マジすか学園GX☆#4ー1☆
その日、関東地方は、抜けるような青空が、広がっていた。
私立
欅女学園──
音楽室兼
吹奏楽部室。
いくつかの
眩しく光り輝く金管楽器、ピアノ、そして、あまり、見慣れない楽器などが、散見する室内。
その中に、紺色のセーラー服に、白いスカーフの五人の生徒たちが、たむろしていた。皆、脛に傷を持つ少女たち。ちなみに、制服は、二種類あるらしい。
ドドン!
「聞くところによると、長濱ねるが、“プリズン”に『回収』されたらしいな。せっかく、『仮出所』できたってのに、もう、出戻りとは...、可哀想に」
明るい髪色の
ショートカットの少女──志田マナカが、ぶっきらぼうに、首からぶら下げた白いスマートフォンを
指にストラップを巻き付けるように、回転させながら、言った。
「ああ、ランキング『第9位』とやり合って、ほぼ、相討ちだったとか...、ちょ、ちょっと、リカ!こぼすんじゃねーよ!」
モデル並みのスタイルの良さと可愛さを兼ね備えた少女──
渡邊リサが、
テーブルの上にあった、紙パックの牛乳を、ぶちまけてしまった、美形の少女──渡辺リカを、叱りつけるが、
当の本人は、何食わぬ顔で、金色のチューバに絡みついていた。赤ん坊のように。相変わらず、何をしでかすか、読めない少女だった。
「所詮、やつは、『クラスB』レベルさ。『ランカー狩り』は、ウチら“チームMARRY”に、任せとけっての」
ドドン!
「あまり、派手に動きまわっては、いけませんよ。警察に捕まった時点で、即アウトなんですからね。わたくし、マナカさんのことが、心配でたまりませんわ」
黒髪ロングの超絶お嬢様風の少女──菅井ユウカが、たしなめる。さながら、生徒会長のように。チームの作戦立案は、彼女が担当している。その手には、何故だか、乗馬用の鞭が、握られていた。
「『不良少女特別更生プロジェクト』か。んなこと言ってて、“チームゼロプラス”のやつらに、先越されねーといいけどな」
マナカが、毒づくと、
「それこそ、無駄な心配でしょ。あっちは、平手以外は、『クラスC』レベルの雑魚揃いなんだから」
机の上を綺麗にし終えた
リサは、軽い調子で応えた。
ドドン!
「てか、さっきから、ドンドンうるせーんだよ!軍曹!」
軍曹と呼ばれた
長い髪を編み込んで、後ろで束ねた少女──守屋アカネは、笑顔で、
「和太鼓は、日本の心!“チームMARRY”!完全勝利いただくよー!」
ドドンドン!と勢いよく、
和太鼓の音が、室内に、轟いた。
勝利のためには、手段を選ばない。
笑顔が逆に恐怖を植え付ける鬼軍曹。決して、ふざけているわけではない。ただ、不自然に、この部屋に置かれていた和太鼓が、少し、気に入っただけだった。
何気に無視(スルー)して、マナカは、言った。
「ったく、それにしても、なんで、吹奏楽部なんだろうな。別に、オレら、全然、楽器なんて触ったこともないってのに」
「まあ、そこは、所長の趣味なんじゃないかしら?この『卒業試験』を突破すれば、自由になれるのだし。それだけじゃないわ。どんな希望(ノゾミ)も、“プリズン”が、ひとつだけ、叶えてくれるんですもの。多少の不都合には、目を瞑りましょう」
「そうだな。まあ、『上位ランカー』のほうは、オレに任せな」
「ああ、めんどくさ...」
志田マナカ。
渡邊リサ。
二人は、時に、戦闘(バトル)における、その冷徹非情さから、
『ザ・クール』と呼ばれ、チーム内でも、一二を争う異能力者であった。
「リサは、めんどくさがりだからな。ところで...」
「どうかした?」
「ベリ、どこ行った?」
渡辺リカが、いない。
「ウソ!さっきまで、そこらへんで、フラフラしてたのに」
リサが、立ち上がる。
「ヤバくない?」
「かなり、ヤバい...かもな。あいつ...、放っておいたら、何やらかすか、わかったもんじゃねぇ...、無闇に『変身』してなきゃいいが...」
「急ぎましょう!ベリカのもとへ」
最後に、
守屋アカネが、叫ぶ。
「“ぺー”を、探せぇえええええええ!」
ドドン!
商店街──
鬼塚だるまは、たこ焼き屋の前で、迷っていた。
「手羽先も、ええんやけど、大阪から帰ってきたら、なんや、たこ焼き、食いたなったなー。ソースの匂いが、恋しゅうて。もう、このまま、学校行ったって、完全に、遅刻なんやし、オバチャン!たこ焼き、ひとつ!」
そうして、だるまは、めでたく、一限目をサボることに決めた。
店の前のベンチに座って、ネギのたっぷりのった出来立て熱々のたこ焼きを、美味しそうに頬張る。
「まいうーやで」
そのとき。
そっと
覗きこんでいる高校生らしきセーラー服の美形の少女に気づいた。
「なんや、たこ焼き、欲しいんか?」
こくこくと、頷く見知らぬ少女。
「じゃあ、一個だけやで」
だるまは、その少女の小さな口に、たこ焼きを、放り入れた。
幸せそうに、その少女──欅女学園の渡辺リカは、頬張った。もぐもぐ、と。
すると、また、じーっと、たこ焼きを、見つめてくる。
「もう、ダメじゃ!一個だけ、言うたやろが!やらへんで」
身体全部で、たこ焼きを隠すようにするだるま。
直後。
重力を無視したかのように、
ふと、自分の身体が、軽くなるのを感じた。
「な...、なんや...?」
道行く人たちが、ギョッとして立ち止まる。
驚くべきことに、
誰が見ても華奢な少女が、後ろから、だるまの襟首を掴み、
軽々と、その巨体を吊るし上げていた。
それも、“片腕一本”で。
力を込める。
「ぐわぁあああああああああああ!」
だるまの絶叫が、商店街の喧騒を切り裂いた。
欅女学園三年。
渡辺リカ。
能力名──『サイレントマジョリティー』
私立
欅女学園──
音楽室兼
吹奏楽部室。
いくつかの
眩しく光り輝く金管楽器、ピアノ、そして、あまり、見慣れない楽器などが、散見する室内。
その中に、紺色のセーラー服に、白いスカーフの五人の生徒たちが、たむろしていた。皆、脛に傷を持つ少女たち。ちなみに、制服は、二種類あるらしい。
ドドン!
「聞くところによると、長濱ねるが、“プリズン”に『回収』されたらしいな。せっかく、『仮出所』できたってのに、もう、出戻りとは...、可哀想に」
明るい髪色の
ショートカットの少女──志田マナカが、ぶっきらぼうに、首からぶら下げた白いスマートフォンを
指にストラップを巻き付けるように、回転させながら、言った。
「ああ、ランキング『第9位』とやり合って、ほぼ、相討ちだったとか...、ちょ、ちょっと、リカ!こぼすんじゃねーよ!」
モデル並みのスタイルの良さと可愛さを兼ね備えた少女──
渡邊リサが、
テーブルの上にあった、紙パックの牛乳を、ぶちまけてしまった、美形の少女──渡辺リカを、叱りつけるが、
当の本人は、何食わぬ顔で、金色のチューバに絡みついていた。赤ん坊のように。相変わらず、何をしでかすか、読めない少女だった。
「所詮、やつは、『クラスB』レベルさ。『ランカー狩り』は、ウチら“チームMARRY”に、任せとけっての」
ドドン!
「あまり、派手に動きまわっては、いけませんよ。警察に捕まった時点で、即アウトなんですからね。わたくし、マナカさんのことが、心配でたまりませんわ」
黒髪ロングの超絶お嬢様風の少女──菅井ユウカが、たしなめる。さながら、生徒会長のように。チームの作戦立案は、彼女が担当している。その手には、何故だか、乗馬用の鞭が、握られていた。
「『不良少女特別更生プロジェクト』か。んなこと言ってて、“チームゼロプラス”のやつらに、先越されねーといいけどな」
マナカが、毒づくと、
「それこそ、無駄な心配でしょ。あっちは、平手以外は、『クラスC』レベルの雑魚揃いなんだから」
机の上を綺麗にし終えた
リサは、軽い調子で応えた。
ドドン!
「てか、さっきから、ドンドンうるせーんだよ!軍曹!」
軍曹と呼ばれた
長い髪を編み込んで、後ろで束ねた少女──守屋アカネは、笑顔で、
「和太鼓は、日本の心!“チームMARRY”!完全勝利いただくよー!」
ドドンドン!と勢いよく、
和太鼓の音が、室内に、轟いた。
勝利のためには、手段を選ばない。
笑顔が逆に恐怖を植え付ける鬼軍曹。決して、ふざけているわけではない。ただ、不自然に、この部屋に置かれていた和太鼓が、少し、気に入っただけだった。
何気に無視(スルー)して、マナカは、言った。
「ったく、それにしても、なんで、吹奏楽部なんだろうな。別に、オレら、全然、楽器なんて触ったこともないってのに」
「まあ、そこは、所長の趣味なんじゃないかしら?この『卒業試験』を突破すれば、自由になれるのだし。それだけじゃないわ。どんな希望(ノゾミ)も、“プリズン”が、ひとつだけ、叶えてくれるんですもの。多少の不都合には、目を瞑りましょう」
「そうだな。まあ、『上位ランカー』のほうは、オレに任せな」
「ああ、めんどくさ...」
志田マナカ。
渡邊リサ。
二人は、時に、戦闘(バトル)における、その冷徹非情さから、
『ザ・クール』と呼ばれ、チーム内でも、一二を争う異能力者であった。
「リサは、めんどくさがりだからな。ところで...」
「どうかした?」
「ベリ、どこ行った?」
渡辺リカが、いない。
「ウソ!さっきまで、そこらへんで、フラフラしてたのに」
リサが、立ち上がる。
「ヤバくない?」
「かなり、ヤバい...かもな。あいつ...、放っておいたら、何やらかすか、わかったもんじゃねぇ...、無闇に『変身』してなきゃいいが...」
「急ぎましょう!ベリカのもとへ」
最後に、
守屋アカネが、叫ぶ。
「“ぺー”を、探せぇえええええええ!」
ドドン!
商店街──
鬼塚だるまは、たこ焼き屋の前で、迷っていた。
「手羽先も、ええんやけど、大阪から帰ってきたら、なんや、たこ焼き、食いたなったなー。ソースの匂いが、恋しゅうて。もう、このまま、学校行ったって、完全に、遅刻なんやし、オバチャン!たこ焼き、ひとつ!」
そうして、だるまは、めでたく、一限目をサボることに決めた。
店の前のベンチに座って、ネギのたっぷりのった出来立て熱々のたこ焼きを、美味しそうに頬張る。
「まいうーやで」
そのとき。
そっと
覗きこんでいる高校生らしきセーラー服の美形の少女に気づいた。
「なんや、たこ焼き、欲しいんか?」
こくこくと、頷く見知らぬ少女。
「じゃあ、一個だけやで」
だるまは、その少女の小さな口に、たこ焼きを、放り入れた。
幸せそうに、その少女──欅女学園の渡辺リカは、頬張った。もぐもぐ、と。
すると、また、じーっと、たこ焼きを、見つめてくる。
「もう、ダメじゃ!一個だけ、言うたやろが!やらへんで」
身体全部で、たこ焼きを隠すようにするだるま。
直後。
重力を無視したかのように、
ふと、自分の身体が、軽くなるのを感じた。
「な...、なんや...?」
道行く人たちが、ギョッとして立ち止まる。
驚くべきことに、
誰が見ても華奢な少女が、後ろから、だるまの襟首を掴み、
軽々と、その巨体を吊るし上げていた。
それも、“片腕一本”で。
力を込める。
「ぐわぁあああああああああああ!」
だるまの絶叫が、商店街の喧騒を切り裂いた。
欅女学園三年。
渡辺リカ。
能力名──『サイレントマジョリティー』



