今日はまず、
クリスティーン・ブライデンさんが認知症を発症した後に執筆した
『私は私になっていく❘認知症とダンスを』という書籍の中から
ある記述を引用させていただきたいと思います。
クリスティーンさんは診断前は科学者、
官僚としてオーストラリア首相の科学政策顧問を勤めるなど活躍されていましたが、
1955年、46歳で認知症の診断を受けます。
それ以来20年間にわたって、当事者として発言することで
認知症への偏見を打ち破り、世界の医療やケアの改革に大きく貢献しました。
「私たちがより感情の世界に生き、認知の世界を生きることが少なくなっているので、記憶に残るのはあなたが何を言ったかではなく、どんなふうに話したか、ということだ。私たちには感情はわかるが、話の筋道はわからない。
あなたの微笑み、あなたの笑い声、私たちにふれるあなたの手が、私たちに通じるものだ。共感することが私たちを癒してくれる。ただあるがままの私たちを愛してほしい。
訪ねて来て、なんと言っていいかわからない時は、ただそばにいてくれればいい。私たちは言葉よりも、あなたがそばにいてくれること、私たちと思いをわかちあってくれることが必要だ。私たちの感情と精神は、まだここにいるのだ。あなたが私たちを見つけてさえくれるなら!」
私はこの記述を見た時、
認知症の方々と関わる仕事をする方々のメンタルヘルスや
職場環境はとてつもなく大事なのだと改めて考えさせられました。
職場環境の改善は組織人事コンサルティング領域の仕事ですが、
もう一つ、私が創業以来取り組み続けているのがメンタルヘルスです。
介護や看護をする方々にもそれぞれの人生があり、
色々な困難を抱える中で認知症の方々と接するわけですが、
認知症の方々はきっと介護者、看護者の感情を
もはや目に見えない粒子レベルで感知するのだと思います。
そうなれば、認知症の方々にとってもストレスとなって、
ストレスをそのまま表現してしまうことになり
介護者、看護者により負荷をかけることになってしまうかもしれません。
その連鎖はお互いにとって辛いものでしょう。
その連鎖を断ち切る一つの手段・きっかけとして、
私達は介護・看護を提供する側の「認知イノベーション」について考えてきました。
そのうちの一つが「ハンドリフレクソロジー」です。
※ハンドリフレについて発信している動画のプレイリストです※
20年前に日本で初めて体系化したのですが、
たとえ自分がイライラしていても、たとえ余裕がなくても
自ら手を差し伸べて相手の手をとるだけで
自然とロジックを超えた感情の交流ができるようになる本当に不思議な技術です。
昼間にハンドリフレをやるだけで夜の徘徊がなくなる、
会話はできないけどハンドリフレをしたら相手が涙を流して微笑んでくれた、
明らかに不穏が減った、
そうした報告が多数あがってきています。
私の能力が足らずすべてを科学的に証明することができないのですが、
認知症当事者のクリスティーンさんの言葉が、
ハンドリフレがもたらす効果の裏付けをしてくれているような気がしました。
認知症の方と関わる多くの方にハンドリフレの技術が広まりますように!
人事コンサルタント
金森秀晃