# 正しい姿勢とは何でしょうか?

 

「正しい姿勢」と聞くと、多くの方は

背筋を伸ばすこと、胸を張ること、まっすぐ立つこと

をイメージされるかもしれません。

 

もちろん、それも一つの要素ではあります。

 

けれど、私は長年ピラティスをお伝えしてきて、

正しい姿勢とは、単に“きれいな形を作ること”ではないと感じています。

 

正しい姿勢とは、

**自分の身体を感じ、自分にとって無理のない位置に戻っていける力**

なのではないでしょうか。

 

私たちは案外、自分の身体を分かっているようで分かっていません。

 

他人の姿勢はよく見えます。

 

「あの人、猫背だな」

「あの人、肩が上がっているな」

「あの人、姿勢がきれいだな」

 

そんなふうに、人のことはよく分かるのに、

自分が今どんな姿勢で座っているのか、

どこに力が入っているのか、

呼吸が浅くなっているのか、

足の裏でちゃんと床を感じているのか。

 

そう聞かれると、意外と分からないものです。

 

そしてもっと言えば、

**分かっていないことにすら気づいていない**

ことも多いのです。

 

姿勢は、突然悪くなるものではありません。

 

毎日の座り方、立ち方、歩き方。

スマホを見る時間。

仕事中の緊張。

家事をするときの癖。

人に気を遣いすぎること。

頑張りすぎること。

我慢すること。

 

そうした日々の習慣や行動、思考の積み重ねが、

少しずつ身体に表れていきます。

 

いつも肩に力が入っている人は、

身体も心も緊張しやすいかもしれません。

 

いつも前かがみになっている人は、

呼吸が浅くなっているかもしれません。

 

いつも片側に体重をかけて立つ人は、

身体の使い方に偏りが出ているかもしれません。

 

つまり姿勢は、

その人の生活そのものを映し出しているとも言えます。

 

だからこそ、姿勢を変えるためには、

ただ「背筋を伸ばしてください」と言うだけでは不十分です。

 

その場ではきれいに見えても、

身体がその姿勢を理解していなければ、

またすぐに元に戻ってしまいます。

 

大切なのは、

自分の身体に気づくことです。

 

今、どこに力が入っているのか。

どこが抜けているのか。

どこが動きにくいのか。

どこを使いすぎているのか。

どこを全く使えていないのか。

 

それを少しずつ感じられるようになること。

 

ピラティスの良さは、まさにそこにあると思っています。

ピラティスは、ただ筋肉を鍛えるものではありません。

自分の身体を感じ、理解し、整えていく時間です。

 

「私はまっすぐ立っているつもりだった」

「力を抜いているつもりだった」

「呼吸しているつもりだった」

 

でも実際に動いてみると、

自分が思っていた身体と、実際の身体に違いがあることに気づきます。

 

この“気づき”がとても大切です。

 

自分の身体を感じているようで、

実は感じていない毎日。

 

忙しさの中で、

自分の身体の声を聞かずに過ごしていることは多いのではないでしょうか。

 

でも、もし日常の中で

「あ、今肩に力が入っているな」

「今日は呼吸が浅いな」

「今、片足にばかり体重をかけているな」

と気づけるようになったら。

 

身体は少しずつ変わっていきます。

 

そして、身体を感じられるようになると、

きっと毎日が少し楽しくなるのではないかと思います。

 

なぜなら、自分の身体が分かるということは、

自分自身を大切にできるということだからです。

 

正しい姿勢とは、

誰かに見せるための姿勢ではありません。

 

無理に作るものでもありません。

 

自分の身体に気づき、

自分にとって心地よく、動きやすく、呼吸しやすいところへ戻っていくこと。

 

それが本当の意味での

「正しい姿勢」

なのではないでしょうか。

 

姿勢を整えることは、

身体を整えること。

そして、日々の自分の在り方を整えること。

 

ピラティスを通して、

そんな自分自身への気づきを、

少しずつ深めていただけたら嬉しいです。