来年、ニンテンドー・スイッチ2が発売されるらしい。
そんなニュースを眺めつつ、最近、スイッチ1(?)でゲームばかりやっている。
遊んでいるのは、シリーズもののRPG。
数年ごとに発売される「おっさんホイホイ」的な作品だ。
うちには基本的に、ゲーム機というものがない。
そこで新作が出るたびに本体とソフトを買い、クリアしたら本体だけ売る、ということをくりかえしている。
ニンテンドー・スイッチは、つごう3回買った。
無印のスイッチ、バッテリーが強化されたスイッチ、そして現在、手元にあるのは三代目の有機ELスイッチだ。
毎度、任天堂の株価に貢献しているわけだが、それほど損をした気分ではない。
あまり値崩れをしないので、買ったときに近い価格で売れるからだ。
それはいいのだが、毎回、本体ごと買い直すせいで、残念な事象が出来することに気づいた。
まあ物事を知らない人間にとって残念なだけで、日常的にスイッチで遊んでいるお子様にとっては常識かもしれないが……。
結論から言うと、セーブデータの消失だ。
過去に遊んだシリーズのセーブデータは、もちろん保存している──つもりだった。
自戒を込めて白状する。
私はてっきり、セーブデータは「SDカードに保存」されているものだと、何年間も思い込んでいた。
スマホだってSDカードを保存先に指定できるのだから、スイッチだってそうだろうと。
SDカードとゲームソフトがあれば、本体を買い替えてもつづきができる、そうじゃなかったら、なんのためにSDカードスロットがあるのだ?
と、ほとんど逆切れ気味に信じていたのだが、これが愚かな大人の思い込みにすぎないことが、ついに判明した。
どうやら「SDカードには保存されていない」らしいのだ。
いまさらながら気づいたのは、新作で「引継ぎ特典」とやらを得るために、過去作のデータが必要になったからだ。
三代目スイッチに二代目で使っていたSDカードを挿入したところ、このSDカードは使用できません、フォーマットしなおしてください、と命じられた。
え、フォーマットしたらセーブデータ消えてまうやん。
SDカードのデータを読み込んで、過去作品のつづきができるんちゃうの?
そのために毎回、遊んだソフトのパッケージにSDカードを入れて、いっしょに保管していた。
本体を買い替えたところで、同じソフトとSDカードを差せばつづきができるものだと、まだ信じていた。
しかたなく、スイッチ、セーブデータなどのワードで検索をかけた。
そこでアホなおっさんは、セーブデータはすべて「スイッチ本体に保存されている」という「新事実」を知った。
過去の私の行動は、すべてまったくの無意味だった。
各作品およそ100時間にもなるプレイ時間は、売却したスイッチ本体の初期化とともに消え去っていたのだ……。
では、セーブデータはどうしたらいいのだ?
新しいスイッチを買ったら、古いソフトのつづきを遊ぶことはできないのか?
もちろん、そんなわけはない。
スイッチには、スイッチ特有のバックアップがある。
簡単にいえばおサイフケータイと同じで、一時的にクラウドにデータを預ける。
そして新しいスイッチにログインして、ダウンロードしてくる。
私は古い人間なので、そういう引継ぎの観念が低かった。
よく言えば、ネットワークにつなげなければゲームができない、などという「つながり至上主義」には固執しない、孤独を愛する人間だった。
そのためのコンシューマ機ではないか。
本体とソフトがあれば遊べる、それがゲームの本来あるべき姿だ、とも思っている。
だが、いまや自分のものであるはずのセーブデータすら、自分のもののままに保っておくことは簡単ではないと知った。
ネットワークにつなげなければ、ゲームのつづきもできない、こんな世の中じゃ、ネチズン。
まあ考えてみればそのほうが、セキュリティとしても優秀だ。
世界はどんどん、私の知らない形になっている……。
だったらSDカードはなんのためにあるんだよ?
という根本的な疑問については、ダウンロードソフトや追加コンテンツ、セーブデータ以外の更新データ、自分で撮影した写真や動画などの保存、らしい。
ゲームをする以外の用途をまったく意図していない私は、そのような事実にすら気づくことができず、数年を過ごしていた。
重ねて言うが、まったく思い込みとはおそろしいものである。
とはいえ、負け惜しみではなく、データの消失じたいにそれほどショックはなかった。
情報は「利用する」ことに意味があり、利用を終えたものに価値はあまりないと思っているからだ。
乗り鉄にとって重要なのが乗るという体験そのものであるように、私というゲーマーにとっては、そのゲームを楽しくプレイしたこと自体が重要である。
撮り鉄が「理想の写真」を重視することを否定するつもりはないが、コレクター気質のない私にとっては、ゲームで作成した「理想のデータ」にもこだわりはない。
セーブデータが重要なのは、プレイ中だけだ。
ゆえに、なくなったことにもしばらく気づかなかった。
ただし今回は、そのせいで前作データの引き継ぎ特典が得られなかった。
もらったのは結局、先着購入特典とやらだけだ。
それでもまあ、ひとつ賢くはなった。
三代目を売り払うときは、クラウドにセーブデータを預けることにしよう……。