コントロールとは何か?
このブログは、「正しいピラティス」を伝えるためのものではありません。
私が20年以上ピラティスを学び、指導する中で見えてきたこと、感じてきたことを、一人の指導者として綴っています。
身体に絶対の正解はありません。だからこそ、問い続け、学び続けることを大切にしています。
ピラティスには「コントロール(Control)」という原則があります。
でも、「コントロールしてください」と言われても、実際には何をすればいいのでしょうか。
私はレッスンで、こんな例え話をすることがあります。
大きなショベルカーを自由自在に操る達人がいます。
その人の技術は、大量の土を運ぶことではありません。
そんなことは、免許を持っていれば誰でもできます。
本当の技術とは、
ショベルカーでコップにコーラを注げるくらい、細かく操作できること。
これが「コントロール」です。
あるいは、ドローンも同じです。
ドローンの達人は、高速で飛ばすことが上手なのではありません。
風の影響を受けながらも、空中でピタッと一点に止まり、狙った場所へ静かに着陸させることができます。
つまり、
大きく動かすことよりも、小さく正確に動かせること。
それが本当のコントロールです。
コントロールとは「アクセルとブレーキ」のバランス
身体も同じです。
よく私は、
「コントロールとは、アクセルを踏みながらブレーキも踏める状態」
とお伝えします。
もちろん、本当に車で両方踏むという意味ではありません。
動こうとする力(アクセル)と、
止めようとする力(ブレーキ)が、
ちょうど良いバランスで働いている状態です。
筋肉は「力を入れる」だけではありません。
必要な筋肉は働き、必要のない筋肉は休む。
ある筋肉は収縮し、反対側は長さを保ちながら支える。
この絶妙な調整があるからこそ、滑らかで無駄のない動きが生まれます。
どちらか一方だけでは、身体はうまく機能しません。
力を入れすぎても動けない。
逆に力が抜けすぎても安定しない。
その間にある"ちょうどいい状態"を探し続けることが、コントロールなのです。
コントロールとは、細部まで動かせること
私は、コントロールとは
「身体を詳細に動かせる能力」
だと思っています。
例えば、
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指先だけを動かせる。
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胸郭だけを動かせる。
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骨盤だけを前後に傾けられる。
-
背骨を一つひとつ感じながら動かせる。
こうした細かな動きができる人ほど、全身の大きな動きも美しくなります。
細かい操作ができないまま、大きな動きを繰り返すと、いつも得意な場所だけを使い、苦手な場所はますます使えなくなってしまいます。
だからピラティスでは、あえてシンプルな動きを繰り返します。
「こんな小さな動きに意味があるの?」
と思われることがありますが、その小さな動きこそが、身体のコントロール能力を育てているのです。
そして最後は、意識しなくてもできること
最初は意識します。
呼吸を意識する。
骨盤を意識する。
肋骨を意識する。
肩の位置を意識する。
でも、本当のコントロールは、
意識し続けることではありません。
何度も練習し、身体が学習すると、
考えなくても自然にできるようになります。
これは自転車に乗ることや、箸を使うことと同じです。
最初は難しかったことが、やがて無意識でもできるようになる。
これが運動学習です。
ピラティスも同じです。
レッスンの中だけでコントロールできるのではなく、
歩く、立つ、座る、階段を上る…
そんな日常の中で自然に身体が選択できるようになることが、本当のゴールだと私は考えています。
コントロールは「自由」をつくる
コントロールという言葉から、「我慢する」「固める」というイメージを持つ方もいます。
でも、本来のコントロールはその逆です。
細かく調整できるからこそ、身体は自由になります。
自由に動ける人ほど、実は高いコントロール能力を持っています。
だから私は、ピラティスのコントロールとは、
「身体を縛ることではなく、身体を自由にするための能力」
だと思っています。
今日もレッスンで、「うまく動けたか」ではなく、
「昨日より少しだけ、自分の身体を細やかに感じられたか。」
そこに目を向けながら、一緒に身体を育てていきたいと思います。
身体に絶対の正解はありません。
今日の内容も、現場で学び続ける私自身の一つの視点です。
「ピラティスは、するものではなく、生きるもの。」
「ピラティスは、動きを学ぶことではない。身体との対話を育てることである。」
