ボツになったお話☆
【エリアK】
歩きだす前田に、駆けるように近寄っていった学ランたち四人は、
思いもよらない言葉を投げかけられることとなった。
「ど、どういうことだよ!敦子!」
学ランが、耳を疑い、声を荒げる。
「もう一度、言おうか…」
前田が、振り返り、言葉を発する。
「…お前たちの気持ちは嬉しい、だけど…、いや、だからこそ、ここからは、わたし一人で行く。これは、わたしの問題だ…」
予想外の台詞に、学ランが、絶句する。大阪まで、やって来て、多くの障害を乗り越え、死に物狂いで、ようやく、見つけ出すことができたのに。ようやく、出逢えたというのに─。歌舞伎シスターズとだるまたちも、同様に驚きの色を隠しきれなかった。
「もう、わたしに関わるな…、わたしは、“マジ女”をやめた人間なんだ…、だから…、」
「一人でなんて、無茶ですよ!そんな身体で!まだ、ディーヴァは、何百人もいるんですよ!」
小歌舞伎がそう言うのも無理はなかった。
前田の制服は全身、ズタズタに切り刻まれており、顔は泥にまみれ、酷く傷ついていた。いままでのダメージを考えると、立っているのが不思議なくらいだった。
「それでも─」
「学校やめたら、もう、赤の他人だってのかい?いままでの関係は何だったんだよ!そんな簡単なものだったのかよ!」
「歌舞伎…」
大歌舞伎も糾弾するように、。
「説明してくれねーか?俺たちにもわかるように」
「おい!だるま!お前からも何とか言えよ!黙ってねぇでさ!」
「あのおひとが、関わっとるんやないですか?あつ姐の大親友(マブダチ)やった…、」
「だるま…」
「あつ姐が、仲間のことを考えて、仲間を守るために、ひとりで突っ走るっちゅうのは、ようあることや…、けど…、今回は、それだけと…ちゃうような気がするんや…、なんか…、初めて会うたときみたいな…、マジ女に来たばっかりの…、誰も寄せつけん、あのときの…あつ姐みたいや…
また、あのときのあつ姐に戻るつもりですか?」
だるまの目が、寂しそうに
「昨日の夜、ディーヴァの岸野が…」
「ああ、ホルモンたちから聞いたよ。なんとか、峠は越えたらしい…、ひどい話だぜ」
「今日、総攻撃をかける」
「それだけじゃなかった」
「『みなみ』の“死”に、ディーヴァの総帥が、関わっている、と」
「どういうことでっか?」
「守れなかった…、助けてやることが出来なかった」
「わたしは、怖いんだ…、もう、後悔したくない」
「同じだよ…、お前が死んだら…、第二の、第三の『前田敦子』が生まれるだろう…、そんな思いを、うちらにさせるつもりなのか!?」
「自分さえ良ければいいのかよ!」
「もう、誰も…失いたくないんだ」
「わたしたちが、お前を守るよ」
「水臭いねー。そんなの当たり前じゃないか」
「ひとりの手のひらですくえる量なんて、たかがしれてるんだよ」
「こぼれたものは、わたしたちが受け止める。そのために、わたしたちはいると思ってる。それが、前田四天王」
「お前は、やめたつもりでも、」
「そんなに簡単じゃねーんだよ!仲間(ダチ)の絆を断ち切るってのはね」
学ランが、一通の封書を地面に叩きつけた。
「校長からの伝言だ…、『生きて…戻ってこい』ってな」
「これは、マジ女のOG会からだ」
「苦しくなったら、中を開けろ」
「勝利の手羽先か?」
「これは、あつ姐にしか、似合いまへん」
「」
「言っても無駄だな…」
「忘れてたよ…、お前たちも、バカだってこと…、わたしと同じで」
バカだから、マジになることしか出来ない者たち。
「来てくれて、ありがとう」
笑顔がこぼれる。
「痛かったですか?」
「あぁ、いままで受けたなかで…、一番な…」
「わたしは、」
「もしも、わたしが死んだら…、きっと、歌舞伎たちは、また、路地裏でクズと呼ばれるようになるんじゃないか…とか、学ランは、街中を全力で走り回ったりするんじゃないか…とか、だるまは、だるまなのに、ずっと、起き上がらなくなっちゃうんじゃないか…とか」
「あつ姐…、何言うて…」
「それでも、“ダチ”がこの世から永遠にいなくなる辛さとか苦しさは、みんな一緒なんだろうな…てさ」
「そんな思いを、絶対に味あわせたくない…、そして、自分でも、そんな思いをするのは、もう二度と…」
「昨日の夜、ディーヴァの岸野が…」
「聞いたよ…」
「わかっとります」
『集めといたったで』
『早ぅ、来いや』
(来れるもんならな…)
「G…G…H…S…?」
「GanGireHighSchool…、つまり、ガンギレ高校の指定ジャージだ」
「どういうことだ?まさか、ディーヴァの総帥が、なんか関わってんのか?」
「さぁ、最終局面(ラストステージ)の始まりや!」
33rdシングル☆ハート・エレキ
こじはるセンター
おめでとうо(ж>▽<)y ☆
高橋リンダ 大島ルーシー 柏木キャサリン 指原ローラ 渡辺麻エリザベス 松井珠キャロライン 島崎アンジェリーナ 松井玲サンディー 横山メアリー 山本ロザンナ 渡辺美ジョセフィーヌ 峯岸バーバラ 多田マーガレット 入山ベロニカ 川栄かわえい 小嶋ミッシェル
おめでとうо(ж>▽<)y ☆
高橋リンダ 大島ルーシー 柏木キャサリン 指原ローラ 渡辺麻エリザベス 松井珠キャロライン 島崎アンジェリーナ 松井玲サンディー 横山メアリー 山本ロザンナ 渡辺美ジョセフィーヌ 峯岸バーバラ 多田マーガレット 入山ベロニカ 川栄かわえい 小嶋ミッシェル
マジすか学園F☆#2ー5
東京──
アンダーガールズ新宿本部跡地前。
数日間、
行方不明だったアンダーガールズ三番隊隊長、平田リカコが、突然現れ、一番隊隊長、秦サワコ、同じく四番隊隊長、金子シオリの二人に、襲いかかってきた。平田は、何者かによって、洗脳を施され、仲間のことを、憎むべき敵と誤って認識させられていた。
さらに、驚異的にアップされた筋力や運動能力に、サワコは、苦戦を強いられ、平田を慕う金子は、泣きながら応戦し─
結果。
辛くも、サワコが、封印していた“紅の拳”を炸裂させ、平田を、地面に沈めることに成功したのだった。
「救急車呼んだほうがいいでしゅか?」
「そうだな…、組織(うち)の系列のな…」
敬礼のような仕草をし、金子が、携帯電話を取り出した。
サワコが、仰向けになって倒れている平田のそばに近寄って、複雑な想いで見下ろす。
通話を終えた金子が
溜めた息をはく。
「ふぅ…、それにしても、危ないところでひたね…」
「あぁ…、確かに危ない状況だった…、わたしたちも、そうだが、あのまま、平田が活動を続けていたら、おそらく、“平田”自身の肉体のほうも、破滅してしまっていただろう…自らの行動の所為(せい)で─」
「えっ!メアリーしゃん自身が…破滅?
ど、ど、どういうことでしゅか?」
「洗脳…、人間の脳というのは、通常、全体の数パーセントしか活動していないといわれている。もし、その脳を、フル稼働させてしまった場合、その莫大な負荷に耐えきれず、自らの肉体のほうが限界を超え、全身の筋肉は引き裂かれ、精神は崩壊し、ボロボロの廃人のようになってしまうといわれている。そのようなことを防ぐため、自然と、脳には、縛り(ストッパー)というものが備わっている。洗脳とは、いわば、その“縛り”を取り払い、限界を遥かに超え、最大限のちからを発揮させることのできる、恐ろしいもの…、
先程の平田の動きは、いつもの動きを遥かに凌駕していた…、筋繊維の引きちぎれる音を何度か、耳にもした…、
自らの身体をかえりみることなく、闘いを続けることが可能とは…、
まさに、死兵だな…」
“死”すら恐れぬ闘いぶり。もし、このような戦士が、
量産できるようなことができれば、これほど手強い戦力は、ないだろう。
「しかし、なかには、自ら、そのストッパーを、外すことが出来る者がいる…、肉体を犠牲にしても…、誰かの想いを背負い、極限の集中力と強靭な精神力を発揮し…、奇跡を起こす。
そういう者は…、ある意味、すでに、人間を超えているのかもしれないな…」
「へぇ…、そういうのを、一般人(ひと)は、“神”と呼ぶんでしゅかね…、もしかして、サワコしゃんも…」
サワコは、倒れている平田の様子を慎重に見ていた。
「……、メアリーしゃんは、大丈夫なんでしゅか?」
平田の傍に心配そうに歩みより、しゃがみ込む金子。
「ったく…、ざまぁねーよな…、金子なんかに、心配…されるようじゃ…」
「メアリーしゃん!」
平田が、目を覚ました。その瞳に、もはや敵意は、見られなかった。
「放火野郎を追ってったら…、この様(ザマ)さ…、ボコボコにされて…、それからは…、なんだか…、長い夢を…見ていたみてぇだ…、悪い夢をな…ゴホっ…」
咳き込む平田の口から、赤いものが飛び散る。それでも、何かを伝えようと、必死で、
「そいつは…、蒼い…、特攻服に…、肩までの…黒…髪…、」
「もういい!何も言うな」
サワコが叱責するように、平田の言葉を遮った。
「へっ…、すまねぇ…、結局…、お前のいる…場所には…、たどり着けそうもねーな…」
神々の領域。
その高みに踏み込めるのは、強き者のみ。
虚空に、右手を伸ばしたとき、
全身のちからが抜け、再度、意識を失う平田。無念の思いだけが二人に伝わる。
金子シオリの全身が、怒りで震えていた。平田には、よく、面倒をみてもらっていた。周りには、まるで、姉妹のようにみえることもあった。
「許しません…絶対に…、犯人を見つけて…、わたしが…」
「心配するな…、平田がいつも、こう…言っていただろう…、
ピンチは…チャンスだと」
サワコの涼しげな瞳には、この場にあらわれた新たな来訪者の姿が、はっきりと映し出されていた。
蒼紺(ブルー)の特攻服に、肩に少しかかる黒い髪の少女。
今しがた、平田が語った特徴に合致していた。
銀色に輝く十字(クロス)のピアスをつけた、まだ幼さの残る高校生くらいの少女は、黒い煙草をくわえたまま、不敵な笑みをみせる。
「いい夢、見れただろ?」
「何者だ…?」
サワコが問う。
「“神を崩す者たち”…」
「何っ?」
煙草をくわえつつ、少女は、器用に、話し続ける。
「かつては、そんなふうに呼ばれていたな…、しばらく、浮世を離れてたんでね、その間に、世の中、随分、変わっちまった…、
この特攻服…、それから、薔薇─と聞けば、何か、思い出すだろ?」
「………、まさか…、あの…、薔薇十字軍(ローゼンクロイツ)…か?」
首肯する少女。
「薔薇十字軍(ローゼンクロイツ)の岩田カレンだ…」
常に冷静なサワコが、驚愕する。薔薇十字軍─その名を聞いて、ある記憶が呼びおこされた。まだ、サワコが、不良になる以前の─
「六年前─、当時、東京を支配していた巨大暴走族─NGZを、たった七人の少女たちが、あっという間に、叩き潰し、それを取り押さえようとした警視庁の機動隊ですら、手玉にとって逃げ切ったという…、そう、そのチームの名が、薔薇十字軍…」
さらに、記憶の糸を辿る。
「そして、その中学生らしき少女たちは、次々と、最強といわれていた不良(ヤンキー)たちや族(チーム)を潰していった…、
しかし…、東京を完全に制覇する直前の…ある夜、突如として、行方をくらまし…、消息を絶った、と…」
「懐かしい話だな」
カレンの
口元の煙草から、紫煙がのぼっていく。
「ふたたび…東京を炎の海にするつもりか…」
「このビルみたいに…か?」
焼失したアンダーガールズ本部ビル跡に視線をうつすカレン。
「どうでもいいでしゅよ…、そんな話…」
金子シオリが、業を煮やし、話に割って入る。
「メアリーしゃんの敵(かたき)…」
金子は、
無造作に、カレンに近づいていく。
相手が敵意を持ち、攻撃をしかけようとする前に、それを察知し、逆に先制攻撃をしかける能力を有する金子。故に、防御は不要。
それは、どんな攻撃に対しても効果を発揮する。
しかし─
金子が反応するより早く、カレンの鋭すぎる蹴りが、金子の頭部を薙ぎ払っていた。だぶだぶの深紅の特攻服が、アスファルトを転がっていく。
「金子!」
「だ、大丈夫でしゅ…」
ふらつく頭を押さえながら、立ち上がる。まがりなりにも、アンダーガールズの隊長である。
カレンは、超然と、何事もなかったかのように、立っていた。驚くべき身体バランスをほこっている。
「悪いな、ちょっとばかり、“せっかち”なもんでね…、ただ、強いやつは、全員、潰す!邪魔をするやつも潰す!そこに、例外は…ない」
「…………」
(金子の…絶対防御が機能しないほどの…、尋常ではない、迅さ…)
ありえない。だが──
「いいだろう…、二対一だが、腐った外道に、容赦はしない!」
サワコが、最大限の警戒をとり、構えをみせる。
「いいや…」
パチンと、指を軽く鳴らすカレン。
すると、
サワコの背後から、ぼろぼろの肉体を省みずに、勢いよく、平田リカコが起き上がった。
「…二対二だな」
アンダーガールズ新宿本部跡地前。
数日間、
行方不明だったアンダーガールズ三番隊隊長、平田リカコが、突然現れ、一番隊隊長、秦サワコ、同じく四番隊隊長、金子シオリの二人に、襲いかかってきた。平田は、何者かによって、洗脳を施され、仲間のことを、憎むべき敵と誤って認識させられていた。
さらに、驚異的にアップされた筋力や運動能力に、サワコは、苦戦を強いられ、平田を慕う金子は、泣きながら応戦し─
結果。
辛くも、サワコが、封印していた“紅の拳”を炸裂させ、平田を、地面に沈めることに成功したのだった。
「救急車呼んだほうがいいでしゅか?」
「そうだな…、組織(うち)の系列のな…」
敬礼のような仕草をし、金子が、携帯電話を取り出した。
サワコが、仰向けになって倒れている平田のそばに近寄って、複雑な想いで見下ろす。
通話を終えた金子が
溜めた息をはく。
「ふぅ…、それにしても、危ないところでひたね…」
「あぁ…、確かに危ない状況だった…、わたしたちも、そうだが、あのまま、平田が活動を続けていたら、おそらく、“平田”自身の肉体のほうも、破滅してしまっていただろう…自らの行動の所為(せい)で─」
「えっ!メアリーしゃん自身が…破滅?
ど、ど、どういうことでしゅか?」
「洗脳…、人間の脳というのは、通常、全体の数パーセントしか活動していないといわれている。もし、その脳を、フル稼働させてしまった場合、その莫大な負荷に耐えきれず、自らの肉体のほうが限界を超え、全身の筋肉は引き裂かれ、精神は崩壊し、ボロボロの廃人のようになってしまうといわれている。そのようなことを防ぐため、自然と、脳には、縛り(ストッパー)というものが備わっている。洗脳とは、いわば、その“縛り”を取り払い、限界を遥かに超え、最大限のちからを発揮させることのできる、恐ろしいもの…、
先程の平田の動きは、いつもの動きを遥かに凌駕していた…、筋繊維の引きちぎれる音を何度か、耳にもした…、
自らの身体をかえりみることなく、闘いを続けることが可能とは…、
まさに、死兵だな…」
“死”すら恐れぬ闘いぶり。もし、このような戦士が、
量産できるようなことができれば、これほど手強い戦力は、ないだろう。
「しかし、なかには、自ら、そのストッパーを、外すことが出来る者がいる…、肉体を犠牲にしても…、誰かの想いを背負い、極限の集中力と強靭な精神力を発揮し…、奇跡を起こす。
そういう者は…、ある意味、すでに、人間を超えているのかもしれないな…」
「へぇ…、そういうのを、一般人(ひと)は、“神”と呼ぶんでしゅかね…、もしかして、サワコしゃんも…」
サワコは、倒れている平田の様子を慎重に見ていた。
「……、メアリーしゃんは、大丈夫なんでしゅか?」
平田の傍に心配そうに歩みより、しゃがみ込む金子。
「ったく…、ざまぁねーよな…、金子なんかに、心配…されるようじゃ…」
「メアリーしゃん!」
平田が、目を覚ました。その瞳に、もはや敵意は、見られなかった。
「放火野郎を追ってったら…、この様(ザマ)さ…、ボコボコにされて…、それからは…、なんだか…、長い夢を…見ていたみてぇだ…、悪い夢をな…ゴホっ…」
咳き込む平田の口から、赤いものが飛び散る。それでも、何かを伝えようと、必死で、
「そいつは…、蒼い…、特攻服に…、肩までの…黒…髪…、」
「もういい!何も言うな」
サワコが叱責するように、平田の言葉を遮った。
「へっ…、すまねぇ…、結局…、お前のいる…場所には…、たどり着けそうもねーな…」
神々の領域。
その高みに踏み込めるのは、強き者のみ。
虚空に、右手を伸ばしたとき、
全身のちからが抜け、再度、意識を失う平田。無念の思いだけが二人に伝わる。
金子シオリの全身が、怒りで震えていた。平田には、よく、面倒をみてもらっていた。周りには、まるで、姉妹のようにみえることもあった。
「許しません…絶対に…、犯人を見つけて…、わたしが…」
「心配するな…、平田がいつも、こう…言っていただろう…、
ピンチは…チャンスだと」
サワコの涼しげな瞳には、この場にあらわれた新たな来訪者の姿が、はっきりと映し出されていた。
蒼紺(ブルー)の特攻服に、肩に少しかかる黒い髪の少女。
今しがた、平田が語った特徴に合致していた。
銀色に輝く十字(クロス)のピアスをつけた、まだ幼さの残る高校生くらいの少女は、黒い煙草をくわえたまま、不敵な笑みをみせる。
「いい夢、見れただろ?」
「何者だ…?」
サワコが問う。
「“神を崩す者たち”…」
「何っ?」
煙草をくわえつつ、少女は、器用に、話し続ける。
「かつては、そんなふうに呼ばれていたな…、しばらく、浮世を離れてたんでね、その間に、世の中、随分、変わっちまった…、
この特攻服…、それから、薔薇─と聞けば、何か、思い出すだろ?」
「………、まさか…、あの…、薔薇十字軍(ローゼンクロイツ)…か?」
首肯する少女。
「薔薇十字軍(ローゼンクロイツ)の岩田カレンだ…」
常に冷静なサワコが、驚愕する。薔薇十字軍─その名を聞いて、ある記憶が呼びおこされた。まだ、サワコが、不良になる以前の─
「六年前─、当時、東京を支配していた巨大暴走族─NGZを、たった七人の少女たちが、あっという間に、叩き潰し、それを取り押さえようとした警視庁の機動隊ですら、手玉にとって逃げ切ったという…、そう、そのチームの名が、薔薇十字軍…」
さらに、記憶の糸を辿る。
「そして、その中学生らしき少女たちは、次々と、最強といわれていた不良(ヤンキー)たちや族(チーム)を潰していった…、
しかし…、東京を完全に制覇する直前の…ある夜、突如として、行方をくらまし…、消息を絶った、と…」
「懐かしい話だな」
カレンの
口元の煙草から、紫煙がのぼっていく。
「ふたたび…東京を炎の海にするつもりか…」
「このビルみたいに…か?」
焼失したアンダーガールズ本部ビル跡に視線をうつすカレン。
「どうでもいいでしゅよ…、そんな話…」
金子シオリが、業を煮やし、話に割って入る。
「メアリーしゃんの敵(かたき)…」
金子は、
無造作に、カレンに近づいていく。
相手が敵意を持ち、攻撃をしかけようとする前に、それを察知し、逆に先制攻撃をしかける能力を有する金子。故に、防御は不要。
それは、どんな攻撃に対しても効果を発揮する。
しかし─
金子が反応するより早く、カレンの鋭すぎる蹴りが、金子の頭部を薙ぎ払っていた。だぶだぶの深紅の特攻服が、アスファルトを転がっていく。
「金子!」
「だ、大丈夫でしゅ…」
ふらつく頭を押さえながら、立ち上がる。まがりなりにも、アンダーガールズの隊長である。
カレンは、超然と、何事もなかったかのように、立っていた。驚くべき身体バランスをほこっている。
「悪いな、ちょっとばかり、“せっかち”なもんでね…、ただ、強いやつは、全員、潰す!邪魔をするやつも潰す!そこに、例外は…ない」
「…………」
(金子の…絶対防御が機能しないほどの…、尋常ではない、迅さ…)
ありえない。だが──
「いいだろう…、二対一だが、腐った外道に、容赦はしない!」
サワコが、最大限の警戒をとり、構えをみせる。
「いいや…」
パチンと、指を軽く鳴らすカレン。
すると、
サワコの背後から、ぼろぼろの肉体を省みずに、勢いよく、平田リカコが起き上がった。
「…二対二だな」