前回までのあらすじ
神田直子(37)は中国出張からの帰国便で大事故に遭ってしまうが、
ひと月もの昏睡状態から奇跡の生還を果たすことが出来た。
目覚めた直子は事故の影響からなのか高度な読心術を手に入れる。
さらに、意に反する第二の能力で駅まで送迎してくれた山田さゆりを病院送りにしてしまった。
小さな二人の宇宙人が、あの事故で転落した直子の頭に入り込んだが、それは地球から数光年先にあるアラヤダ星の国王の娘であるテレサと下男のバモスであった。
雷神バァルナの恐るべき力に遊ばれていたバモスとテレサとアラヨ博士だったが、雷神がいなくなった後
アラヤダ国への反乱が起き、王城へ核爆弾が落とされてしまった。
反乱軍の追ってから逃げる為に地球へ向かった二人だったが、バモスは雷神の角(つの)の洗礼を受け入れ未知なる力を授かったのだ。
バモスの能力により山田さゆりの救出は成功した。
そして直子は親友との久しぶりの再会で楽しいひと時を過ごした。
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チン、コロリ~ン
と4ヶ月ぶりのドアの鐘の音も妙に懐かしかった。
「らっしゃい! おーっ! よう来たな、美女軍団!」
店主でマスターの時田 英明(ときた ひであき)の笑顔も久しぶりなので嬉しかった。
マスターは今年で還暦を迎え、店自体も開店30周年になる。
「神田 直子/ようこそ!私の奇跡」
第24話 (宇宙人は目の前にいる)
「やあ、直ちゃん! 良かったなあ退院出来て…… あの事故に遭ったのが、まさか直ちゃんだったなんてよ本当にびっくりしたぞ」と相変わらず元気な人だ。
「そんでよ~ ニュースでフルネームが読まれたじゃないか! 驚いたのなんのって…… 信じたくなかった。勘弁してくれよ~別人であってくれと願ってたんだけど」
「そうよね、私も思った」と桃香。
「でもよ、退院出来て本当に良かったよ。悪いがもう駄目かと思った…… だって植物状態だったんだろ」
「そうなのよ、私もこのまま直子が目覚めないのかと思ってたよ…… ねえ、彩もそう思ってたよね」
「う、うん…… ごめんね直」
「いいよ、いいよ 多分立場が違えば誰だって普通はそう考えるよ」
「でもね、少し前に旦那さんから直子の体調は凄く良い、ただ起きないだけなんだと連絡もらってから、早く目が覚めないかとずっと祈ってたよ」
「まあ、こうしてまた会えているんだからさ……」
「よ――し!お見舞いに行けなかったお詫びに今日は全部おごりだ!」
「やった―― マスター太っ腹だね」と皆に笑顔が戻る。
「でもさ、久しぶりに再開してびっくりしたよね。直の顔の張りとかさ、なんか若返ってない?」
「そうそう、私もそう思ってた。髪の毛なんか真っ黒でサラサラのつやつやだし」
「どこかの、CM見たいだよね」と爆笑になった。
にやにやして嬉しい直子だったが、宇宙人が体の中にいるおかげなんてことは言えなかった。言えばやっぱり事故のせいで頭がおかしくなったんだと思われるだけだ。
その時、店の奥で犬が吠えた。
そして走り寄ってきたミニ柴犬が直子の足元に、しがみついてきたのだ。
「きゃ、な、何?」
(その犬は! エルだ! 間違いない!)直子の頭の中でバモスとテレサが大声を上げた。
「ごめん、ごめん、大人しい犬なんだけど…… こらっ! エルやめろ!」とマスター。
「えっ? エルって名前なの?」 (頭から飛び出してこないでよ!)
直子は柴犬を優しく抱きかかえてあげた。直子を見つめている犬は匂いなのか? 頭の中のバモスとテレサの存在を分かっているように思えた。
「どうしたの? いきなり、犬に好かれた見たいだね」と桃香と彩は笑っている。
「なあ…… 宇宙人っていると思うか?」いきなりマスターが言ったのに驚いた。
「それは、いるでしょ! 広い宇宙のどこかにね」と桃香は少し馬鹿にした目付きで返した。
「実はな…… 誰も信じてくれないけど、その犬は大分前に宇宙人に誘拐されたんだ」
「あはははは~ 何言ってるの!」と彩が吹き出した。
「お、俺の目の前で、変な形の飛行船見たいなのに、吸い込まれて飛んで行ったんだ。 ほ、本当だぜ!」真剣な眼差しでマスターが続けた。
「それがよ、最近帰ってきたんだよ。しかも白く輝く玉が突然、目の前に現れたと思ったら、こいつだった。だれも信じてくれない。なにしろ見たのは俺ひとりだけだったしなあ」
「はい、はい、良かったですね」と桃香は鼻で笑っていた。
「やっぱりな、誰も信じてくれない!」マスターはアイス・コーヒーをテーブルに運びながらそう言った。
「私は信じるわよ…… だって宇宙はどこまでも広いんだし、地球より文明の高い星があっても少しも不思議じゃないよ」直子はそう言った。(今、ここでバモスとテレサが出てきたら驚くよなあ)
マスターはテレビのリモコンの操作を始めた。
「宇宙人と言えばさ、この間やってた『世界仰天・ニュース』が録画してあったんだ」
それは広がる宇宙空間で、火星に近いNASAの衛星基地が宇宙ゴミを映し出していた。
「これだ!これっ!」
そこには白い人形のような物体が浮かんでいた。そしてNASAの高性能カメラが映し出している物体を解像度をあげて鮮明化にした。
「これは…… マネキンなの?」
「全裸の女だよね?」
「国際宇宙ステーションから捨てられたダッチワイフだよ、きっと」
「やめてよ、気持ち悪いなあ」
「この後なんだよ」とマスター
ズームアップしたマネキンはピースサインをして笑ったのだ。
「この人形、生きてるみたい! 何かさ、直子に似てるよね」
「ぐっ!……」(あの宇宙遊泳した時なの? 世界中に全裸を晒(さら)してしまったの!)
(だから、カメラに近寄るなよと言ったのに)とバモス。
「生きているんだ、だから宇宙人だぞ! 絶対にいるんだよ宇宙人は」
マスターは少し焦がしたピザを運びながらそう言った。
25話へ続く
主な「登場人物」
神田直子:物語の主人公 37歳
神田正志:直子の夫
バモス:アラヤダ星人
テレサ:アラヤダ星人、アラヤダ国の王女
渡辺桃香、山本 彩:原町田学園の高校、大学時代からの親友
時田 英明:町田にある喫茶「タイムトンネル」のマスター
おまけのはなし
「リトープス」成長してるの?
リトープスとは南アフリカ産の多肉植物です。
これに魅了された愛好家は多い…
その多くの種類の中でアクアマリン種の大津絵に心を奪われ種から育てているんだが……
2023年9月末ごろ買ったのは、
黒い塩粒みたいな種
あれから、約4ヶ月
小さくて、どうしてもピンボケになる(すみません)
大きさは、やっとこ米粒かな
10粒の塩粒種は全部芽が出ました。
だが、生き残ったのは4芽です。他のはなぜか消えて無くなった。
(ぐぐったら、溶けてなくなるとか… 恐い)
この4芽も成長が止まった気がするんだよ。
たぶん水をやり過ぎたんだと思う。
毎日やってたんだけど、成長期の今の時期でも水やりは週一くらいが良いらしい。
これになるのは、いつの日か… がんばれ~ 100倍か?
(この写真はどこかでお借りしたものです)
そして、もうひとつは
2年ほど前に買った、福来玉 この状態で入手した。
それの現在
なんと、二つになりました。やった~ しかし発色がイマイチです。
それぞれの割れ目から覗く、新しい玉。
どこまで分割するのか?
そして、分けて植え替えた方が良いのか?
わかりましぇん! 智ちゃ~ん(ブロ友)
作者からのお礼
コメントありがとうございます。元気と執筆パワーを頂けます!
アラカンおやじ、人生初挑戦の小説を執筆中です。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。