「コアを使ってください。」その言葉の意味を、私たちは本当に理解しているのだろうか。
このブログは、「正しいピラティス」を伝えるためのものではありません。
私が20年以上ピラティスを学び、指導する中で見えてきたこと、感じてきたことを、一人の指導者として綴っています。
身体に絶対の正解はありません。だからこそ、問い続け、学び続けることを大切にしています。
レッスンでよく聞く言葉があります。
「コアを使ってください。」
「インナーユニットを締めて。」
「お腹を引き込んで。」
私自身も以前は、何気なく使っていました。
でも、最近よく考えるのです。
そのキューイングで、本当にその人のコアは働いているのだろうか。
実際、インストラクターでも、コアという概念が持てている場合はいいが、本当にコアを使うということについて
十分に自分の体の中で再現性は持てているのだろうか。
コアという言葉は、とても便利です。
でも、その便利さゆえに、「何となく分かったつもり」で使ってしまっていることはないでしょうか。
例えば、若い人と高齢者では身体が違います。
また、
出産経験のある女性と、また20代の未出産経験者は、きっと、腹壁や骨盤底筋の状態も異なります。
側弯や姿勢の左右差がある方では、胸郭や骨盤の位置関係そのものが違います。
呼吸の癖も違えば、身体の使い方の歴史も違います。
同じ「コアを使って」という一言で、本当に同じ反応が起こるでしょうか。
私は、そうは思えません。
最近、私が感じているのは、
**コアは「使うもの」ではなく、
「その人なりの使い方を一緒に探していくもの」**なのではないか、ということです。
「締めてください。」
と言われても、締める場所が分からない人もいます。
一生懸命締めようとして、
息を止める人。
肩が上がる人。
腰を反らせる人。
骨盤を固めてしまう人。
それは、その人が間違っているのではありません。
その身体で、一番頑張れる方法を選んでいるだけなのです。
私は最近、「コア」「インナーユニット」という言葉を以前ほど簡単には使わなくなりました。
鍛錬された方なら、このキューは有効的ですが、
むしろ見ているのは、
骨盤が安定しているか。
そして、
胸郭と骨盤が良い関係性の中で動けているか。
さらに、
その安定性を保ちながら、呼吸が止まらずに四肢が自由に動けているか。
そこに注目しています。
私にとってコアとは、腹筋を締めることではありません。
身体の中心が、その人にとって最も効率よく機能している状態なのです。
もちろん、そのためには腹横筋や横隔膜、多裂筋、骨盤底筋といったインナーユニットの働きは重要です。
しかし、それらは単独で存在しているわけではありません。
呼吸、胸郭の可動性、骨盤の位置、股関節、脊柱…。
身体全体との関係性の中で初めて、その働きが発揮されます。
だから私は、「インナーを締めましょう」というキューイングだけでは足りないと思っています。
もっと多要素を含めたものであり、一つではなく、たくさんの要素が必要であり、その中身は人それぞれのようだと思っています。
ピラティスは、ただエクササイズを教える仕事ではありません。
私は、
その人が身体の中心をどう感じ、どう安定させ、どう動きにつなげられるのか。
その答えを一緒に探していく仕事だと思っています。
だから評価があり、
呼吸を観察し、
姿勢を見て、
エクササイズを選び、
反応を見て修正する。
この繰り返しがあるからこそ、指導には意味があります。
「コアを使ってください。」
その一言を伝える前に、
その人にとってのコアとは何か。
そこを考えることが、インストラクターとして最も大切な仕事なのかもしれません。
身体に絶対の正解はありません。
だからこそ、目の前の一人ひとりの身体に問い続ける。
私は、そんなピラティスをこれからも学び続けたいと思っています。
「ピラティスは、動きを教えることではない。身体との対話を育てることである。」
身体に絶対の正解はありません。
今日の内容も、現場で学び続ける私自身の一つの視点です。
「ピラティスは、するものではなく、生きるもの。」
「ピラティスは、動きを学ぶことではない。身体との対話を育てることである。」

