9:10 スタート
号砲が後方に鳴り響いた。
このワクワクする感覚…3年前と同じ
違うのは雨が降っていることくらい
この雰囲気、この空気、この香り
自分の故郷で走れる喜びは何とも言えないものだった。
喜び過ぎていると周りが見えなくなる自分、でも今回は周りが見えている。
何故なら“我先に”という思いがあったら
こんな水溜りに突っ込んでいただろう…
今回は思った以上に冷静な自分がいる。
スタート直前、アシックスの池田コーチに遭遇
「寒いだろうけど楽しんでー!」
「雨だけど楽しんできます!行ってきます!!」
話をしているうちにスタートラインへ
さぁ始まるぞ~~~~高鳴る気持ちを抑えながら
「焦らなくていいんだから1キロ5:40ペース。5:40なら4時間は切れる。
行けるから行けるから、焦るな焦るなよ~」
改めて自分に言い聞かせた。
新宿の大ガードが1km地点 入りは1km5:30
「よしよし、このペースでOK」
歌舞伎町の両サイドの沿道は埋め尽くされている
雨が降る中の声援に応えながら3km、4kmと進んで行く
「気持ちイイ~」
この雰囲気!これなんだよ東京マラソン!
だから毎年申込んでしまう。
前方に“チーム平井”と書かれたTシャツが見えた
「もしかして…」そう思いながら「平井さん…ですよね?」
「ハイ!」
NHK天気予報士の平井信行さんであった。
「5月の春日部大凧マラソンに参加しますね!」とご挨拶。
「そうですか!どうも~」とハイタッチ。気さくな方であった。
平井さんと別れ自分の走りに集中するが
この時ペースアップしていた…1km5:10…速い!
自分自身に
「行くなよ~今無理したってしょうがないんだよ!
こんなんじゃ埼玉マラソンの時と同じになるぞ!抑えろ!」
それでも行こうとするカラダ…
「行きたい奴は、行かせれば良いんだから!何を焦ってる?!」
そんな自分に声を掛けたが
「雨は嫌いじゃないから…行けそうな気がする…。」
(この、せっかち!)
「こいつ分かってねぇなぁ~!!」
今回は、自分自身と仲が悪い…そんな気がしていた。
それでも何度となく「抑えろ、抑えろ」と言い聞かせていた。
飯田橋の交差点を右折
JRの高架をくぐった所でトイレに駆け込んだ。
これでトイレの悩みは消え、走りに集中できる。
6km過ぎ 飯田橋一丁目を神田方面へ左折し神保町を目指す
7kmの給水所を通り過ぎたところで「Y・M・C・A」の曲が流れている。
以前、小川町駅の裏手に
母校である東京YMCA社会体育専門学校があった。
まさか、ここで聴くことが出来るとは思ってもみなかった!
分かっていて流してくれたのか?偶然なのか?
もちろん頭の上でY・M・C・Aをやりながら笑顔で通り過ぎた!
8kmを過ぎ 須田町を曲がる手前でモデルの七海さんに遭遇
「七海さん?焦らず楽しんでね~!」
「ハイ!楽しみます。ありがとうございます。」
人に言ったつもりが自分に言い聞かせていた。
この時、1km5:10 まだまだ速いでも気持ちが良い…。
「走ることってホント気持ちが良いなぁ~」と感じながら神田駅を過ぎて行った。
次に向かうべきは10kmを過ぎた茅場町のポイント。
ここには当店を利用しているお客さんたちの応援団が待っている。
日本橋は、10kmのフィニッシュ地点。
そこを横目に見ながら左折
しばらく行くと10kmの給水所が見えてきた。
ここはテーブルも多くあり給水者も多い…ごった返している!
アリが巣に戻るのと出ていくのとでぶつかりそうになる
そんな光景に思えたら笑えた。「俺は働きアリか!」
給水を終え茅場町を左折
そこには皆が待っていてくれた!!
「皆さんお待たせしました~写真撮りますよ~」
こんなに寒い中、応援に来てくれるなんて感謝しかない!
知らない方の声援も嬉しいけど、顔見知りの声援はもっと嬉しい!
「では、行ってきま~す!」
皆さんに手を振り再び走り出した。
浜町中ノ橋を左折
ここで走りながらカラダを見直す。
「足の指先は噛んでいないか?足首はどう?膝は…股関節は…」
下半身から上半身まで力が入っていないか確認。
上半身と下半身の動きはどうか?肩は?呼吸は…。
やはり寒さの影響か肩から肩甲骨が固まっている。首も!
走りながら肩甲骨を動かし、肩を上下に上げ下げ、
気持ちは…「まだまだ余裕!」
浅草橋を過ぎた辺りで、反対車線に先頭の中継車が来るのが見えた!
「トップ集団は何人?大迫選手は?神野大地選手は?」
そんなことを考えているうちに中継車がドンドン大きくなる
周りのランナーからも「大迫、先頭かなぁ」「誰だろうね~」など
の声が聞こえてきた。さぁ、中継車の後ろは…!!
「大迫いないぞー!どうしたー?!」
「日本人いないぞ~!」そんな声が響き渡っていた。
その直後、日本人の集団
そして大迫選手が通り過ぎて行った…苦しそう。そう感じた!
右手に蔵前橋
門前仲町を折り返して来るランナーが橋を越えてくるのが見えた。
この後、自分も通過する場所
早く行きたくてしょうがなかった…本当は抑えなければいけないのに
またまた気持ちが焦っている。この時1キロ5:10~15
次は浅草雷門!
そう考え蔵前の駅を越えたところでコースメイクした14kmが終わった。