AKB48G☆マジすか学園☆乃木坂46☆欅坂46☆櫻坂46☆日向坂46☆好きな 「かつブログ☆」 -26ページ目

マジすか学園GX☆#4ー2☆

『やめて!』

幼い少女は、毎日のように、叔父に虐待を受けていた。

『もう、やめて...、もう...、叩かないで...』

そんな
少女の声が、届くことはなく...

来る日も...来る日も...、叔父からの虐待は、続けられた。身体中、傷だらけ。しかし、発覚を恐れ、叔父が、少女を、病院に連れていくことはなく、何度か、少女は、生死の縁をさまようこともあった。

そんな
ある日──。

(『やめて!もう、やめて!』)

拳が、肉の塊を殴る音。

(『やめて!お願い!』)

止まらない。

止むことのない暴力。


(『お願い!もう、やめて!もう...これ以上...、“叔父さんを”殴るのは......』)


☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..

現在───

渡辺リカが、ふと目を覚ます。

ここは、公園のベンチ。先程まで暴れていた商店街から、少し離れた場所。

隣には、チームMARRYのリーダー格、お嬢様然とした菅井ユウカの姿があった。

わたし...、また、やっちゃったんだ...

というような表情で、リカは、ベンチに座り直すと、拳についた赤黒いものを見つめた。その様子を見て、優しく問いかけるユウカ。

「また...、昔のことを思い出していたんですの?」

リカは、こくりと頷く。


「何度も言うようですけど、あなたは、悪くはありませんわ。それは、少年法がどうのという問題ではなく」


「でも...」


「世の中、善だとか悪だとか、きっちり線引き出来るものではないんですのよ。そんな単純な二元論で語れるほど、わかりやすくはありませんわ。グレーゾーンがまかり通っていますのよ、この世は。オフホワイトとかね」

クスっと笑いながら、菅井ユウカは、自論を展開する。


「あなたが、解離性同一性障害であろうが、ただの喧嘩っ早い女の子であろうが、関係ありませんのよ。あなたは、あなた...ですわ」

「わたしは...、わたし...?」

「少なくとも、チームMARRY(わたしたち)は、みんな、そう思っています」

タブレットで、“卒業試験”の進捗状況をリアルタイムで更新している、“プリズン”特設サイトを眺めながら、

「それに、大丈夫ですわよ、今回は。たまたま、相手が、卒業試験の“対象者(ターゲット)”でしたので」

むやみやたらと一般人を傷つければ、強制終了もありえるのだが、
対象が、『ランキング』メンバーであれば、関係各所に忖度もはたらくのであった。“プリズン”の運営は、日本政府主導の国家機密という噂もある。あくまで、公表は、はばかられることではあるが。

「これで、ベリカさんには、まず、2ポイントが入りましたわ。幸先が良いですわね」

本人が、望むと望まざるとに関わらず。


「“対象者(ターゲット)”マジすか女学園三年、鬼塚だるま。ランキング『第19位』──。まあ、雑魚の部類ではありますけどね」

菅井ユウカが、微笑む。



遠くで、救急車のサイレンの音がした。




マジすか女学園──


「前田たち、遅(おせ)ぇなー。どこまで探しに行ったんだ?」

いつもの如く、
ヲタ及びチームホルモンの面々は、ホルモン中であった。

「やっぱり、おれたちも、一緒について行けばよかったかな?学ランみたいにさ」

バンジーの提案に、ウナギが、応える。

「なんで、オレ達が、だるまのやつなんか探しに行かなきゃいけねーんだよ。どうせ、途中で、何か買い食いでもしてんだろ?たぶん、たこ焼きとかな」

「ありえるな。いや、逆に、なんか、それ以外、ありえない気がする」

ホルモンを頬張りながら、アキチャが、勝手に、断定する。

「...............」

「どうした?」

ムクチが、無言で見つめる視線の先──教室の入り口には、
真っ赤なパーカーのフードを被ったネズミと松井ジュリナ、二人の姿があった。

「どうもっス。前田に用があったんスけど、今日は、いないっスか?」

「ああ。何か、だるまを探しに行ったまま、帰ってこねぇ」

ヲタの言葉に、

「そうっスか...。だったら、いいっス」

「おいおい!何か言いたいことあったんだろ?何だよ!気になるじゃねーか」

「そうっスね。まあ、これは、アンタたちも、無関係とは言えないんで...」

「もったいつけてんじゃねーよ!さっさと言いやがれ!」

「昨日、矢場久根のやつらと、やりあっちまったんだ」

ジュリナが、渋々といった態で切り出す。

ホルモンが焼かれた七輪を囲み、話し始める。
大阪で、ディーヴァとやり合ったチームホルモンたちに負けず劣らず、傷だらけの顔の二人に、苦渋の色が濃く滲んでいた。


「なにっ?矢場久根とは、休戦協定結んでるだろうが!そこらの雑魚と小競り合いでもしたってのか?」


「いや。相手は、矢場久根の総長(トップ)...、市川ミオリだ!」


「なんだと?」

どこが、どうなって、矢場久根の総長とやり合うことになったのか。ヲタたちには、見当がつかなかった。

「あっしが...」

単身、矢場久根のアジトに殴り込みに行った
ネズミの言葉を制し、ジュリナは、語る。

「矢場久根(やつら)は、ずっと、マジ女(うち)を潰す機会を狙ってたんだ。こっそりとな。近隣の学校を次々と制圧していき、うちらを助けてくれていた、アンダーガールズの元特攻隊長や親衛隊員たちも倒され...、近く、マジ女(うち)に総攻撃を仕掛けてくるところだったんだ...。それを察知したネズミが、わたしと...」

「なんてこった!それで、どうなったんだ?」

「矢場久根死天王のオメガは、ジュリナが倒したんスけど、市川とは、結局、決着が、つかなかったっス」

「そうだったのか...。まあ、この際、やっちまったもんは、仕方ねぇ」

「おっ?なかなか、理解ある先輩気取ってるじゃねーか?で、この先、どうなると思う?」

ウナギが、ヲタに、訊く。

「そんなもん、考えなくても、わかンだろ?」

その時。

ずっと無口を貫いていた
ムクチが、キメ顔で、口を開いた。


「こりゃあ、『大戦争』の始まりやで!」


関西弁が、何故か、抜けていない、ナニワ臭漂うムクチであった。



公園──


『そうか。まあ、無事でよかった。小さな獲物も狩れたみたいだしな』

「ええ。不幸中の幸いといったところでしょうか」

菅井ユウカが、志田マナカに電話で、状況を伝えていた。


「それでは、一旦、学校へ戻りましょう。今後の戦略を話し合うために」

むやみやたらと“対象者”を狙っていっても、効率化ははかれない。また、警戒されてしまうことにもなる。さらに、今後は、渡辺リカも狙われる可能性が出てきた。この“卒業試験”は、あくまで、目立たなく、それでいて、確実に、物事を遂行していかなければいけないのだ。


『そうだな...。こっちは、少し、遅れるかもしれねーけどな』

「どうかなさいましたか?」

次の瞬間。
スマートフォン越しに、マナカの悦びの声が、ユウカの耳に伝わってきた。


『大物、見つけたぜ』

マジすか学園GX☆プリズン編その2☆

〝 さあ
とうとう、この日が、やって参りましたぁあああああ!!!
東ゲートからは──
最強、最高、最アンド高!常勝無敗!
チームMARRYのぉおおお
登場だぁああああああああ!!!〟

スピーカーから発せられる
実況アナウンサーの煽りに、
地鳴りのように、
観覧席からは、歓声が湧き上がる。古代ローマの円形闘技場(コロッセオ)を思わせる“プリズン”内の施設。ここが、定期的に行われる戦闘(バトル)の舞台だ。

「うぉおおおおおお!!!」

「キタキタキタァ──────!!!」


「リサぁああああ!!!」

「ベリカぁああああ!!!」

「菅井様ぁああああ!!!」

「モナぁあああああああああ」

「軍曹ぉおおおおおお!!!」

あちらこちらから、
黄色い声援が飛び交う。
ほぼ全員が、何らかの理由で、プリズンに集められた少女たち。唯一のストレス発散が、この戦闘(バトル)観戦だった。

未だかつて、負け知らず。
全戦全勝。
常勝軍団──。五人のメンバー全員が、クラスS(最上位)。
それが、チームMARRY。

実況のアナウンサーが、興奮気味に、続ける。

〝 さあ、
対しましては!

こちらは、ニューフェイス、平手ユリナの実力やいかに──
それ以外は、クラスCのただの雑魚(笑)たちぃいいいい!

その名もぉおおお

チームゼロプラスぅうううううう!〟


「うぉおおおおおおお!」「すぐに、やられちまえぇええええ!」「思いっきり、負けろぉおおおおおおお!」

完全アウェイな雰囲気が、蔓延している。強さと人気は比例するのであった。

〝 さあ
今回は
チームMARRY相手に
どんな
負けっぷりを見せてくれるのかー!

楽しみですねー
特別ゲストで
解説の長濱ねるさん?〟

〝 ふふ...、最高かよ〟

〝 え...、えーと...、さあ、チームMARRYに次ぐ実力者の長濱ねるさんも楽しみにされているこの一戦。ただ、チームゼロプラスは、もう負けられない崖っぷち。少しは、粘りを見せてくれることに、ぜひ、期待しましょう!〟


チームゼロプラス陣営では、織田ナナが、観客の声援や、実況の音声に、舌打ちする。

「チェッ!あいつら、すげー人気だな、相変わらず─、ムカつくぜ。
絶対(ぜってー)、ぶちのめしてやる!そして、わたしたちが、初めて、やつらに、土をつけてやるんだ!だから──」

残りの
メンバーに向けて言う。

「先鋒は、わたしに、行かせろ」


「えっ?だって、いつもは...」

髪を短くした今泉ユイが、驚きの声をあげる。

「相手が相手だからな。今日は、わたしから、行くぜ。
見てろよ。平手。必ず、勝つから」

「わかった...」

平手ユリナが、入所してから、まだ、日は浅い。しかし、その間、いろいろな出来事があった。そのことが、チーム五人の絆を、より深めていた。

石森ニジカが、織田ナナの肩に手を置き、
「観客(あいつら)は、いい気なもんだよね。わたしたちは、もう、後がないっていうのに」

周りのお祭り騒ぎとは違い、今日、負ければ、
“排除”される。いやがうえにも、悲壮感は漂う。

「わたしたち五人は、仲間以上に、もはや、家族なんだ。だから、ここは、まず、お姉ちゃんに任せろ。
アオイも、ちゃんと見てろよ。わたしたちは、もう負けられねーんだからな」

震えるアオイも、先日、ついに、異能(チカラ)が、発現していた。

「うん!見てる!もう、『R12』とか、言わせない!」

織田ナナは、拳を胸に当て、前に突き出す。原田アオイも、同じように、拳を突き出した。今泉ユイも、石森ニジカも。そして、最後に、平手ユリナの拳が、そこに、合わせられた。


東ゲート。
チームMARRY陣内では、リーダー格の菅井ユウカが、立ち上がる。

「じゃあ、いつもの通り、わたくしのほうから、行かせていただきますわ」

涼しい顔の
志田マナカ、渡邉リサ。
ザ・クールの二人に、異論はなかった。

「いいんじゃね?」

「ああ、めんどくさ」

直後。
軍曹と呼ばれる守屋アカネが、異変に気づいた。

「あれ?ぺーは、どこ行った?」




〝 さあさあさあッ!注目の先鋒対決はぁああああ、チームゼロプラスからは、普段は、大将である織田ナナが、先陣を切るぅううううう!これは、やはり、絶対に負けられない気持ちのあらわれかぁああああ!対しまして、チームMARRYからは.........。

おや? 誰も出てきません!これは一体!どういうことでしょう!何やら、揉めているのでしょうか?〟

長濱ねるが、ぼそっと。

〝 もう、出てる〟

〝 えっ?〟

実況アナが、ねるの言葉に、目を凝らす。

〝 おおーっと!これは!いつの間にっ!静かに忍び寄る影ぇえええ!織田ナナ選手の背後に立つのは、超絶ビューティ渡辺リカ選手だぁああああ!〟

「はっ」

織田ナナが、気配を感じたときは、すでに、渡辺リカの拳が、動き出していた。振り返る間もなく。

〝 織田選手、顔面を殴られ、吹き飛ぶぅううううう!と同時に、いま、ゴングが打ち鳴らされたぁああああ!〟

「これが、戦闘(バトル)か...」

平手ユリナが、見つめる。およそ10メートル四方の石畳の闘技場。ロープなどはない。

「そうだよ...。ルールは、ただひとつ。『何をやっても構わない』ってこと」

ニジカが、ため息をつく。

勝敗は、相手がギブアップするか、または、戦意喪失、10カウントダウンなどで決する。

平手の瞳には、額から血を流し、
それでも、立ち上がろうとする織田ナナの姿があった。

〝先手必勝ぉおおおおお!これは、 一方的だぁああああ!圧倒的な強さ!これが、渡辺リカ選手の肉体強化系の異能(チカラ)──『サイレントマジョリティー』どぉぁああああ!〟

筋力(パワー)、俊敏性(スピード)、すべてが、格段に通常時よりアップしている。ベリカ弐号機(通称)。
なす術なく蹂躙される織田ナナは、
石畳の上を、ただ、殴られ、転がり続けていた。


〝 どうですか?解説の長濱ねるさん。織田ナナ選手のほうは、このまま、異能(チカラ)を使うことなく、終わってしまうのでしょうか!ベリカ弐号機(通称)にボコボコのべッコボコにされちゃいますよね?〟

〝 バカだね...〟

〝 ですよねー。ほんとに、バカとしか言えませんよねー、このままじゃ...〟

〝 バカとは、お前のことを言ってるんだ。このバカ実況!〟


〝 えっ?〟


〝 織田ナナは、すでに、異能(チカラ)を使ってるよ〟

チームゼロプラス。
先鋒
織田ナナ。
能力名──『キミガイナイ』

瞬間的な移動能力。


〝 一瞬で、移動できる距離自体は、大したことはない。けど、彼女は、その異能(チカラ)を使って、かろうじて、急所だけは外してる。そうじゃなければ、とっくに終わってるはずだ〟

織田ナナは、
傷だらけの顔を、ジェノサイドマシーンのようなベリカに向け、

「はぁ...、はぁ...、やべぇ...このままじゃ...やられちまう...」

拳を固く、握りしめる。


「..............................」

返り血を浴び、
うっすら笑みをこぼしながら、
無言で、迫るベリカ。
しかし、彼女の心の中の葛藤は、誰にも計り知ることは出来ない。

(「やめて!もう...、お願いだから...」)



所長室──

戦闘(バトル)を映し出している複数の
モニターを眺めながら、いつも以上に妖艶な雰囲気を醸し出している所長は、強面の看守長に問う。


「あの子は、いつ、出てくるのかしらねぇ?」

「それは、平手...ユリナのことでしょうか。しかし、彼女は...」


「ええ。結局、これまでの間に、異能(チカラ)の発現は、見られなかったということだったかしら?」

毎日、種々
様々なカリキュラムをこなしてきたが、“プリズン”側が、思うような結果は得られなかった。

看守長は渋々、うなずく。

「そのようです。ただ...」

「──?」

「不可解なのが、
通常、微弱でも、何かしら計器類に反応はあるはずなんですが、彼女の場合...

...計器類が、まったくと言っていいほど、反応を示さなかったそうなのです」


「ふふふ...。あの子は、“神の子”なの...。普通とは、違うわ。だって、あの子は、これまで、想像を絶するほどの地獄を味わってきたのだから」


『うぁあああああああああああ!!!!!』







「あの子が、異能(チカラ)を発揮するのは、これからよ」

「彼女は、無事、戦闘(バトル)をクリアし、卒業試験に臨むことが、出来るのでしょうか」


「看守長、あなた、『蠱毒』というものをご存知かしら?」

「たしか...、古代中国で、行われていた呪術だと、聞き及んでおります」

蠱毒。
百種の虫を集め、大きなものは蛇、小さなものは虱と、ひとつの壺に封じ、互いに喰らわせ、最後に残った、最も強くまた生への執着の強い一匹を使役し、毒とするもの。


「ここ、『プリズン』は、まさしく、蠱毒の壺のようであり、巨大な実験室のフラスコとも言えるのよ」

その中に、さらに、“下界”の強力な毒虫を入れてみたら、どうなるか?

「いったい、どんな、素晴らしい『毒薬』が出来上がるのか。いまから、とても、楽しみだわ」




一ヶ月後──

ついに、
卒業試験が、開始されることとなった。


平手ユリナ以下
チームMARRY、長濱ねる、他
十数名が、プリズンを一旦、仮出所の運びとなり、“下界”(プリズンの外)へ、降りる。


プリズンが定めた“下界”における『ランキング』メンバーを、倒すと、上位ランカーに応じて、その都度、ポイントが与えられる。さらに、ポイントを保持しているプリズンメンバーを倒した場合、そのポイントを奪うことも出来る。まさに、バトルロワイヤル。
期間は七日間。

旧約聖書の『創世記』によると、神は、天地創造を七日間で行なったという。

平手ユリナは、誓う。

「わたしは、信じてる。必ず、奪われた自由を取り戻す。みんなで─」と。









───罪は信じたこと

             罰は出会ったこと───

                                        (『自分の棺』より)



Illustration by   ななきさん

”マジすか学園GX☆プリズン編☆”