神田直子(37)は中国出張からの帰国便で大事故に遭ってしまい、ひと月もの昏睡状態から奇跡の生還を果たすことが出来た。
目覚めた直子は高度な読心術と電撃能力を手に入れていた。
そして自身の体の中を出入りする宇宙人のバモスとテレサとのドタバタ生活が始まったのだ。
これは、愉快痛快! ポンコツ物語なのです。
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棺に収監された正志の遺体は炉前室(遺体を焼く火葬炉の前の部屋)から、まさに火葬炉へと入っていった。
泣き崩れた直子に寄り添う、宇宙人のバモスとテレサ、そして両家の遺族関係者、加えて直子の親友である、桃香と彩もいる。
さらに行き付けの喫茶店のマスターの時田まで最後のお別れにと老犬のエルを連れて来てくれているのだ。
そして、直子の倒産間際の勤務先の、金大福支社長までも参列してくれている。
「――それでは骨上げまで、およそ1時間ほどになりますので、それまでは控え室にてご休憩して下さいます様、お願い申し上げます」と、火葬炉の扉が閉められた。
「神田 直子/ようこそ!私の奇跡」
第40話 (ただ今、火葬中)
控え室は6人が座れる円卓を5つほど使用した形になっていた。
総勢24人の為、少し余裕を持ってゆったりと座れる感じである。
参列者の各人の前には黒塗りの重箱の食事が置かれており、その仕切りの中には刺身類から十数種類もの惣菜が少しずつ綺麗に盛り付けられている。
そして冷やされたビールや冷酒を始めとしたお酒類に、小瓶のお茶、コーラ、オレンジジュースも並べられていた。
喪主である直子の席の横には、満面の笑みを浮かべた正志の遺影が置かれており、その席にある、お供物には特別に注文した故人の大好物だった、きんぴら牛蒡もあった。
どの席からも、シュポ! シュポ! と栓抜きの音が上がり飲み物が注がれていく、そして皆、献杯の音頭を待っていた。
もちろん、飲もうとした宇宙人のふたりは直子の友人に待ったがかかったのだ。
喪主の直子は挨拶する為立ち上がった。
「ほ、本日は夫の正志の為に.……、お、お忙しいところ、お集まり、いや、ご、ご参列頂きまして…… あ、ありがとうございました…… あ、あの、そのう……」
「――まあ、まあ、直ちゃんさ、身内だけなんだから、そんな堅苦しい挨拶は抜きにしようや」
と父の弟で直子が幼い頃から優しくしてくれていた叔父さんが隣のテーブルから立ち上がり、加えて「献杯の音頭を叔父さんにやらせてくれや」と申し出てくれた。
「それでは、正志くん……こんなに美人な奥さんを残して早く逝ってしまって残念だけど、どうか安らかに眠ってください……献杯」
「献杯……」
バモスとテレサは一番出口に近い席で直子の友人たちに囲まれていて、何か話をしているようだ。
両親と義両親に挟まれたテーブル席に5人で座っている直子の心配そうに見ている目線に気遣ったのか、義父が、
「直子さん、早く食べて向こうの席に行ってあげなさい」
と彼らの方へ首を回して言った。
「そうね、ところであの外人さんは、どういうお知り合いなのかしら? 全ての葬儀に参列して頂いているし、よほど親しい間柄なのね」と義母が質問してきた。
心の声は(四六時中、ずーと離れずに直子さんの側にいる外人……一体何者なのよ。心配だわ)
来たわ、必ずその質問出ると思ってた直子は考えていたとおりに答えた
「仕事で海外に良く行っていたので、その時に大変お世話になった方なんです。ある意味命の恩人と言っても過言じゃないと思います。私が暴漢に絡まれてお金やパスポートまで盗られそうになった時に助けてくれたのですよ……」(よくまあ、大嘘がつけるよなあ)
「そうなのか! 海外出張多かったからなあ、やっぱり危ないこともあったんだな」と父が眉間に皺を寄らせた。
「それで、すごく親しくなって彼女(テレサ)も紹介してくれてね、中国に行く度に会っていたのよ。そして今回は逆に長期の日本滞在だから、私の為に自分たちの日本の勉強の為にもと、もし迷惑じゃなかったら全ての葬儀に参列したいと言ってくれたの……だから」
「まあ、暴漢から救ってくれたの、大きいし強そうだものね。無事で良かったわー」
と母が言ったあと、小声になり続けた。
「前から言ってたじゃないの海外は危ないわよ、特に女ひとりで、よく行ってたわよね……私はいつも心配で心配で……、だけどもう仕事は辞めるのよね? 大きな声じゃ言えないけど倒産するとか……」
「お母さん! その話は止めてよ! まだ倒産はしてませんから……それに、今ここに社長さんが来て下さっているのよ」直子は母を睨みつけ、耳元に返した。
「あと、これからの生活もあるし、出来れば慣れた仕事は続けたいと思うの……」
「まあ、まあ、正志の生命保険も入るだろう」(いっぱい出るのかな、もしかしたら億か!)
と義父。
「そうそう、航空事故の賠償金もあるだろ!」と父もお金の話を重ねた。
「そうよね、会社都合のままで失業保険もらって、ゆっくり考えなさいよ」と母がしつこかった。
41話へ続く
主な「登場人物」
神田直子:物語の主人公 37歳
神田正志:直子の夫
バモス:アラヤダ星人
テレサ:アラヤダ星人、アラヤダ国の王女
雷神バァルナ:一時はアラヨ博士が捕まえたが、とてつもない神の力に太刀打ち出来ず、ただ遊ばれただけだった。現在は冥界で閻魔代理としてアルバイト中。
キャバクラの美穂:新宿歌舞伎町のキャバクラ『でんじゃらす学園』にいたキャバ嬢
女神アフローネ:雷神バァルナのお姉さん
その他、もろもろ
おまけのはなし
「もう、夏なのか?」
一気に暑くなりました
熱いラーメンなどは、もう食べれなくなった還暦プラスのおっさんは
冷たいうどんに、ごま肉味噌レトルト
さっぱりとして美味しかった
こういうの増えましたよね
1人前を簡単に早く作れます
うどんは冷凍のをチンして
チューブのタレをかけるだけ
特売で180円くらい、2人前入ってます
(今回のはキッコーマン)
きゅうり切ったりするのは面倒だけど
無いと寂しいもんね
ゆでたまごは、もう完璧です
100均の、たまごのお尻穴あけ器と
沸騰したお湯から茹でれば、つるりんと剥けますよ
作者からのお礼とお詫び
コメントありがとうございます。元気と執筆パワーを頂けます!
小説「神田 直子」は作者の怠慢から、いつ掲載出来るかわかりません。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
では、では 次回まで