初めてこちらの意見を伝えます。
「患者さんに迷惑をかけたくない」という目的は、私たちも大切だと思う。
ただ、
「その目的を叶えるために、本当に『自分が全部やる』という方法が一番よいのかどうかを考えてみたい」

つまり、
「あなたの考えは間違っています」ではなく、
「あなたが大切にしているものを守るために、その方法で本当にいいですか?」
という話にするわけです。

ここが、とても重要だと思います。

面談で確証バイアス全開になってしまうのは、
もしかすると、この「ステップ」がなく、
いきなり③から入ってしまっているかもしれませんね。


そうすると、当然、
自分の結論に相手を持っていくための質問になってしまいます。

だからこそ、

①価値観を聞く

②目的と手段を分ける

③目的を叶えるために、手段を一緒に考える

という順番が大切なのだと思います。

面談は、相手を「説得する時間」ではありません。
相手が何を大切にしているのかを理解したうえで、
「その大切にしたいものを、どうすればもっと実現できるのか」
を一緒に考える時間です。

もし面談で「ちゃんと聞かなきゃ」と思うほど、
質問が取り調べのようになってしまう方は、
ぜひこの3ステップを試してみてください。

面談解説動画シリーズで実際どんな風にこの3ステップを
使っているかをみることもできますので、
ぜひ、そちらもあわせてご覧ください。

人事コンサルタント
金森秀晃

 

「仕事はできるんです。でも、周りが誰もついていかないんですよね」
「腕は確かなんですが、他の職種を見下すようなところがあって……」
「専門職としては優秀だから、誰も何も言えないんです」

病院で働いていると、このような話を聞く機会も多いのではないでしょうか。

いわゆる「ブリリアントジャーク(Brilliant Jerk)」。
能力はずば抜けているのに、周囲を傷つけ、チームを壊してしまう人のことです。

厄介なのは、病院という組織そのものが、
ブリリアントジャークを生みやすい構造を持っているということです。

医師、看護師、薬剤師、リハビリ、放射線技師、臨床検査技師・・・

病院は専門職の集まりですが、いわゆる「職人気質」な方が多く
他者に興味をもたないタイプの方が集まりやすい場所であるとも言えます。

たしかに専門性ありきの仕事なので、腕の確かさは必要でそこを外してはいけないのですが、
かといってブリリアントジャークを許してしまうと、
チームとしての生産性が落ちてしまい、離職率が高まったり
組織にも様々な歪みが生まれてしまいます。


でも実は、たった一つのことをやるだけで、
ブリリアントジャークが生まれにくい組織ができあがります。

それは、何か?

評価の軸に「周囲を活かせたか」を足す

これだけです。

「どれだけ自分が成果を出したか」
「どれだけ自分が成長したか」

この一点だけで評価している限り、優秀な人ほど周囲を顧みなくなりやすいと言えるでしょう。
当たり前ですが、組織がそれを評価してしあっているからです。

本人は正しいことをしているつもりだし、成果も出ている。

この構造のまま、意識と行動を変えて欲しいといっても、
さすがに難しいと思います。

なので、ここにもう一つ追加してみてください。

・後輩を育てたか
・他職種の専門性を尊重して、活かしたか
・必要な情報をきちんと共有したか
・周囲が相談しやすい空気をつくれていたか

定性的なものなので評価しづらい部分はありますが、
適切に評価基準を設ければ難しいことではありません。
これを成果と同じ重みで見る。
正直たったこれだけで、優秀な人の振る舞いは変わり始めます。


一人のスーパースターが成果を出す組織より、
専門性の高い人たちがお互いの力を引き出し合える組織のほうが、
長期的には絶対に強いのは誰の目から見ても明らかでしょう。

病院に必要なのは、「一番優秀な人」をつくることじゃありません。
その人の優秀さで、チーム全体が優秀になっていく状態をつくることです。

やることは、案外シンプルですから、ぜひ、試してみてくださいね。


人事コンサルタント
金森秀晃

 

 

「あー、これやらなきゃな……」

みなさんはそう思う瞬間が、一日に何度あるでしょうか。

・メールの返信
・終わらせなければいけない業務
・部下や後輩への対応
・上司との約束

現場で働いていると、「やらなきゃいけないこと」は絶対になくなりません。
むしろ役職が上がるほど増えていく、というのが実感ではないでしょうか。

家に帰れば・・・
・子どもの世話
・親の病院、介護
・家事

こうした「やらなければならないこと」も待っているかもしれません。

そうした「やらなきゃいけないこと」を、
ただひたすら頑張ってこなしていく。

そんな働き方・生き方を続けていると、
じわじわと消耗していくような気がしてしまいますよね。

そこで今日は、その“タスクに追われる”人生を変える、
最も簡単な方法を1つご紹介したいと思います。

それは、「やらなきゃな」と思ったときに、
言葉を少しだけ言い換えてみることです。

え?そんなこと?!と思われると思うのですが、
これが効果抜群なんです。

たとえば、
「これ、やらなきゃな……」
と思ったら、
「私は、これをやることを“選ぶ”」
「これをやるために生まれてきた!」
と言い換えてみることです。

最初は全く心が伴ってなくてもいいのですが、
まずは言いきってそう思い込もうとしてみてください。
どうせ同じことをやるのであれば、そう思ってみても損はありませんよね。

実はこれは、心理学でいう自己決定理論(Self-Determination Theory)の
「自律性の欲求」につながる話です。

人は、自分の意思で選択しているという感覚を持てるほど、
内発的な動機づけが高まりやすいとされています。

つまり、
「やらなきゃいけないからやる」
ではなく、
「自分がやることを選んだ」
に変わるだけで、仕事への向き合い方は変わってくるし、
タスクそのものへの捉え方も変わってくるのです。

「そんなことで変わるのか」と思われるかもしれませんが
こうした小さな捉え方の違いが、
モチベーションやパフォーマンスに意外なほど影響します。

これは部下のマネジメントにも応用できる考え方です。
「やらせる」のではなく、「本人が選んだ」という感覚を持たせられるかどうか。
指示の出し方一つで、同じ業務でも部下の取り組み方は変わってきます。

もちろん、言葉を変えれば何でも楽しくなるわけではありません。
それでも、「やらされている働き方」から、「自分で選んでいる働き方」へ。
その小さな感覚を持てるだけで、
同じ毎日でも少し景色が変わるでしょう。

今日、「あー、これやらなきゃな……」と思うことがあったら、
一度だけ試してみてくださいね!

人事コンサルタント
金森秀晃

 

「あの人は現場を分かっていない」
「あの人は自分勝手だ」
「あの人は昔からそういう人だから」

組織の中にいればこうした会話が交わされる場面に
出くわす機会もあると思います。

人間ですから、
ちょっとそういうことを言いたくなる時もあるとは思うのですが、
怖いのは、一つの出来事をきっかけに、
その人の人格全体が「ダメな人」という
「ひとかたまり」になってしまうことだと考えています。

一度その認識が共有されると、
その後の言動まで、すべて同じフィルターを通して
解釈されるようになってしまい、
わかり合える可能性、成長する可能性、
見えていなかった才能が開花される可能性、
様々な可能性が損なわれるからです。

これは、ネット上の「キャンセルカルチャー」と構造的によく似ていますよね。

『未来思考2045』では、現代社会における意識の変化として、
「記号化」と「多元化」が挙げられています。

人や物事を、複雑な存在としてではなく、「○○な人」という記号として捉える。
一方で、人はSNSやさまざまなコミュニティの中で、
多様な価値観を持つ多元的な存在になっている。

この「記号化」と「多元化」が組み合わさることで、
分断が生まれる、というのがそこでの指摘です。

「あの発言は問題だった」という話が、
「あの人は悪い人だ」になり、さらに、
「あの人が関わるものも問題だ」へと広がっていく。

本来は一つの出来事への評価だったはずが、
いつの間にか人格全体、さらには周囲まで評価の対象になってしまいます。


これは組織の中でも容易に起こりうることだと思います。

例えば「院長は現場を分かっていない」という認識が広がると、
院長から提案される様々な事象が
「どうせ分かっていない」と解釈される。

ある職員に「自分勝手だ」という記号がつけば、
何を言っても「また自分勝手なことを」と受け取られる。

一つひとつの行動ではなく、
「その人につけられた記号」を評価されてしまう。
これは非常にもったいないですよね。

ネット上ではこれを防ぐことはなかなか難しかったりもしますが、
組織の中ではこの現象は防ぐことができます。

必要なのは、たった1つ、
「意見の相違を歓迎する文化」です。

反対意見を我慢して聞くということではありません。
意見が違うこと自体を、健全なものとして扱い、
良い悪いという軸ではなく「その視点はなかった」と
違いを認識することが正だという方向に変えることです。

そのために欠かせないのが、次の2つです。

① 議論できる「場」の数を増やす

一対一の面談、チーム内の定例、部門を越えた会議、
意見をぶつけ合える場が組織の中にいくつあるか。

場が少ない組織ほど、不満は「その場で言う」ものではなく
「あとで誰かに話す」ものになります。
そして、それが人物評に変わっていってしまいます。

逆に、日常的に意見を交わせる場が複数あれば、
「今回の行動には、こういう問題があった」という
具体的な話として処理されやすくなります。

② 何を言っても大丈夫、という心理的安全性

場があっても、そこで本音を言えなければ意味がありません。

「こんなことを言ったら評価が下がるのでは」
「空気を読まない人だと思われるのでは」

そう感じさせる場は、議論の場ではなく、
建前を確認し合う場になってしまいます。

反対意見や違和感を口にしても、人格否定にはならない。
そう思えて初めて、人は「行動への指摘」を
「人への評価」にすり替えずに済みます。


これからは世界が統合されていく一方で、
人々の価値観はますます多様化していきます。

だからこそ必要なのは、価値観を一つに揃えることではなく、
違う価値観を持った人間が、相手を記号に変換せずに
一緒に働ける状態をつくることだと思います。

キャンセルカルチャーが起こりにくい組織とは、
誰も批判されない組織ではありません。

厳しいことを言い合っても、相手を「敵」という記号にしない組織といえるのかもしれませんね。

こんな組織を作っていきたいですね!

人事コンサルタント
金森秀晃