9 今日はお昼にカレーを作って食べました
今日はお昼にカレーを作って食べました。
カレーを作る時にいつも思い出すことが二つあります。
一つは母がよく作ってくれたカレーが一番美味しかったこと。
二つ目は、結婚もしていないのに「お父さん」と呼べと言われた、
父親のこと。
この人は母の連れ子の僕が邪魔で僕は随分と酷いことをされた。
高校時代か大学時代か忘れたけれど、
あるとき母が不在で、この父と二人きりになったことがあった。
お腹がすいたな、と奴が言うので、
怒らせるとやっかいだから、
僕が、カレーでよかったら作ってあげるよ、と言った。
父は、ああ、悪いな!と言ったので、
僕はカレーを作ってあげることになった。
食べ終わると父は、おいしかったよ、と言った。
不思議なことに、これがあの男と僕の絆を作り、
男同士の付き合いが始まった。
大嫌いな奴と奇妙な心の絆を結ぶことになった。
父も少し僕を信頼するようになった。
結局、母は、その男とも別れることになり、
別れの意志を僕が伝える役目を負わされた。
母という女性に振り回された哀れな二人の男たち。
こんな年になったのに、
彼もとっくに死んでいるはずなのに、
ときどき彼が夢にでてくる。
夢の中で僕は彼を、おとうさん、と呼んでいる。
彼が教えてくれた大切なことが一つある。
敵を愛せよ。
今だから感謝できる。
8 兎に角、静かだ!
兎に角、静かだ!
心が穏やかだ。
これから、ようやく、本当の自分でいられるような気がする。
母一人、子一人の関係が現実ではなくなった。
あとは、写真の中の笑顔の母とつき合っていけばいい。
これからは、僕の人生を変えた僕の大好きな存在と一つになって、
ますます僕らしく生きていけばいい。
支配と服従の関係でしたね、お母さん。
それが母の愛なのでしょうか。
ぼくはそうは思いません。
いつも自由に生きて来ましたね、あなたは。
でも、僕を奴隷にしていましたね。
今、僕は、やっと自由を手に入れました。
もう、恨んではいませんよ。
それは、あなたの魂に対して失礼ですから。
僕の罪は、神様に任せます。
でも、あなたに感謝はしています。
今、僕を解放してくれたことに、
今、僕がとても静かでいられることに、
感謝します。
あの世で幸せに!
7 パパ頑張って!
パパ頑張って!
子供たちの応援メッセージを受け、
パパは病気と闘っている。
本当に心の底から何とかしてあげたと
僕もそう思ってしまう。
同じ病室で炎症と闘っている母のことが
何か川の流れのように感じられる。
90年も生きたのだから、
大海に帰る時がやってくるのだ。
危篤かと覚悟をしていたけれど、
母はなんとか持ち直してくれているみたいだ。
母と僕の人生は何と言う希な関係だったのだろう。
息子を強く愛している母、
母の愛が支配にしか感じられない息子。
完璧な依存関係と言えばよいのだろうか。
二人の関係には誰も入る事が不可能だった。
ふと、葬儀のことが頭をよぎる。
母の遺体の前に息子しかいない映像が頭に浮かぶ。
こんな異常な関係が
僕と母の関係だ。
世間の誰にも理解してもらえない異常な世界だ。
母と息子だけの異常な世界だ。
これが僕の人生の現実だった。
誰にも理解してもらえない現実だった。
だから、僕は神に頼った。
でなければ、いつまでも地獄の苦しみから抜け出せなかったろうに。
そんな母よりも
パパ頑張って、という応援メッセージの方が辛い。