変動金利と金融政策 | 池上秀司のブログ

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ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。

今までの住宅ローン指南の問題点を一言でいえば「いつでも固定」ということですが、それを図にしました。赤の文字が深田さんはじめ、従来からされてきた多くの助言、緑の文字がその問題点です。

 

要は、日銀の金融政策を見ればいいということですが、まず、2000年台の金利の推移を確認します。

 

ゼロ金利解除にあたっては、戦後最大といわれた「いざなぎ景気」を超えた「いざなみ景気」がありました。経済指標としては「好景気」といえ、後に変動金利も上昇しました。

 

そして、当時から2014年に至る日銀の金融政策と変動金利(店頭金利)の関係を図にすると以下のようになります。

 

2006年7月の利上げ前に、量的緩和を縮小しました。量的緩和縮小後に政策金利を上げ、それに連動して変動金利も上昇しました。その後、サブプライムローン~リーマンショックとなり、政策金利を下げ(変動金利も連動して下がり)、再度量的緩和政策を採用し、現在に至ります。

 

これを参考にすれば、現在実施している量的緩和政策を縮小した後に利上げするという一つの仮説が成り立ちます。もちろん、未来は不確定ですから、これを「絶対」とはいいませんが、変動金利の変化は、ある程度ですが予測できるということです。

 

2000年半ばにかけての「長期金利上昇」と、2013年5月からの「長期金利上昇」は、同じ「長期金利上昇」ですが、それぞれ当時の金融政策を比較すると、2000年中盤は「景気回復に伴い金融緩和を縮小」、2013年は「景気回復を目的とし金融緩和を拡大」です。

 

ですから、前者はその後、政策金利上昇につながり、後者はマイナス金利の採用など、さらなる緩和策の採用という流れになりました。そして、変動金利はそれらの金融政策をそれぞれ反映しています。

 

「変動金利で借入するなら、日々の株価などをこまめにチェックして」などといっているFPは的外れです。日銀の金融政策を見ていればよく、今は変動金利で借りていてものんびりしていていいのです。大規模金融緩和の真っ只中なのですから。

 

未だに「変動金利は金利上昇があぁぁぁああーーー」といっている方がたくさんいます。最近では「トランプ政権になったから変動金利はアウトだ」という珍説も拝見しました。

 

前回の利上げには「いざなみ景気」がありまたが、今の経済指標は当時のようになっていますか?日銀の金融政策に対する理解不足が金利上昇よりも問題です。短絡的に金利上昇で騒ぐのは、ただ浮き足立っているだけではないでしょうか。