金正男暗殺事件…オウム真理教と沈黙の在日朝鮮人 | 村井秀夫刺殺事件の真相を追って

村井秀夫刺殺事件の真相を追って

村井秀夫は何故殺されたのか?徐裕行とは何者なのか?
オウム真理教や在日闇社会の謎を追跡します。
当時のマスコミ・警察・司法の問題点も検証していきます。
(2018年7月6日、麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚らの死刑執行。特別企画実施中。)

金正男暗殺事件ー沈黙の在日北朝鮮人ー

 

 

 

 

マレーシア・クアラルンプール空港。

旅客者たちでにぎわう最中、太った男性を、二人の女性が襲撃する事件が起きた。

 

 

二人の女は男を囲むと、背後から液体が塗られた手袋で男の顔を覆いかぶさった。男が混乱する中、女はその場から逃げ出した。2秒間の素早い出来事だった。

 

 

 

男に外傷はなかったが、顔面に痛みを感じたという。そして、付近にいた空港職員や警備員に助けを求めた。

 

「目が焼けるように痛い」

男は空港のクリニックへ徒歩で向かう。ところが体調が悪化し、意識を失った。

男は数時間後に死亡した。

 

男は最期にこう話したという。

 

金正男「とても痛い、とても痛い、液体をかけられた」

 

被害者は金正男。北朝鮮最高指導者、金正日の長男であり、金正恩の異母兄である。

 

金正日と幼少時代の正男

 

初めて世間に注目されたのは2001年5月。

 

日本へ偽造旅券で入国しようとして東京入国管理局に身柄を拘束された。

 

 

渡航した理由について、金正男は「ディズニーランドへ行きたかった」と証言。

あまりに平凡すぎる動機から、世界中の笑い者となった。

正男は田中眞紀子の判断ですぐに強制送還された。

 

 

金正男ってどんな人?

 

 

正男はその後、北京やマカオで再び姿を現した。

マスコミが取材をすると、カメラの前で笑顔を見せ、独裁者の息子とは思えないほど人当たりの良い態度をみせた。

 

更に、不法入国事件についても回答し、「日本という国に興味があったので旅行にいきました」、「日本はとても清潔で美しい。また経済的にも非常に発展している国だと思います」と語った。

 

周囲からは「唯一まともな北朝鮮人」と好印象を与えていた。

一方で中国当局から保護を受けているといった情報も流れはじめた。

 

 

2004年9月、東京新聞記者、五味洋治は北京で金正男に出会った。

名刺交換した後日、正男から返事のメールが届き、交流がはじまった。

 

五味は150回のメール交換と2回にわたる独占インタビューに成功し、金正男が北朝鮮政府に批判的であることが判明した。

 

(五味と鈴木邦男)

 

2011年、五味は金正男の取材記事を紙面に掲載させた。

この行動が北朝鮮本国の不満を買い、金正男に警告がきたという。

 

2012年に、金正日が死亡すると、父親の庇護を失った金正男の立場は危うくなった。

 

この時、五味はこれまでの取材内容を本にまとめ、出版しようとしていた。

 

正男は五味に出版を止めるよう五味に要請した。

 

ご理解をお願いします。北朝鮮の政権が、私に危険をもたらす可能性もあります。

 

しかし、五味は「北朝鮮が17年間統治した指導者を失い、どの方向に向かうかはっきりしない中で、長男の意見を広く世間に伝えるほうが意味がある」「正男氏のイメージが変わり、多くの人が関心を持つようになれば、逆に正男氏にうかつなことはできなくなる」として出版を強行した。

 

(五味)

 

金正男は五味に対して「本を出すなら、われわれの関係は終わりだ」と伝えて連絡を絶った。

 

 

五味が無許可で出版した著書「父・金正日と私」。

金正男の人物像が改めて認識される機会にもなったが、北朝鮮に忠誠を誓う在日朝鮮人の目にも触れる状態になった。金正男の体勢批判は北朝鮮に伝わったと思われる。

 

 

 

金正男と在日闇社会

 

 

日本へ密かに入国していた金正男。

当時、金正男氏は第1夫人のシン・ジョンヒ氏と息子のキム・グムソル氏も連れており、茨城県の不法入国者収容施設に送られた。

 

彼の本当の目的は何だったのか。

政府もメディアも、その詳細については報道していない。

当時の週刊誌、ゴシップ紙によれば、入国には朝鮮総連と朝鮮ヤクザ・在日闇社会が深く関わっていたのだという。

日本では、朝鮮総連上層部のほかに、神奈川県大和駅前のビジネスホテル「丸金ビジネスホテル」のオーナーだったK会長や、東京のN病院の創設者K院長などと接点があったようだが、その他に、住吉会系の組幹部とも非常に親しくしていたとの情報がある。この組幹部と金正男が赤坂の韓国クラブで豪遊していた、というのである。

 

しかし、騒動から10数年以上経過した今も事件の検証はされておらず、真相は謎に包まれたままだ。五味が在日社会との接点について質問したが、正男は口を開くことはなかった。在日闇社会は今も闇に包まれている。

 

暗殺へ

 

ドアン・ティ・フォン容疑者とされる映像。

 

2012年、韓国で拘束された北朝鮮工作員が「金正男を探し出して暗殺せよ」と証言。金正男が暗殺されるのでは?しばらく噂が飛び交っていたが、具体性も信憑性もない報道だったためすぐに風化した。そして2017年2月13日、金正男は右肩にカバンを背負い一人、マレーシアのクアラルンプール国際空港に姿を見せた。自動チェックインに向かった。

女二人に教われたのはその直後である。

 

殺害の実行犯はベトナム国籍のパスポートを所持していたドアン・ティ・フォン容疑者とインドネシア国籍のシティ・アイシャ容疑者。

 

ドアン・ティ・フォン容疑者

 

シティ・アイシャ容疑者

 

犯行前の午前8時45分、二人は現場近くの飲食店にいた。そこで4人の男と合流し、液体を渡された。

 

男達は明らかに東南アジア人ではなく、北方アジア系の風貌だった。

 

 

金正男が現れると、フォン容疑者は液体のついた手袋を正男の顔に付着させエスカレーターへ降りて逃走。監視カメラには左手に黒い手袋らしきものが映し出されていた。

この時、フォン容疑者は両手を前に出す不自然な姿勢で逃げていた。その後、トイレで両手を洗ったという。

 

逮捕されたフォン容疑者は「液体に手袋をつけ、金正男の顔につけた。その後すぐに女子トイレに行って手袋を外し、手を洗った」「液体が劇薬を含むとは知らなかった。知っていたら手に付けることはしなかった」

 

アイシャ容疑者は「100ドルでいたずらビデオの出演を持ちかけられた。罠だとは思いもしなかった」とそれぞれ供述。

 

マレーシア警察は監視カメラの映像から事件の共犯者と思われる男の身元を特定。

複数の共犯者が存在することを突き止めた。

 

リ・ジョンチョル容疑者(46)

 

2月17日、マレーシア当局は主犯格の一人と思われる人物、リ・ジョンチョル容疑者(46)を逮捕した。

ジョンチョル容疑者は北朝鮮の薬学系の大学を卒業、医薬品の取り扱いに精通していると思われる。3年程前からクアラルンプール市内のコンドミニアムに家族4人と暮らしていたという。しかし、就労ビザに登録された企業での勤務実態はなく、給与も受け取っていなかった。収入源は今のところ明らかにされていない。

 

指示役とされる工作員

 

リ・ジヒョン容疑者(32)

 

ホン・ソンハク容疑者(34)

 

オ・ジョンギル容疑者(55)

 

リ・ジェナム容疑者(57)

 

いずれも北朝鮮国籍である。4人は事件当日にマレーシアを出国、スラバヤ、ドバイ、ウラジオストックを経由して北朝鮮へ帰国したと思われる。

 

更に共犯者として

 

リ・ジウ容疑者(29)

 

ヒョン・ガンソン2等書記官

 

国営高麗航空職員のキム・ウクイル容疑者(37)

 

の容疑が浮上している。

このうちヒョン・ガンソン2等書記官は身分が外交官であるため、ウィーン条約によって不逮捕特権があるため、逮捕して裁くのは不可能である。

 

この事件でマレーシア、インドネシア、ベトナムはとばっちりを受けた。

各国はいずれも北朝鮮と友好関係を結んでいた。

 

 

マレーシアと北朝鮮の対立

 

 

マレーシア当局は事件直後の13日、死因解明のため金正男の遺体の司法解剖しようとした。ところが、突如在マレーシア北朝鮮大使館が遺体の司法解剖に強く反対し、火葬を要求してきた。さらに遺体は金正男ではなくただの民間人であると主張。

 

北朝鮮「死亡者は外交官用のパスポートを持っていた。マレーシア政府の司法権が及ばない治外法権の対象だ」

 

マレーシアは北朝鮮側の反発を一旦聞き入れ延期。遺体の引き渡しについては「遺族からの申し出はない」として二週間は遺族からの連絡を待つとした。

しかし、犯罪性が強く疑われるとして15日、司法解剖を行った。

 

16日、

マレーシアのアフマド・ザヒド・ハミディ副首相は記者会見で「すべての捜査と検査が終わったら、関連手続きを踏んで遺体を引き渡す。どの国とも相互関係を尊重するのが我が国の政策だ」と北朝鮮に配慮した声明を発表。

 

その一方でザヒド副首相は、死亡した男性が正男氏であることも正式に認めた。正男氏は死亡時、「キム・チョル」名義のパスポートを所持していた。同副首相は「確認した結果、正男氏は本人名義と『キム・チョル』名義の2つのパスポートを持っていた。身元が分からないように名前を隠して旅行することを望んでいたと見られる」と語った。

 

同日、遺体の身元も金正男本人であることが判明。

韓国の情報当局が提供した指紋などが決定的な役割を果たしたことが分かった。指紋は不法入国事件当時日本当局が採取し、その後米韓に提供したものだったという。

 

17日夜、北朝鮮の康哲駐マレーシア大使がマレーシア政府に正男氏の遺体の即時引き渡しを要求。引き渡しを拒否しているマレーシア政府を「何かを隠し、だまそうとしている」「敵対勢力と結託している」などと批判した。

 

18日、

駐マレーシア北朝鮮大使館が事件に対し声明を発表。

 

一、男性は外交旅券を持つ北朝鮮国民であるため司法解剖を拒否した。

一、解剖結果は受け入れない。遺体を直ちに引き渡すよう求める。

一、韓国当局は政治スキャンダルから逃れようと、北朝鮮のイメージ失墜を図っている。

一、敵対勢力と結託したマレーシア側の態度を容認しない。この件を国際法廷に提訴する。

 

 

20日午前、

マレーシア外務省は康大使を呼んで発言に関し説明を要求。死因特定は政府の責任だと強調する声明も出し、北朝鮮側にも事案の経過は伝えてきたと反論した。

 外務省はさらに、康大使の批判は「根拠がない」と一蹴し、「マレーシア政府の信用を損なう試みを深刻に受け止める」と強調。平壌に駐在するマレーシア大使を「協議のため」に召還すると明らかにした。これを受け、外務省から呼び出された康大使は20日午後、記者会見を開き、「マレーシア警察の捜査を信用できない」と改めて非難した。

 

22日、

北朝鮮・朝鮮法律家委員会は死亡した男性について「外交旅券所持者であるわが共和国公民」と主張、金正男の名前には触れなかった。

 

23日、

北朝鮮が本国で事件を始めて報道。北朝鮮市民が死亡したと発表、責任はマレーシアにあると指摘し、韓国が作った筋書きに沿ってマレーシア政府が「非友好的な態度」を取っていると非難をした。

 

「我々の国民が突然ショック状態に陥り、病院に移送される途中に死亡した」

 

「わが公民がマレーシアの地で死亡したのであるから、これに対する最も大きな責任はマレーシア政府にある」

 

「我々の自主権に対する露骨な侵害だ」(マレーシア側が遺体を司法解剖したことについて)

 

マレーシア政府がわが方に食って掛かっていることこそ、不当千万で厚顔無恥な行為だ」

 

「南朝鮮(韓国)当局がシナリオをあらかじめ作っていた。陰謀策動だ」

 

 

 現地の警察捜査に対しては「客観性と公平性がなく、意図的に事件の容疑を我々にかぶせようとしている」と在マレーシア北朝鮮大使館と同様の主張を繰り広げた。

 

 

23日、

マレーシア政府高官ロイター通信に姜哲(カンチョル)駐マレーシア北朝鮮大使を国外退去処分にするか、在北朝鮮マレーシア大使館を閉鎖することを検討していると述べた。

 

ナズリ観光・文化相は同日、北朝鮮を「ならず者国家」だと痛烈に批判した。

 

 マレーシアのカリド・アブバカル警察長官は同日、記者団に対し、マレーシアが北朝鮮に求めている北朝鮮国籍の4容疑者の引き渡しのため、国際刑事警察機構(ICPO、インターポール)に警告を発してもらうよう要請したと述べた。

 

 

マレーシアの首都クアラルンプールでは、抗議文書を手渡すために政治団体「統一マレーシア国民組織」30名が北朝鮮大使館前に集まりデモを展開した。

 

 24日、マレーシア警察は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏の殺害事件について、VXガスが使われたとの暫定報告を発表した。

マレーシア警察のカリド長官は記者団に「死因はVXだ」と述べ、毒殺が確実になった。発表によると、マレーシア政府の化学兵器分析センターが検査を実施。目の粘膜や顔から採取した試料からVXが検出された。

また実行犯のうち、少なくとも1人がVXによる嘔吐(おうと)の症状を呈していたと明らかにした。

 

 

インドネシアの動き

 

暗殺事件が発生した2月13日はインドネシア統一地方選の投開票を15日に控えていたこともあり、また金正男氏の素性や北朝鮮という国の実情にもほとんど関心がないことなどから、インドネシアではほとんど報道されることはなかった。

しかし、実行犯の一人、アイシャ容疑者がインドネシア国籍と判明した時点から内外のマスコミによる報道が一気に加熱、いまや国民の一大関心事にまで発展している。

現地メディアは首都ジャカル・クラパガディン地区にある「ピョンヤン(平壌)・レストラン」が北朝鮮の諜報活動の拠点だったことを報道。レストランは休業した。

 

また、フィリピンで開催されていたASEAN外相会議に出席していたインドネシアのルトノ外相は、事件の発生を受けて、マレーシアのアニファ・アマン外相に対して、「アイシャ容疑者とインドネシア領事の接見」を要請した。これは国際法で認められている権利であるが、アマン外相は「我が国の国内法では捜査中の容疑者には捜査関係者しか面会できない」として拒絶した。(背景にはマレーシアとインドネシアの外交摩擦があると思われる。)

 

ベトナムの動き

 

ファム・ビン・ミン副首相兼外相はマレーシア側に対し、同国警察に逮捕されているベトナム人と見られる容疑者の女をベトナム外交機関と面会させるよう要請した。

駐マレーシア・ベトナム大使館が同容疑者と面会し国民保護措置を講じることができるよう、マレーシアのアニファ・アマン外相に対し同国の関連機関に働きかけることを求めた。これを受けてアマン外相は、早期に面会の手配を行うことを約束した。

 

24日夜、英BBC放送の報道でベトナムのトー・ラム公安相が「わが国の人民ならば、われわれの法で裁く必要がある」と語っていることが判明。

ただ、公安相は、容疑者との領事面会はまだ実現していないと認めた上で、「国籍と事件関与の有無を確かめるのが先決だ」と指摘した。 

 

中国(中共)の動き

 

2017年2月18日、中国商務部は、北朝鮮からの石炭の輸入を年末まで停止すると発表した。新型中距離弾道ミサイル「北極星2」の発射と金正男氏殺害事件を受け、中国の北朝鮮に対する不満がヒートアップしたことによるものと考えられる。

しかし、中国国内では金正男暗殺の報道はほぼ伝えられず、中国共産党機関紙「人民日報」系の国際問題専門紙「環球時報」だけは外電を引用するなどして事件を詳細に報道した。同紙は「この(暗殺)事件は中国が望んでいる切実な利益とは程遠いものだ。我々が望むのは人類の基本的な正義感から出るものだ」と表現しており、遠回しに不快感を表明したと考えられる。

 

中国では外務省スポークスマンが定例の記者会見で、記者の質問に答えるという形で、「中国側はメディアの関連報道に留意しており、現在、同事件の動向に注意を払っている」と述べて、事件について注視していることを明らかにした。

 

23日、北朝鮮メディアは北朝鮮からの石炭の輸入を、年内停止すると発表した中国を念頭に、「非人道的な措置だ」と非難した。
朝鮮中央通信は、「親善的な隣国」とする周辺国が、国連の制裁決議を口実に、「対外貿易も完全に遮断する非人道的な措置を講じた」と報じた。
さらに、こうした措置は「事実上、北朝鮮を崩壊させようとする敵の策動と一緒だ」と強く非難。
名指しは避けているものの、北朝鮮が中国を批判するのは異例で、中国に対する強い不満が伺える。
これについて、中国共産党系の新聞・環球時報は、「北朝鮮がこれだけ激しく中国を批判したのは初めてで、中朝関係にとって1つの事件だ」と指摘。
そのうえで、「北朝鮮の反発によって、国連決議を順守する中国の立場が変わることはない」と、北朝鮮側をけん制した。

 

台湾の動き

 

2月21日、台湾の週刊誌・週刊王によると、先日マレーシアの空港で北朝鮮の金正男(キム・ジョンナム)氏が襲撃された事件を受け、台湾当局が蔡英文(ツァイ・インウェン)総統の護衛に「神経剤の解毒針」を携帯させることを検討しているという。

 

韓国(南朝鮮)の動き

 

事件直後、韓国報道機関は金正男暗殺が毒針によるものと伝える。(但し遺体に毒針を刺した形跡は確認されていない。)

また、韓国軍は南北境界線では拡声器を使い、金正男暗殺を伝える宣伝放送を流した。

 

日本の動き

 

日本政府は2月15日、金正男暗殺事件について情報収集を本格化させた。マレーシアの警察当局は同日、事件に関与した疑いでベトナムの旅券を持つ女性1人を拘束したことを明らかにしたが北朝鮮の工作員だった場合、第三国の偽造パスポートを使うなどの手口がこれまで確認されており、日本の公安当局などが関連情報の収集を急いだ。
 

また政府関係者の間で事件の実行犯が既に死亡している、別の工作員に殺害されたなどという虚報が流れた。

 

犯行はいたずらか、故意なのか…暗殺犯は筋金入りの工作員?

 

 

実行犯のドアン・ティ・フォン容疑者とシティ・アイシャ容疑者はいたずら動画の撮影が目的で犯行に至ったと主張している。しかし、フォン容疑者は両手を前に出す不自然な姿勢で逃げており、マレーシア当局は犯行は計画的な疑いがあるとして今後も追求していくという。

 

最も注目したいのは二人の女性が工作員に騙されて犯行に至ったのか、現地で金で雇われた殺し屋だったのか、北朝鮮の思想教育を受けた筋金入りの工作員だったのか、実行犯の正体についてである。

 

北朝鮮は過去に日本人を工作員に仕立てたり、現地で雇った中国人に拉致事件の協力をさせた前例がある。

 

八尾恵は北朝鮮の思想に影響を受け、 工作員となって有本恵子さん拉致事件を引き起こしている。

 

2000年には、中国吉林省で韓国人牧師が北朝鮮に拉致された事件が起きているが、実行犯は北朝鮮の秘密警察が雇った中国人4人だったことが明らかになっている。

 

また2008年に韓国で摘発された元正花(ウォン・ジョンファ)元工作員は、韓国中央日報に対し「北から派遣される工作員の数は限られ、現地の人を雇う」と証言している。

 

これらの前例から、ドアン・ティ・フォン容疑者とシティ・アイシャ容疑者が単なる捨て駒と断定するのは早計である。

 

万が一、彼女らが北朝鮮の政治思想に感化し暗殺を実行していた場合、ベトナム政府やインドネシア政府も、北朝鮮との友好関係を見直す必要に迫られるだろう。

 

 

オウム真理教事件と金正男暗殺事件の関係

 

犯行に使われたとされるVXガスは、オウム真理教がサリンと一緒に開発し、襲撃や殺人事件に利用している。隠語では「神通」「神通力」と呼ばれ、滝本太朗弁護士襲撃事件、駐車場経営社VX襲撃事件、会社員VX殺害事件、オウム真理教被害者の会襲撃事件で使用された。

 

オウム真理教・中川智正死刑囚 のコメント

 

 【クアラルンプール岸達也】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏(45)の殺害事件で、1990年代に猛毒のVXで殺人事件などを起こしたオウム真理教の元幹部、中川智正死刑囚(54)が、マレーシア警察によるVX検出の発表(24日)前に、正男氏がVXで襲撃された可能性に言及する手紙を獄中から米国の毒物学者に出していた。学者は「彼の経験が事件解明に役立つのではないか」としている。

 

 中川死刑囚は地下鉄サリン事件や教団による3件のVX襲撃事件に関わったとして死刑が確定し、東京拘置所に収監されている。日本の公安関係者などによると、VXで人を襲撃した事件はこれまでオウム教団が起こした事件以外には明確に確認されていない。

 中川死刑囚が手紙を送った相手は、毒物研究の世界的権威で中川死刑囚の特別面会人として面会を続けてきた米コロラド州立大のアンソニー・トゥー名誉教授(86)。手紙は22日に書かれ、添付メールで手紙を24日に受け取った。

 トゥー氏によると、中川死刑囚は手紙で正男氏が目の痛みを訴えたとする報道に注目し、「目にVXを付着させたのであれば、痛みは当然。症状が早く出て空港内で亡くなってもおかしくない」と指摘。教団の事件を踏まえ「発症までに1~2時間はかかっていた」と言及した。

 正男氏の口のまわりに泡のようなものが付着していたとの報道についても「VXは気道の分泌物を増加させますので、VXの症状と考えて矛盾はありません」と指摘。「VXは猛毒と言われますがサリンと比較すると気化しないので取り扱いは容易。私がVXを取り扱う際には長袖の普通の服に手袋をつけただけでした」と振り返っている。

 中川死刑囚は、誤ってVXを自分の手に付着させ、解毒剤の注射を受けたことを公判で明かすなど、毒性を身をもって知る一人だ。トゥー氏は取材に「突然の手紙で驚いた。マレーシア警察の正式発表前に、彼は症状からVXを予想していた」と話した。

 

 

「オウム真理教家族の会」会長・永岡弘行氏のコメント

 

北朝鮮のキム・ジョンナム(金正男)氏が猛毒のVXによって殺害されたと断定されたことについて、オウム真理教の信者にVXをかけられ一時、意識不明の重体になった「オウム真理教家族の会」の会長の永岡弘行さんは「自分と症状が似ていると思った」と話しています。

永岡さんは、オウム真理教の出家信者を取り戻す活動を行っていた平成7年1月、東京・港区にあった自宅近くの路上を歩いていたところ、教団の信者から後頭部付近にVXをかけられ、一時、意識不明の重体となりました。

その時の症状について永岡さんは、「VXをかけられたことに全然気付かず、30分から1時間くらいたって自宅にいるときに『何だかこの部屋暗いね』というようなことを言ったら、妻が『電気ついているわよ』と言ったそうです。目の瞳孔が縮まっていたのだと思います。それから『暑い暑い』といって服を脱いで汗をかいて、次に目が覚めたのは病院に運ばれて何日かたったあとでした」と話しています。

永岡さんは、今でも右半身にしびれを感じる後遺症があるということです。キム・ジョンナム氏がVXによって殺害されたと断定されたことについては、「最初に事件を知ったとき、自分と症状が似ていると思いました。はじめはちゃんと歩いているけれど、そのうち足元がふらついている。汗もかいていたのでしょう。そうした点からVXかもしれないと思った」と話しています。

 

 

沈黙の在日朝鮮人、沈黙の徐裕行

 

今回の事件で筆者が気になったのは、朝鮮総連、在日北朝鮮人の反応である。

最高指導者・金正日の息子が殺害されたのだから、困惑した声もあるのではないか、マレーシアに対して誹謗中傷を行ってるのではないかと思っていた。しかし、彼らは皆沈黙したままであった。

 

筆者がチェックしているサイトには、北朝鮮系の在日朝鮮人が運営しているブログが複数あるが、金正男の暗殺について言及した書き込みは一切みられなかった。

それどころか、皆ピタリと更新が途絶えたままなのである。

 

うしおくんのブログ(1月30日以降更新なし)

 

 

 

そして、産経ニュース2017.2.24 07:13の記事に以下の記事が掲載されていた。

朝鮮総連が殺害事件に「沈黙」 内部での議論禁止、強制送還以降、関与禁じる

在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(ジョンナム)氏の殺害事件に関する議論を内部で禁止していたことが23日、分かった。政府関係者と朝鮮総連関係者が明らかにした。北朝鮮から朝鮮総連に正男氏の殺害に関する公式見解は伝達されておらず、朝鮮総連も静観していた。

 関係者によると、14日の殺害報道後、朝鮮総連幹部や傘下の商工人らが私的会合を開いたが、朝鮮総連内部の公式会議や報告会で殺害は議題になっていない。

 正男氏は複数回、都内などで観光。2001年5月にはシンガポールから成田空港に到着し、偽造旅券で入国しようとして東京入国管理局に身柄を拘束され、強制送還された。正男氏は金正日(キムジョンイル)総書記の長男で後継候補として名前が挙がっていたが、強制送還で正日氏の怒りを買い、レースから脱落したとみられていた。

 北朝鮮当局は正男氏訪日の際、朝鮮総連関係者が接触して案内役などを務めていたことを問題視し、朝鮮総連幹部に「正男氏に関わることを禁ずる」と指示していたことも判明した。

 ただ、北朝鮮の朝鮮中央通信が23日、北朝鮮の朝鮮法律家委員会がマレーシア当局による遺体解剖を「主権の露骨な侵害」と非難した談話を報じたことから、朝鮮総連関係者は「今後、朝鮮総連幹部らが、同様の内容を申し合わせる可能性が高い」と分析している。

 朝鮮総連は産経新聞の取材に対し、「取材は受けない」としている。

 

 

北朝鮮と比べ、報道、ネットなど情報化が進んでいる日本。

だが、在日朝鮮人たちは自由な環境に留まっているのにも関わらず、日本社会に順応せず、自ら情報統制し、閉鎖的な思想に凝り固まるのである。

 

 

徐裕行がネットでの活動を取りやめてから丁度1年が経つ。

TwitterもFacebookも動きがみられない。

金正男暗殺事件といった重大事件が起きても沈黙し続けたままだ。

そしてこれからも徐は、朝鮮総連の仲間と同様に金正男の殺害については沈黙すると思われる。

 

この沈黙こそ、在日朝鮮人が郷に従わない根拠であり、彼らが北朝鮮政府に対する忠誠心の証なのである。

 

 

追記

産経新聞は2017年4月15日付で「朝鮮総連が正男氏報道で日テレなどに圧力 北朝鮮犯行説を否定する報道を要請していた」との見出しで朝鮮総連のテレビメディアに対する工作の一端を暴露した。

 

2017.4.15

【金正男氏殺害】
朝鮮総連が正男氏報道で日テレなどに圧力 北朝鮮犯行説を否定する報道を要請してた

金正男氏

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が日本テレビとテレビ朝日に対し、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏殺害事件に関して、北朝鮮当局による犯行説を否定する報道を行うよう要請していたことが14日、分かった。朝鮮総連関係者が明らかにした。事件をめぐる朝鮮総連の諜報活動が明らかになるのは初めて。国際社会が北朝鮮による核・ミサイル実験を警戒しているため、朝鮮総連は北朝鮮に有利な報道を促そうとマスコミへの圧力を強めている。

 関係者によると、朝鮮総連幹部がマレーシアで発生した2月13日の事件後、日本テレビとテレビ朝日の報道局員らと接触。金正男氏殺害事件について、北朝鮮当局による犯行説を払拭する報道を行うよう求めた。

 事件をめぐっては、マレーシア警察が、在マレーシア北朝鮮大使館の2等書記官らを重要参考人に位置付けたことなどから、北朝鮮当局による組織的犯行をうかがわせる報道が国内外で行われていた。このため、事件関与を否定する北朝鮮の意を酌んだ朝鮮総連が諜報活動の一環として謀略や宣伝工作を行ったとみられる。

 

朝鮮総連がテレビ各局に圧力をかけていたころ、在日朝鮮人に対しても「マレーシアで殺害されたのは金正男ではなく金チョルという人物だ」とのプロパガンダキャンペーンが展開された。

 

うしおくんのブログ

http://blog.goo.ne.jp/ushioga-iku/e/b88dcab9f2d9900f28813004a8c18cf8

 

 

 

 

2017年2月13日、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮・北朝鮮)の外交官パスポートを持ったキム・チョル氏が、マレーシア・クアラルンプール国際空港にて何者かに襲われて死亡する事件が起きた。

「マレーシア事件」はその後、朝鮮とマレーシアの外交問題へと発展し、1973年から続く両国の大使級外交関係断絶危機までに至ったが、現在は関係修復へと向かう一定のめどが立っている。

被害者の遺体が朝鮮へと送還されたことで、大韓民国(韓国・南朝鮮)が息もつかせぬ勢いで垂れ流していた「北朝鮮犯行説」は完全に崩壊した。

 

(長すぎるので省略)

 

「マレーシア事件」を引き起こした「犯行グループの動機」。
朝鮮が強くなればなるほど、己の「利益」が侵害される者。

それの第一適格者は、「アメリカ」である。

 

 

朝鮮総連・うしお「金正男なんて知らないニダ、あれはキムチョルニダ!」

 

まとめ

 

たとえ敬愛する将軍様の息子でも邪魔者なら殺す

これが金王朝の実態であり、在日朝鮮人忠誠心が杜撰である証左である

 

北朝鮮の強引な外交戦術に振り回されたマレーシアは

北に駐在する自国の大使や国民の安全を考慮

事件の解決を諦めた

 

同年6月にマレーシアは北朝鮮から石炭などの輸入を停止

10月12日、アニファ外相は北朝鮮に置く大使館を閉鎖する意向を表明

 

うしおの関係修復は妄言となり的外れの結果となった