「ピラティスを仕事にするということ ― 好きより深い理由がある」
ピラティスが広がり、
たくさんのスタジオや指導者が生まれるようになりました。
その中でときどき、
「ピラティスを仕事にする理由」について考えることがあります。
スタジオを経営する人には、
経営そのものに興味があって始めた人もいれば、
ピラティスを伝えたくて結果的に経営者になった人もいます。
どちらが良いとか悪いではなく、
根っこの価値観が違うだけ。
大切なのは、
その違いを敵にしたり、比較したりしないことだと思います。
■ 私は、経営は得意ではありません
正直に言えば、私は経営が得意ではありません。
数字を分析したり、戦略を立てたり、効率を追いかけるよりも、
目の前の人の体を見て、
その人に合う動きを探していく時間のほうが好きです。
それでもピラティスを仕事にしているのは、
「この動きが人を変える」という実感を
どうしても伝えたかったからです。
■ 最初はピラティスが大好きだったわけではない
本当のことを言うと、
私は最初からピラティスを好きだったわけではありません。
むしろ、
自分に合っていないと感じた時期もありました。
でも、結果が出始めたとき、
体が変わる感覚に気づいたとき、
「この奥に何があるんだろう?」
と、自然に知りたくなりました。
そこから学びが止まらなくなり、
気づけば、知りたいこと・深めたいことが山ほど出てきて、
その探求心が今の働き方につながっています。
■ 自分で動くことと、人に教えることは違う
私はいつも、
「ピラティスをすること」と
「ピラティスを教えること」は別の世界だと感じています。
自分ができても、
それを人に伝えるには“別の技術”が必要です。
だからこそ、
私は“趣味の延長”ではなく、
仕事として向き合いたかった。
趣味と言われたこともあります。
でも、もし本当に趣味だったら、
こんなに学び続けたり、
海外まで足を運んだり、
時間もお金も心も使って、ここまで続けられないと思います。
私は、
好きだからこそ、
“趣味以上の努力”をしてきました。
知識欲も探究心も、
仕事をするための準備であり、
私にとっては自然な行動です。
■ 私が伝えたいピラティス
私は、ピラティスで人生が変わった人を何人も知っています。
動ける嬉しさ、
痛みから解放される安心、
呼吸が深くなる喜び、
自分の体を信じられるようになる瞬間。
そのひとつひとつが、
私がこの仕事を続けられている理由です。
だからこそ、
経営を軸にする人とも、
探求を軸にする人とも、
互いに比べる必要はありません。
価値観が違えば、
選ぶ道が違うのは当たり前。
私はただ、
「私が大切にしたいピラティス」を、
誠実に積み重ねていきたい。
それだけです。

