堂々と間違えて不安を煽る日本経済新聞 | 池上秀司のブログ

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ファイナンシャルプランニングに関することを中心に、好き勝手に書きます。

前回の最後に「細かい話ですが、気になるところは他にもあるので」書いたのは、以下についてです。

 変動金利は当初の支払額が低いものの、金利が上昇した場合は固定金利で借りた場合よりも返済額が膨らんでしまうリスクがある。仮に4年後に適用金利が2%に上がった場合は毎月の返済額が12万2千円程度、3%まで上がった場合には13万9千円程度に上がってしまう。

 もちろん金利が上昇するとは限らない。日銀はマイナス金利導入後も必要であれば追加緩和も辞さないとの姿勢を示している。ただ日銀が目指す2%の物価目標を達成し、その後に金融緩和を縮小すれば、金利が上昇に転じる可能性がある。

 ファイナンシャル・プランナーの福田啓太氏も「変動金利で借りることは、将来の非常に大きなリスクを取る行為だ」と指摘する。金利上昇による返済負担の増加で家計の赤字が常態化すれば、最悪の場合はせっかく買った家を失いかねない。

変動金利の多くは以下のように運用されています。

・返済額は5年間一定(5年ルール)
・返済額見直しの際、従前の返済額の1.25倍が上限(125%ルール)


ですから、

4年後に返済額は上昇しない
・当初の返済額が106,059円なので1.25倍は132,574円。ですから、6年目以降の返済額は139,000円まで上昇しない

という商品概要の基礎中の基礎が間違っています。これで人を不安に陥れようとするとは言語道断です。これらは長年続いている伝統的なただの嘘ですので、消費者の皆さんはご安心ください。

ちなみに、日経新聞編集委員の清水功哉さんという方は、この記事について以下のようにツイートしていました。

このグラフBもそうですが、淡河範明さんの分析はいつも興味深い

グラフBはなんの役にも立ちませんし、景気の読みを間違えて固定金利に誘導してきて反省も考察もしていない淡河範明さんの分析のどこが興味深いのか、私には理解できません。

それどころか、清水さんのプロフィールを拝見すると「ファイナンシャルプランナー(CFP)の資格も保有」と書いてあります。今回記載した「5年ルール」や「125%ルール」を見過ごしているのであれば、ただの飾り以外に、誰のために、なんのために役に立つ「CFP」という資格なのでしょうか。

消費者の皆さんにおかれましては、肩書きや資格で判断することなく、しっかりと本質を見極めていただければと思います。