小説「神田 直子/ようこそ!私の奇跡」第26話(続く災難) | ひでおん

ひでおん

2023年8月より、童話に続けて小説を投稿し始めました。
他にも時事問題から、くいしんぼ、ドラマや映画や音楽、タクシー日記に趣味の話しなどアップしていきます。
日々変化を求める、おっさんのブログです。
適当によろしく~

前回までのあらすじ

 

神田直子(37)は中国出張からの帰国便で大事故に遭ってしまうが、

ひと月もの昏睡状態から奇跡の生還を果たすことが出来た。

 

目覚めた直子は事故の影響からなのか高度な読心術を手に入れる。

さらに、意に反する第二の能力で駅まで送迎してくれた山田さゆりを病院送りにしてしまった。

 

小さな二人の宇宙人が、あの事故で転落した直子の頭に入り込んだが、それは地球から数光年先にあるアラヤダ星の国王の娘であるテレサと下男のバモスであった。

 

雷神バァルナの恐るべき力に遊ばれていたバモスとテレサとアラヨ博士だったが、雷神がいなくなった後

アラヤダ国への反乱が起き、王城へ核爆弾が落とされてしまった。

 

反乱軍の追ってから逃げる為に地球へ向かった二人だったが、バモスは雷神の角(つの)の洗礼を受け入れ未知なる力を授かったのだ。

 

バモスの能力により山田さゆりの救出は成功した。

 

親友との久しぶりの再会、そして長いこと休んでいた会社へ久しぶりに出社する直子だ。


 

直子が一時は寝たきりになってしまった事故直前の中国出張目的は、日本の大手医療機器メーカー向けに使う電子部品を作る工場の工程監査であった。

 

直子がアプローチしていた医療機器メーカーをようやく口説いたのだ。

医療機器の為、重要性の少ない二種部品までを中国メーカーに作らせていたが、今回は厳しい一種部品までも組立させることに踏み込んだ重要な監査だったのだ。

 

 

「神田 直子/ようこそ!私の奇跡

第26話 (続く災難)

 

 

あの部品の量産化は進んでいるのかなあ……、いい加減な中国の工場で重要部品を日本の医療機器メーカーに供給し続けることには、一抹の不安を感じていた直子だった。

 

まあ、採用は決定したんだし、あれこれ考えても仕方がないよと時計を見ると結構な時間になっているのに気がついた。

 

正志が夜8時過ぎても帰らないと思っていたら(急に部長から食事に誘われたので、夕食はいらないよ。ごめんね)とメールが入っていた。

 

ふーん……と思いながら、すぐにキャバクラの美穂の事が頭に過ぎったは嫌だった。

 

そして、折角(せっかく)作ったカレーは日持ちするから、まあ良いかなと思ったけどバモスとテレサと食べていたら、出来合い惣菜のトンカツも含めてすべて完食してしまったのには、今さらながら驚いた。

小さい体のどこに入るのよ?  

 

そして正志は深夜遅くの帰宅で、翌日も両親が午前中からまた来たので、出社する前の日曜日はあっという間に過ぎた。まあ、行ってもいきなり仕事にはならないけどね……。

 

 

 

 

出社日の朝、久しぶりに乗るJR横浜線は相変わらず混んでいた。

ぎゅうぎゅう詰めで反対側のドアまで押し込まれたが、ただ身を任せてるだけだ。

 

(直子、すごい人だね。これで会社というところへ行くの大変だよね)

 

(知らない人と、くっついて行くの!)と頭の中でテレサが聞いてきた。

混雑した電車で見も知らぬ他人に、くっついているのが信じられないようだ。

 

(そうよ、でも、すぐに乗り換えるからね。あんた達は良いわよね、人の体の中でさ……)

 

そう言った直子とドアの間に、小柄な女子校生が無理に身体を割り込ませてきた。

(何よ、混んでるのに!)と思うと、女の子は、さらに右へ右へと身体をねじ込んできた。

 

そして直子に縋(すが)り付いてきたのだ。「うっ、うー」と小さな声を出して直子を見つめてきた顔は悲痛な表情で涙ぐんでいた。

 

(な、何なの?)

 

だが状況がすぐに理解出来たのは、その女の子を追って左側から体格の良いサラリーマン風の中年男が体を寄せてきたからだ。

 

男の手は女の子のお尻をしっかり掴(つか)んでいた。

 

(ち、痴漢だ!)

 

とっさに直子は男の大きい手を握り、その手を引き離そうとしたが、びくともしない。

そして止めようとする相手が女だと分った男が、逆に睨んできたのは恐かった。

 

(何をしてるの?)とバモスとテレサが聞いてきた。

心臓がバクバクしている直子は、それに返事をする余裕もなく、自ら怒りの電撃を思い切り放った。

 

(この野郎! えいっ!)

途端に(危ない!)とバモスが叫んだと同時に直子の体は勝手に動き、信じられない大きな力で女の子と男を引き離したのだ。

 

(直子! その、女の子も感電してしまう! こんな、狭い場所で電撃を放ったら触れている人が皆、感電してしまうよ)とバモスが教えてくれた。

 

 

 

「目の前で僕は見ました。この女の人が、ス、スタンガンの様な物で、その男性に電気を流したんだと思います。その人の手からバチッと音がして光が見えました。そして、その男の人が倒れたんです……」

 

次の菊名駅で緊急停止した電車は、痴漢男の救助の為に停止したまま長いこと動かない。

その為にホームは乗客でごった返しだった。

 

(さっさと、知らん振りして立ち去ってしまえば良かった……)と思ったが今更だった。

 

直子の電撃能力は幸いにして、威力が小さいので殺さずに済んだのだが、男は失禁して倒れ込んでしまったのだ。

心配性の性格から、いつまでも側にいたのが災いしたのだ。被害者の女の子は、もう何処にもいないし、暇人の若い男が事の経緯を駅員に話していた。

 

駆けつけた警察官に取り調べを受けた直子のビジネスバッグは開けられた。

 

しかしスタンガンの様な物は当然無く、開放されるまで相当な時間が経過してしまったのだ。

途中で会社に連絡することは出来たが、出社できる時間は12時過ぎになるだろうか。

 

 

 

それから、ようやく会社に着いてドアを開けて入ると、昼食で外出しているのか誰もいなかった。

 

(おかしいなあ……鍵は必ず掛けて行く決まりなんだけど)

と思いながら、全員の行動予定を記入する大きなホワイト・ボードを見た。

 

驚いたのは10人いた社員の名前が半分消されて、6人になっていた。その内2人は台湾、タイへと出張中だ。

(中国へは行ってないのか、タイは初めてだよね……。ということは、今日本にいるのは金社長と山崎君と事務の田中さんに私だけなのか……)

 

それと直子の名前が一番下に移動されていた。

 

そこに支社長の金大福が戻ってきた。

 

「お帰りー、直子さん!」

 

「ただいまー、金社長!」

金が何かを話そうとしているのを遮(さえぎ)って、直子は質問をした。

 

「この、ホワイトボードに書かれている人が今いる社員という事なのですか? つまり他の人達は、皆辞めたと……」そう聞くと同時に覚(さと)り能力も開いた。

 

しばらくの沈黙があって唾を飲み込んだ金社長は寂しそうな顔で見つめたきた。

 

 

27話へ続く

 

 

主な「登場人物」

 

神田直子:物語の主人公 37歳

神田正志:直子の夫

バモス:アラヤダ星人

テレサ:アラヤダ星人、アラヤダ国の王女

金大福:直子の勤務先の支社長

 

 

おまけのはなし

「ナッツ見て思う…」

 

今回はナッツの話です。

 

ナッツが好物の方は読まないでくださいね。

食べるのが嫌になるかも?

 

そして体に良いのは確かみたいなんだけど、その効果はここでは特に書きません。

 

女房が大袋でたまに買ってくるので、家にあれば食べるけど無ければ特別に食べたいと思わない。

 

飲みながら食べるのはこのくらいの量かな。

少なめにね。

ただ、素焼きの味気ない食感です。

塩味が良いのだけど、それは健康の為に買ってこないのだ

 

だから美味しくもない… ただあれば少し食べる

 

ご存知のアーモンド

 

これが良いね! でも素焼き… 味ないし

しかし、蛹(さなぎ)にも見える

 

ご存知のカシューナッツ

これが良いね! 素焼き… でも味は良い

 

あとね、見た目が何かの幼虫のようだ

 

クルミなんだが、

何か… 変な虫か蛾(が)の化石のようであり、変な顔に見えるのが恐い… 嫌だよ

 

ピーカンナッツ(ベカンナッツ)というらしい

 

初めて見た。食感はクルミに似てるのだが…

 

見た目、気持ち悪い…

 

三葉虫というか、エイリアンが乾燥してるような

真ん中の部分がいきなり、飛び出してきそうで

 

これ! 超嫌だよ!

 

 

作者からのお礼と

小説を書いてて思うこと

 

コメントありがとうございます。元気と執筆パワーを頂けます!

 

小説を書いてて、思ったことはやっぱり勉強になりますね。

改めて日本語って難しいなあと思いました。

 

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。