先日、こちらの動画でもお伝えさせていただきましたが、
「労働組合からの賃上げ要求にどう向き合うか」というテーマは、
今かなり多くの医療機関で深刻な課題になっています。
実際に現場では、
・経営は厳しいのに賃上げ要求が止まらない
・説明しても「それは経営側の問題」と言われてしまう
・ストライキを匂わせられて精神的に限界
こうした声を本当によく耳にします。
そして多くの方からの相談が・・・
「どうやって説得すればよいか」
「どうやって納得させたらよいか」
という内容になってきます。
ただ、ここに大きな落とし穴があります。
この問題は
「説得」や「交渉」 で 解決しようとすると、
ほぼ確実にこじれてしまうのです。
「交渉」になってしまうと、
最初から対立構造が前提になるからです。
対立構造が明確になってきてしまうと・・・
・勝つか負けるかの話になる
・いくらこちらが冷静でも感情論になりやすい
・どちらかが折れるまで終わらない
まさにデスマッチのような状況であり
構造的により対立が深まる設計になってしまいます。
そこで重要なのが「三角構造」です。
第三の軸=共通目標を入れることで
「交渉」の問題から「構造」の問題にすることができます。
その際のコツは、まず「賃金アップを全力で肯定する」ということです。
同時に、こういう状態にならないと、
賃金アップどころか賃金が払えなくなるということ、
こうすれば賃金アップを目指せるということを明確に示すことも重要です。
賃金アップが目的であれば
労働組合の方にとっても望ましい未来のはずですから、
「対立」ではなく、お互いの理想を
「どう協力して実現するか」の議論に変わります。
ですが、その三角構造の設計にも
苦しまれている方がいるのもいらっしゃいますよね。
「言わんとすることはわかりますけど、まず賃金を上げて頂かないと」
「わかりますけどそれは経営側の問題ですから」
の一点張りで主張されることがあると思います。
その場合のポイントは・・・
「感情」と「論理」の切り分けです。
「賃金を上げてほしい」という声の裏には、必ず感情があります。
・認められていない感覚
・将来への不安
・「経営側は自分たちの頑張りを軽視している」という不信感
この感情部分を先に受け取らないまま、
いきなり論理の話(数字や経営状況)をしようとすると
「それは経営側の問題」という言葉として表れてきたりします。
ですから、
まず最初にやるべきことは「説明」ではなく「承認」。
「皆さんが賃金を上げてほしいと思うのは、当然のことだと思っています。
それだけ頑張ってくださっているからこそ、
私たちも本当に申し訳ない気持ちがある」
この一言があるかどうかで、その後の対話の質が全く変わります。
感情が受け取られたと感じて初めて、
人は「では、どうすれば実現できるか」という話にも
聞く耳を持てるようになります。
それでもなお、聞く耳を持たないケースもあると思いますが、
それ(議論や戦うこと)が目的という方もいらっしゃるので、
その場合は、粛々と経営者としての責任を果たすことが重要です。
・適切な情報開示を続ける
・法的に必要なプロセスを踏む
・病院の存続と、働いている人全員を守るための判断をする
交渉が成立しない相手に対してエネルギーを使い続けることは、
経営者としての本来の仕事を止めることにもなります。
誠実に向き合った上で、それでも前に進まないなら、
静かに、やるべきことをやる。
それが結果として、病院を守ることにつながります。
ぜひ、参考になさってみてください。
人事コンサルタント
金森秀晃









