第6試合 アクトレスガールズ10周年記念試合
スペシャルタッグマッチ30分1本勝負
安納サオリ&なつぽい vs 夏葵&植原ゆきな
久しぶりにアクトレスガールズに里帰りした安納サオリとなつぽい
サオリは前体制のラストの時の後楽園に出て惡斗と組んでデビューしたての頃の夏葵と一度対戦しているが、それ以外は全くの初顔合わせ。
なつぽいに関しては退団以来の登場だから7年ぶりくらいか。

スーパーかどうかは定かではないが
セコンドに本間多恵と尾崎妹加も来た。











サオリは握手を拒否。なつぽいはぽいで返す。

先発はなつぽいと夏葵。

この二人、初対決ながら深い縁がある。
アクトレスガールズの舞台「カウント2.9」で主人公一ノ瀬一二三を初演で演じたのがなつぽいで、その役を以降の公演で夏葵が引き継いだ。

つまり二人の一ノ瀬一二三が相対してるわけだが。

そうした縁もある二人が遂にこうして本番の試合でやり合うのはいかがなものだろうか?



久しぶりに見たなつぽいムーブ。

それについて行く夏葵。








次いでサオリと対決した植原ゆきな。
キックを打って行くが
逆にかかと落としが。








キックをキャッチされ、ものの見事にドラゴンスクリューに振り回される。

これが世界の洗礼!




この特別試合は通常のプロレスルールで行なわれている。
だから通常アクトレスリングにない30分1本勝負になっている。
つまりシナリオがない。

無論シナリオがないことはリミットを考えなくてもいいので夏葵たちにもメリットはあるが。
次に来る攻撃の予測がつかないと
手痛いダメージを食らう。

サオリは四の字固めからブリッジで起こしてきた。
おそらく今も使ってるだろうが
これは彼女がデビュー当時からやっている動き。
試合の中で原点に立ち戻る。


足を殺され、次第に孤立させられる植原。
サオリとなつぽいの連係にここまでの緻密な流れはアクトレスガールズ時代にはなかった。
ここからはスターダムで得た成長の証。








完全に試合を楽しんでいるサオリとなつぽい。
なんとか返したい植原だが
一発の蹴りで簡単に返される。

当たり前だが、まだキャリア半年の植原にはこうした試練を受けた経験がない。



しかしこれをヒップアタックで返す植原。
ここが彼女がこの試合に選ばれたスペシャルなところ。
普通の人が物怖じするようなことを躊躇しない。






ようやく夏葵登場!
ひととおり技を出した後
ハロホールドで絞りあげる。

あのような技は見たことないのか
さすがに警戒レベルが上がる。









しかし夏葵の攻撃を受けて
サオリも逆にギアが入る。






サオリから交代したなつぽい。
夏葵めがけて飛翔する。




こちらもギアが入ってきたなつぽい。
ところが待っていたのはカウンターのニー!





ギアが入ったからこそ打ち合う二人。







予測はしていたが、いざやると予想以上に踏み込んだ戦いに没頭した二人。
なつぽいの追撃のドロップキックを見た客席からはエグっ!と驚きが。





初対決ながらお互いの攻撃を読んでいた動きもあった二人。
本能で動いたのもあるだろうが、夏葵の場合は相手がプレミアなだけにいつも以上に集中を高めてたのはあるはず。 





しかし夏葵のピンチに咄嗟に飛び出した植原ゆきな。
ただのキャリア半年の新人ならそうはならないはず。




夏葵が動かした仕掛けを読んでいた二人。

ところがダブルのキックは夏葵にかわされて空振り!

すかさず植原も出てきてダブルのカウンター!

これは驚いた。サオリとなつぽいが逆に裏をかかれた。











夏葵のキューティースペシャルはカウント2.9!
通常ならこれで決まってるとこだが。







カウンターで蹴り返したなつぽいは
ジャーマンで投げ捨てしながら上体を起こす。

あそこまで反っておいて自力で戻すのは常識じゃあり得ない。
とんでもない柔軟性と身体能力。






今度は切り返しから
夏葵が逆にカウンターのmidnight sunを繰り出すがサオリが飛び出しカット!




だが植原もノータッチで入ってきて
ジャックハマーで叩きつけてフォローする。



その間に夏葵はダイビングフットスタンプを決めるが。

ダイビングフットスタンプを決めた夏葵を背後からつかまえたサオリがジャーマンで引っこ抜く。
これも普通なら思いつかない反撃!


カットに来る植原をダブルで蹴散らし
セットアップすると。












フェアリアルギフトで夏葵から3カウントを奪ったなつぽい。

アクトレスガールズでもスターダムのトップと堂々戦えることは証明したが、やはり世界標準は高かった。
想像以上に白熱した熱戦だった。
終わってみればレジェンド二人の完勝だが
プロレス本職でキャリアも倍近い彼女らとはレベル差がかなりあるから仕方のないことではあるが
それでも夏葵たちは今出来る力をフルに使いよく頑張った。



いつかまた上のステージで
再会を誓いあう二人。

しかしまだ十周年の記念ステージは終わらない。
今度は本間多恵と尾崎妹加のSPiCEAPが
10.1後楽園に参戦決定。
カードはまだ未定だが、もうすぐ引退を控える本間多恵とはこれがまずほぼラストの対戦になるだろうから、どのチームが名乗りを上げるか注目だが。



アクトレスガールズ十周年

と言っても実際十年ずっといたのは坂口代表ぐらいで
選手はずっと十年いたわけじゃない。

けど十年経ってから思うのは
十年前に誰も知らないところからコツコツやってきた努力がようやく実を結んだ。

アクトレスガールズから巣立っていった人たちをいつかみんな集めて同窓会みたいなのがあったらいいなとずっと思っていたが

こうして二人が顔を出して
試合してくれたことが嬉しい。

アクトレスガールズのポーズの小指は
再会を約束した小指である。














KING OF RING ENTERTAINMENT CHAMPIONSHIP 
【王者】水嶋さくら vs 汐月なぎさ【挑戦者】
今回はAWG王者の才原茉莉乃がメインのタッグ戦に出てるため、シングルのタイトル戦はこのKING戦のみ。
挑戦者は汐月なぎさであるため、ほとんど同門対決のような図式になった。



二人はupdate+というチームのチームメイトでもあったし、同じ事務所でもあるし、もちろん同期である。
現在は向かう方向性が違ってそれぞれ別のチームやタッグに属しているが、本質的なものは何ら変わりがない。
とはいえこうした大舞台でシングル戦で向き合う機会はなかなかないし、汐月に至ってはおそらくシングルのタイトル挑戦自体初なのでは?
とにかく気合いが入るシチュエーションである。

まずは挨拶がわりのチョップを一発!




汐月と正面からやり合う以上チョップは避けて通れない。
最初から真っ向から打ち合う展開となったが
お互いにかなりの痛みを耐えることに。













展開を変えてきた水嶋は汐月の腕を殺しにきた。
蹴りやギロチンで痛めつけて





腕を取りにきた水嶋は下から脇固め。
ブリッジを加えたことで水嶋らしい安定感が出せた。






しかし汐月も得意のバッククラッカーで反撃!



向こうが腕攻めならこちらは腰攻め。
サソリ固めを仕掛ける汐月だが
柔軟性のかなり高い水嶋にはもっと反り上げなければ。







水嶋も反撃に出るが
スライディングアタックはかわされて



コーナーから腰にチョップ!



さらに場外でもチョップで突進!




ところがなぜかリング内に戻らず
エプロンで打ち合ってしまう二人。




カニ挟みで転倒させ
ドロップキックで打ち落とす。




追撃を狙う水嶋はコーナーへ

豪快にプランチャーを敢行!




これでリング内に戻した水嶋は一気にラッシュする!





619も

さらにはキルスイッチと
出し惜しみしない。




そして足を固めたまま
リバースチキンウイングのような形に入るが
水嶋のあの柔軟性だ。あり得ないほどに反り返ってしまう。


さらに飛び込んだ横回転エビ固め! 早いっ!





しかしボディアタックを受け止めた汐月は




パワーボムかと思われたが
落差を利用してのバッククラッカーだった。
これはかなり強烈!
しかしこれはあの落差から人の体重を受け止めるから汐月の膝もただでは済むまい。
まさに捨て身技!


だがそこに畳み掛けるようにメイルストロムボム!
しかしカウント2!





すると今度はブルーサンダーへ。
こんな技レパートリーにあったか?
これもカウント2!










汐月怒涛のラッシュ!


二度めのトライでようやくダブルアームスープレックスに。
しかしこれもダメ!





ならばと戦場はコーナーへ。



ぶら下がりになった水嶋にチョップを振り下ろす。



水嶋はスクールボーイに持っていくも、これでも決まらない!


となればもう残りはブロッサムアーチホールドしか残されていない。
一発では足りないと見たか、二発連続で放つ。

いや、ダメ押しの三連発。
これでようやく決まった!






汐月は惜しかったが、わずかな差で王者水嶋さくらの防衛。
お互いに今できることを出し尽くした感はあったが、おそらくはシングル戦でのビッグマッチでの経験の差。
わずかに差があったとしたらそこだろう。
福永莉子戦、そして今回の汐月なぎさ戦を見て水嶋さくらはある程度チャンピオンとしての形が安定してきたのかもしれない。
ただまだ人数のいるアクトレスガールズでは防衛戦に名乗りを上げてきそうな人はいくらでもいる。
ノンタイトルで敗れたという岩井杏加とやるのもいいし、まだ挑戦者に見過ごしてる人もいるかもしれない。
一方敗れたとはいえ汐月なぎさはいっとき自分はかなり低い評価をしたこともあったが、その頃と比べたら充実度はだいぶ変わった。

目新しい変化はそれほど多くはないけど、以前に見られなかった勝負への執着心、闘争心が大幅にアップしてるし、以前はやられたらそのままズルズルやられるがままだったが、今はもう前に前に行こうという意思が強く感じられるから全然いいと思う。

すぐにとはいかないかもしれないけど、あの調子をキープして努力し続ければ必ずまたチャンスは巡ってくると信じている。











第4試合
入江彩乃&荒幡寧々 vs アンリ&永井絵梨沙
第四試合は共にタッグトーナメント戦に出場した入江組のおさつまとアンリ組のPolaris☆の対決。
チームの総合キャリアで言うとおさつまが圧倒的に先輩だが。








先発は入江彩乃とアンリ。
入江は手首を負傷しているようで、おそらく本調子にはほど遠い体調だったかもしれないが
勢いのあるアンリに対してほとんど寄せつけない完璧な試合運びをしていく。





体格差もあるとはいえ、ほとんど一方的に。
隙あらば永井も蹴り落とされる。

その間にノータッチで入ってきた荒幡寧々がロメロスペシャルを決めると
さらに蹴りを加える入江。 

序盤に仕掛けられて完全に守りに入ってしまったアンリ。
とりあえずは一度流れを変えておきたい。

ヒップドロップ(雷電)でなんとか一つ返し
永井につなぐ。


しかし永井もレッグドロップをかわされ
逆エビに。
入江彩乃一人にすら完全に振り回されてる。






まるで散歩するかのように次々と技を決める入江。





永井も負けじとガンガン攻撃を出していくが
果たして効いているのか?



ならばとPolaris☆は頭を使った連係。
永井が放った入江をアンリが蹴り返すと、後ろで待っていた永井が丸め込む。

しかし入江は河津落としですぐ反撃。
やはり小細工程度では足を止めることすら出来ないか。


それならば荒幡の方から攻略すべきか?
荒幡は最近舞台関係の仕事が多く
少し試合間隔が空いていたが。

いや、やはりちょっとブランクある程度ではさほど影響はない。
弱点が見当たらないとなるとどう攻めるか
と言うより現状をどうしのぐか?

しかしそれでもめげないところが永井のいいところ。
駆け上がり式スイングDDT型スモールパッケージで丸め込む。
正式名称はまだ考え中だとか。




体格差のある荒幡を投げきった!

分断しておいてからロープの反動を利用したRKO!
これは考えた。


ダブルドロップキックではさみ撃ちに。
ようやくPolaris☆が反撃の流れを掴んできた。

雷電を落とすアンリ。

これは前から飛びついてのフェイスクラッシャー!

さらにクリストに飛びついたが
早い!!!



だがスピードでは勝るが、パワー差はどうしようもないので抱えたまま引きずられてしまう。
アンリの体格ではだいたいの場合がパワー負けするから、そこをどう補うかはもう半永久的な課題なのだが。
ただ現状では永井という同士がいるため
足りない分はお互いでカバーできる。
タッグの力を1プラス1イコール2を3から4に上げていくとはそういうことだ。

だが永井が荒幡の足を引っ張って止めたのに
入江が勘良く出てきてアンリをカットしてしまったので連係ならず。
しかしこれがベテランの味。
これは入江を褒めるべきか。
入江が永井を阻止してるうちに喉輪をアンリに押し込む荒幡。
連係のそつのなさはおさつまもさすがにチームとして完成されている。




喉輪の連発からネックハンギングボムへ。
アンリの苦手な力押しに出てこられたが永井がここはいいフォローを見せる。

飛び込んできた入江に咄嗟にRKO!



その間に飛び出したアンリだが
喉輪に押し込まれてダウン。



荒幡はここでブレーンバスター。
フィニッシュにも用いる一発だから食ったらヤバイが。


これも永井が必死にカット!
防がなきゃ完全に負けている。

いかずち(トップ雷電)から。







クリストの形で入り込んで、今度はエビ固めに丸め込んだアンリが荒幡から大金星!
荒幡とMARUが抗議するがこれは認められず。
試合には全般的に苦戦したが
諦めないで頑張っていたら金星が向こうから転がりこんできた。





だが金星ではあるけど、自分の中で意外に驚かず、わりとこういう風になるのでは という予感はあった。
それはアンリが不思議とツキを呼び込むラッキーガールの星があるのか、運も実力のうちというけど、アンリはわりとこういう運の星回りが人よりだいぶ良いのではと思うようになってきた。
それと比例するかのように永井やPolaris☆も
いやそこに限らずといろとか同じ世代の選手たちにも影響が出るようになった。
永井はこれでデビュー1周年。
アンリは次の10月で1周年。
まさか1年未満の新人たちがここまで話題を引っ張ってくれる存在になるとは思わなかった。
こういう若手がいるということが
今のアクトレスガールズにとっての何よりの宝である。