#6
ガチャリ
重々しい扉を開く前田。
室内は、バスケットボールコートほどの広さの空間。壁はすべてコンクリートうちっぱなし、足下もまた、コンクリート。どこか寒々しい。
何もない殺風景な部屋だ。よく見ると、壁や床には血の跡のようなものがいくつもあった。
部屋の中央には、黒の特攻服の背中が見える。
「親衛隊…?」
前田の問いに、特攻服を翻し振り向く、髪の短いボーイッシュな少女。
「待ってたぜ!前田!オレが、親衛隊十人衆のひとり、ニシナカだ!」
がっしりした肉体。
まるで、筋肉の鎧に覆われているかのようだ。
前田の姿を下から上に値踏みするように見つめ、ニシナカは言った。
「全然、強そうに見えねーな。うちの特攻隊がやられたのが信じらんねーぜ」
「生徒会長は?」
「そいつは、オレを倒せたら、教えてやるよ!」
不敵な笑みを浮かべるニシナカ。自信が全身に溢れている。
「最初っから、本気で、きやがれ!前田!」
そっと眼鏡を外し、相手を睨みつける前田。
「マジだよ…」
重々しい扉を開く前田。
室内は、バスケットボールコートほどの広さの空間。壁はすべてコンクリートうちっぱなし、足下もまた、コンクリート。どこか寒々しい。
何もない殺風景な部屋だ。よく見ると、壁や床には血の跡のようなものがいくつもあった。
部屋の中央には、黒の特攻服の背中が見える。
「親衛隊…?」
前田の問いに、特攻服を翻し振り向く、髪の短いボーイッシュな少女。
「待ってたぜ!前田!オレが、親衛隊十人衆のひとり、ニシナカだ!」
がっしりした肉体。
まるで、筋肉の鎧に覆われているかのようだ。
前田の姿を下から上に値踏みするように見つめ、ニシナカは言った。
「全然、強そうに見えねーな。うちの特攻隊がやられたのが信じらんねーぜ」
「生徒会長は?」
「そいつは、オレを倒せたら、教えてやるよ!」
不敵な笑みを浮かべるニシナカ。自信が全身に溢れている。
「最初っから、本気で、きやがれ!前田!」
そっと眼鏡を外し、相手を睨みつける前田。
「マジだよ…」
#6
「柏木先輩…」
ブラックの突然の出現に驚きと切なさの入り混じった表情を浮かべるアルファ。
「阿部、サドさんから離れろ」
感情をおさえた口調で、ブラックはアルファに向かい合った。
「やっぱり、先輩は篠田のことを…」
「だまれ!阿部!」
反論を許さない厳しい言葉をピシャリと投げかけるブラック。
「サドさん。後輩のオトシマエは、自分につけさせてください」
「わかった。邪魔はしねえよ」
サドは、一歩下がり、この闘いを見届けることにした。
「来い!阿部!」
「柏木先輩…いきます!」
アルファは、意を決して、攻撃してきた。
ブラックは、向かってくるアルファの背後に瞬時にまわりこむ。
しかし、そこにアルファの姿はすでになかった。
一瞬の間隙。
逆に、アルファが、ブラックの背後にあらわれた。
同時に、手刀が、ブラックの背中に打ち下ろされる。
「くっ」
アルファの初撃が決まった。
続けざまに、アルファが連続で、手刀を繰り出す。
ブラックはかろうじて、避けてはいるが、すべてを避けきることができずにいた。スピードの差は歴然だった。
(やはり、スピードでは、阿部の方が上か)
サドは、苦々しい思いで、見つめていた。
ブラックの突然の出現に驚きと切なさの入り混じった表情を浮かべるアルファ。
「阿部、サドさんから離れろ」
感情をおさえた口調で、ブラックはアルファに向かい合った。
「やっぱり、先輩は篠田のことを…」
「だまれ!阿部!」
反論を許さない厳しい言葉をピシャリと投げかけるブラック。
「サドさん。後輩のオトシマエは、自分につけさせてください」
「わかった。邪魔はしねえよ」
サドは、一歩下がり、この闘いを見届けることにした。
「来い!阿部!」
「柏木先輩…いきます!」
アルファは、意を決して、攻撃してきた。
ブラックは、向かってくるアルファの背後に瞬時にまわりこむ。
しかし、そこにアルファの姿はすでになかった。
一瞬の間隙。
逆に、アルファが、ブラックの背後にあらわれた。
同時に、手刀が、ブラックの背中に打ち下ろされる。
「くっ」
アルファの初撃が決まった。
続けざまに、アルファが連続で、手刀を繰り出す。
ブラックはかろうじて、避けてはいるが、すべてを避けきることができずにいた。スピードの差は歴然だった。
(やはり、スピードでは、阿部の方が上か)
サドは、苦々しい思いで、見つめていた。
#6
アンダーガールズ総本部指令室のモニターのひとつ、エントランスホールの監視カメラの映像に、親衛隊十人衆の須田アカリが入ってくる様子が映し出された。
「いろいろ、仕事させてくれたみたいだなー。うちの隊のやつに」
アカネは、自分に無断で、隊員を使役されたことを言外に非難していた。
「須田は使えますからね。いろいろ働いてもらいましたよ。いろいろと…ね」
マサナの返答に、また、なんか企んでるな、と言いたげな目をなげかけるアカネだった。
「ほら、前田も入ってきましたよ」
エントランスホールを見まわす前田。自動で動いている監視カメラの存在に気づき、鋭い眼差しをレンズに向けた。
「威勢がいいねー」
モニター越しに睨み合うアカネと前田。自然と笑みがこぼれるアカネ。
前田は、すぐに、その場を離れ、奥へと進んだ。
監視カメラは、それぞれの部屋にはもちろん、廊下や階段、いたるところに設置されていた。
親衛隊十人衆のひとりがいる部屋の扉の前に立つ前田。
「いよいよ…か」
アカネも、このゲームに興味を示し始めていた。
前田が、扉に手をかけた。
「ゲームスタートです」
マサナが、死のゲームの始まりを告げた。
「いろいろ、仕事させてくれたみたいだなー。うちの隊のやつに」
アカネは、自分に無断で、隊員を使役されたことを言外に非難していた。
「須田は使えますからね。いろいろ働いてもらいましたよ。いろいろと…ね」
マサナの返答に、また、なんか企んでるな、と言いたげな目をなげかけるアカネだった。
「ほら、前田も入ってきましたよ」
エントランスホールを見まわす前田。自動で動いている監視カメラの存在に気づき、鋭い眼差しをレンズに向けた。
「威勢がいいねー」
モニター越しに睨み合うアカネと前田。自然と笑みがこぼれるアカネ。
前田は、すぐに、その場を離れ、奥へと進んだ。
監視カメラは、それぞれの部屋にはもちろん、廊下や階段、いたるところに設置されていた。
親衛隊十人衆のひとりがいる部屋の扉の前に立つ前田。
「いよいよ…か」
アカネも、このゲームに興味を示し始めていた。
前田が、扉に手をかけた。
「ゲームスタートです」
マサナが、死のゲームの始まりを告げた。