「制度そのもの」より、「どうやって作るか」の方が大事。
これは私がコンサルティングを通じて、
1000法人以上の現場を見てきた中で、繰り返し確信してきたことです。
今日は、その理由についてお話ししたいと思います。
「(現場を巻き込まなくても)制度は作れたと思います。
でも、魂は入れられなかったと思います。」
これは先日インタビューをさせていただいた
社会福祉法人泉陽会様プロジェクトメンバーの方のお言葉です。
いかに内容が正しくても、
「自分たちが関わった」という感覚がない制度や
「(コンサルや経営側だけで作った)複雑すぎて理解できない制度」では、
現場に届きません。
人が動かなければ、どんな制度も紙の上に留まり続けます。
そういう意味でこの言葉は、
ZACが「制度を作る過程」を大切にする理由の核心だと思っています。
実際、人事評価制度のコンサルティングには、
大きく分けて二つのアプローチがあります。
ひとつは「パッケージ型」。
あらかじめ用意されたフォーマットを当てはめるやり方です。
導入が早く、コストも抑えられる。
でも、設計の過程や成り立ちはわからない。
なお、コンサル会社側の都合でいえばコンサルタントの教育コストも小さいので
大量生産で薄利多売のビジネスを展開するには好ましい手法です。
もうひとつは、「オーダーメイド型」。
現場の方々を巻き込んで、ゼロから制度を作っていくやり方。
まず組織としては何を一番評価したいのか、
何にお金(報酬)を付けたいのかというところから一緒に考えていきます。
その上で、その目的を果たすための構造と運用について
ガイドしながら組み立てていきます。
ただここで
「なんだかゼロから作るなんて大変そう」と思われるかと思いますが、
そんなことはありません。
すでに効果的に運用するためのフォーマットと段取りはありますから、
最小限の労力で、その過程を共有していくだけです。
パッケージ型は形骸化リスクが非常に高いのですが、
そもそもなぜパッケージ型は定着しないのか。
答えはシンプルです。
① 過程がわからず、修正できないから
②「自分たちで作った」という感覚がないから
①については、そのままなのですが
パッケージで納品されてしまうと、全体の目的はふんわりわかっても
なぜここがこうなっているのかという目的と手段の関連が見えず
手段を刷新しようとしたら目的まで壊れてしまうというようなことが起こり
修正することができなくなってしまいます。
その結果、全部作り直すという手段をとらざるを得ないのでしょう。
②についてですが、人は、
自分が関与していないルールには、なかなか当事者意識を持てません。
これは人間の心理として、ごく自然なことです。
「上から降りてきた制度だから」と感じた瞬間に、
現場の職員は評価される側になります。
評価制度を「使う人」ではなく「使われる人」になってしまい、
その意識だけでも「納得感」が下がっていきます。
一方で、制度を自分たちで議論し、意見を出し、
形にしていくプロセスに関わった人は違います。
「自分たちが作った制度だから、ちゃんと運用しなければ」
という感覚が生まれる。
これが、制度に「魂が入る」ということだと思っています。
ここまでで大方ご理解いただけたと思いますが、
ZACが制度を作る「過程」を大切にする理由は、
一言でまとめると
「過程が人を動かし、人が動いてはじめて制度が生きる」
からです。
どんなに精密で「正しい」制度も、
現場の人々が「自分たちのもの」と感じなければ機能しません。
逆に、内容がごくごくシンプルでも、
現場が主役として関わった制度は、
時間をかけて組織に根づき、育っていきます。
これから制度設計をしようと思っている方は
ぜひ参考になさってみてください。
人事コンサルタント
金森秀晃











