小説「神田 直子/ようこそ!私の奇跡」第25話(電気で刺激) | ひでおん

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2023年8月より、童話に続けて小説を投稿し始めました。
他にも時事問題から、くいしんぼ、ドラマや映画や音楽、タクシー日記に趣味の話しなどアップしていきます。
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適当によろしく~

前回までのあらすじ

 

神田直子(37)は中国出張からの帰国便で大事故に遭ってしまうが、

ひと月もの昏睡状態から奇跡の生還を果たすことが出来た。

 

目覚めた直子は事故の影響からなのか高度な読心術を手に入れる。

さらに、意に反する第二の能力で駅まで送迎してくれた山田さゆりを病院送りにしてしまった。

 

小さな二人の宇宙人が、あの事故で転落した直子の頭に入り込んだが、それは地球から数光年先にあるアラヤダ星の国王の娘であるテレサと下男のバモスであった。

 

雷神バァルナの恐るべき力に遊ばれていたバモスとテレサとアラヨ博士だったが、雷神がいなくなった後

アラヤダ国への反乱が起き、王城へ核爆弾が落とされてしまった。

 

反乱軍の追ってから逃げる為に地球へ向かった二人だったが、バモスは雷神の角(つの)の洗礼を受け入れ未知なる力を授かったのだ。

 

バモスの能力により山田さゆりの救出は成功した。

 

そして直子は親友との久しぶりの再会で楽しいひと時を過ごした。


 

この人形、生きてるみたい! 何かさ、直子に似てるよね」

 

「ぐっ!……」(あの宇宙遊泳した時なの? 世界中に全裸を晒(さら)してしまったの!)

(だから、カメラに近寄るなよと言ったのに)とバモス。

 

「生きているんだ、だから宇宙人だぞ! 絶対にいるんだよ宇宙人は」

マスターは少し焦がしたピザを運びながらそう言った。

 

 

「神田 直子/ようこそ!私の奇跡

第25話 (電気で刺激)

 

 

直子は友人に対しては、最初は覚りの能力を使うのを止めようと考えていた。だけど、落ち込んでいるように見えた彩が、あまりにも元気を取り繕っているように感じられる為、覗(のぞ)いてみる事にした。

 

彩の目の奥の景色が映し出された。

(うーん、うんちゃん出ないよ……、まいったな、もう7日になるよ)

 

(なんだよ、また便秘か! 相変わらずだな彩は……、そうだ! 思い出したよ)

便秘には電気治療が効くと、どこかで聞いたことがある。

 

微少な電気を流して見ることにした。

(直子、自分でやってみなよ、優しい気持ちで電気を放つんだ)とバモスの声。

 

直子は目を瞑(つむ)り、テーブルの下から指一本を彩のお腹へ向けて小さい電撃を放った。(ふふん!)

 

彩の体が一瞬、ビクッ!と震えた。

……しかし何ともないようだ。

(もう少し強くかな? えい!)と念じた時、店のテレビの画面がプッと消えた。

 

「ありゃ?故障かよ?」とマスター。

彩がビクッ、ビクッ! と再度震えた。

 

「あっ!」持っていたグラスが震え、テーブルに少しこぼしてしまった。

 

桃果も気づいたようで……

「どうしたのよ? 彩」と声をかけた。

 

「ちょっと、トイレ行ってくるね」(キター、きたよ、ご無沙汰、うんちゃん!)

そそくさとテーブルを立ち上がる彩だ。

 

(やった! 上手く出来たかも)

 

ところが、5秒もしないうちにバタバタと走ってきた。

そしてカウンターの中に飛び込んで入っていくとマスターに声をかけた。

 

「こっちのトイレ借りますー」

 

3人にとって、この店は知った我が家であり厨房の奥にお手洗いがあるのは、皆、知っているのだ。

マスターはあわてて言う

 

「そ、そっちのトイレは、もう無いぞ! 今は倉庫だ!」

血相を変えて引き返してくる彩だ「あーだめだ!」

 

(まずい! 効き過ぎたか?)

 

「トイレふたつあるだろ。反対側に新しく作ったから」とマスター。

彩が顔色を変えてすべり込んだ。

 

バタン! と大きな音でドアが閉まった。

(電撃が強かったのかなあ……だけど漏らさなくてよかったよ)

大分、時間がかかったけどようやくして、戻ってきた。

 

桃香が心配そうな顔で言う

「どうした、どうしたの?」

 

彩は完全にすっきりした顔つきに戻っている

 

「そうか、あれか? 慢性のやつ」

 

「そうなのよ」

 

「繊維質が足りないんだよー、キャベツ沢山食べなさいよ! お肌に悪いよ」

 

マスターが特性フルーツパフェを運んできてくれ、3人の会話もさらに弾む。

だけど二人は、子供たちの下校してくる時間に合わせてそろそろ帰らないといけないので、久々の楽しいひと時はあっと言う間に終わった。

 

桃香と彩の家の方向は小田急線なのでJR横浜線 町田駅に繋がる高架歩道でふたりと分かれた。

直子の自宅マンションの最寄駅のJR中山までは10分ほどだ。

 

駅前のスーパーで買出しして帰ろう。今日は正志も早めに帰ってくるって言ってたからね。さて夕食は何にしょうかなあー。

 

今晩はシーフード・カレーにしよう! と聞こえは良いが具材は冷凍ミックスの小エビ、イカ、アサリを投入するだけだ。

だけど玉ねぎのみじん切りをレンチンしてから、飴色になるまで炒めることだけには拘(こだ)る。

 

炒めながら直子は鼻歌を口ずさみながら、休んでいる会社のことを考えた。

……来週は久しぶりに出社なんだよね)

「なんか、ご機嫌だね、直子!」とバモスとテレサだ。

 

そう、あの事故があってから、まだ2カ月足らずだ。

 

 

 

直子が勤めている台湾黄金電脳という会社は横浜は関内にある。

 

JR関内駅北口から不老町交差点に向かいその先を右に入った寿町の一角にある雑居ビルの5階フロアを借りている。広さにして100㎡ほどで日本支社の社員が10人ほどいる。

 

駅の反対側には横浜スタジアムや中華街があって場所的には良いのだが、この辺りは朝からやってる飲み屋もあり、酔いつぶれた浮浪者に近い容姿の男がビル下で寝てたりと好ましいとは思えない。

 

ただ、大好きな蕎麦屋の『味奈登庵』、牛丼チェーン店、等々の安価な飲食店が立ち並び、昼飯に困ることはなく、ビルを出てから3分内でどこかの店に入れるのは嬉しい。

 

この時期は、夕方になれば横浜スタジアムからの声援が大音響が聞こえてくる。

野球には全く興味のない直子でも、この声援はなぜか心地良いと思うのだ。

 

中国企業へのパイプが太く、日本の大手企業と中国メーカーを結びつける技術支援で成り立っている会社だ。

 

前述したが、日本支社長は台湾人の金大福(きん だいふく)である。50代真ん中で独身である。

 

人前でも自分が直子に好意を持っていることを、あからさまに言うのだが……。

しかし、さすがの経営者だけあって仕事は出来る人だなとも思う。

 

直子が一時は寝たきりになってしまった事故直前の中国出張目的は、日本の大手医療機器メーカー向けに使う電子部品を作る工場の工程監査であった。

直子がアプローチしていた医療機器メーカーをようやく口説いたのだ。

 

医療機器の為、重要性の少ない二種部品までを中国メーカーに作らせていたが、今回は厳しい一種部品までも組立させることに踏み込んだ重要な監査だったのだ。

 

 

26話へ続く

 

 

主な「登場人物」

 

神田直子:物語の主人公 37歳

神田正志:直子の夫

バモス:アラヤダ星人

テレサ:アラヤダ星人、アラヤダ国の王女

渡辺桃香、山本 :原町田学園の高校、大学時代からの親友

時田 英明:町田にある喫茶「タイムトンネル」のマスター

 

 

おまけのはなし

「最近の朝ごはん」

 

ひでおんは、東京のタクシー運転手なんで、早朝に神奈川の自宅から電車で東京の世田谷の駅にあるタクシー会社へ出勤してから、翌朝帰ってくるまで約24時間です。

 

隔日勤務と言って、これを月に11回から12回やります。

13回まで良いのですが、そんなに働きたくない……

 

帰ってきたら、当然眠たいのですが朝からビール(発泡酒)を1本と朝ごはんを食べます。

今までは冷凍スパゲッテイがほとんどだったのだけど、最近のマイブームは

 

これっ!

 

激安の98円(3個入り) ちょっと甘すぎる

 

仕事中に買った「まいばすけっと」さん(都内に多くある、イオン系列の小型スーパー)

 

約150円(3個入り) 柚子(ゆず)いなり 同じく「まいばすけっと」さん

 

甘過ぎず柚子の香りで、こちらが好き~

 

少し小さいのが7個入って198円なんて種類も豊富。

ワサビを少しのせて、頂きました。

 

「まいばすけっと」は、神です!

 

それと、家で蕎麦を茹でて、至極の朝ごはんを楽しむのですよ

 

 

 

コンビニ3社の、いなりは値上げがすごく、手が出ません!

同じ3個入りで、だいたい250円するのです(涙)

 

 

作者からのお礼と

小説を書いてて思うこと

 

小説の内容が、またか!って感じでしょうか?

すでに糞尿作家になってます(笑ってください)

 

コメントありがとうございます。元気と執筆パワーを頂けます!

 

小説を書いてて、思ったことはやっぱり勉強になりますね。

改めて日本語って難しいなあと思いました。

 

文章を書いて、何度も書き直すことが多いと思うんだけど、

それを推敲(すいこう)と言うらしい。これ知らなかったよ

 

校正(こうせい)とは(誤字、脱字、文法ミス)とは違います。

もちろん、これにも注意しています。

 

 

例えば、今回の小説の最後の文章です。

 

人前でも自分が直子に好意を持っていることを、あからさまに言うのだが……。

 

人前でも平気で直子に好意を持っていることを、あからさまに言う人なのだ

 

自分は直子が好きだと平気で言う人なのだが……。

 

全部同じなんですが、何度も直したんですよ。

他の文章も同じく直してます。

 

下記は学研キッズネットより

詩や文を書きあげるとき,字句(じく)を何度も練りなおすこと。(とう)の詩人賈島(かとう)が「(そう)()す月下の門」の()をつくったが,「()す」を「(たた)く」に直すべきかどうかまよい,当時の高名な詩人韓愈(かんゆ)に相談して,やっと「(たた)く」にきめたという故事(こじ)に由来する。

 

 

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。