回れたからレベルが高い訳では無い!
“ピルエット”や“ピケアンドゥダーン・アンドゥオール”、“グランジェッテ”等のテクニックが取りあえず出来ていたら、『全て出来ている!』と思い込むダンサーはプロ、ジュニア、大人バレエわ問わず沢山居ます。
でも考えてみて下さい。
『出来る』の中にもレベルとクオリティが存在するのです。
とりあえず転ばずに“ピルエット”が回れたとしても、体幹と軸の立たせ方、パッセの形、回転の方法、腕の使い方とポジション、音の取り方等、より洗練され、美しく、より効率的に動く方法はいくらでもありますし、一度身に付いたと思ってもサボった途端にレベルは落ちて行きます。
つまりテクニックのレベルだって基礎と同じ様に際限が無いのです。
だからテクニックが出来る様になったら、そこでお終いではなくレッスンの内容をレベル上げに切り替えなくてはならないのです。
日本のバレエ団で踊っているダンサーはこの部分で慢心している人が多い印象が私にはあって、より高いレベルのレッスンを行うとレッスンに来なくなるダンサーが増える気がしますね。 新国立の芸術監督の方も『基礎レベルでレッスンを見直して!』と云う趣旨の発言をしていた記憶があるのですが、やはり『回れたから出来ている』と云う誤認が日本では蔓延っているのを憂慮しています。
よく大人バレエの方が『誰々が綺麗!』と云う話をしているので、私が確認するとかなり低いレベルでのテクニックを披露している事が多いのです。 それは高いレベルのテクニックを見た事が無い為に低いレベルでも綺麗に見えてしまうだけなので、もっと良い物を皆に見て貰う為にもプロを名乗る人達は頑張るべきなのでは無いでしょうか?
面子を気にして踊るのではなく、真摯にレベルを上げて行かないと、あっという間にレベルが低いまま歳を取ってしまいますから、『これで良い、出来た!』と云う感情は仕舞い込んで頑張りましょう。
明日はめるもバレエでの講習会です。 リアルに始めましての方も配信でご覧になる方にも意思を疎通しながら教えられる事を楽しみにしています。