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30番 富士山、あなたは

30番目の詩
ようやく詩を書ける時間がとれた。



富士山、あなたは
明るい日も暗い日も
いつも玄関を開ければそこにいて
僕を感動させてくれる。

あなたに会うと
僕の過去が一瞬の出来事のように
海に溺れてしまうように
僕を襲う。

僕はあなたに嘘をつけない、
だからあなたにだけは
いつも本当の自分でいられる。
弱いちっぽけな自分でいられる。

富士山、あなたは
なんて奇麗なんだろう。
いつも変幻自在に姿をかえて、
なのにいつも、あなたそのもの。

そのあなたの美が
僕の心の闇を照らし
過去の忘れたい現実を
ひとつひとつ僕の真珠にかえてくれる。

29番 自由な僕は

29番目の詩

自由な僕は
父親を知らない。
母親との絆も自ら断ち切って
孤独な世界に生まれ出た。

そこは不安だらけで
僕は病気と縁が切れなかった。
そこは怒りばかりで
僕は喧嘩と縁が切れなかった。

父と母と縁を切った僕は、
病気と喧嘩で孤独を癒し、
病気と喧嘩と仲良くなり、
いつのまにか不自由になった。

僕はまた自由に憧れ、
とうとうあなたに出会った。
あなたに会って僕の心は震えて
あなたの後を恐る恐る付いて行った。

あなたは決して僕を支配しない、
なのに僕はあなたから離れられない、
僕は自由なのに、不自由。
あなたと出会えて、病気も喧嘩も消えてしまった。

28番 愛を送るなら

28番目の詩

愛を送るなら
「愛しています」と
一枚の紙に、ただの鉛筆で
自分の心を込めて送ればいい。

決められた日に
チョコレートを買って送られても
どこにも愛していますと
あなたの気持ちが書かれていない。

記憶の闇をたどってみると
愛していますと
あなたに言われたことがないような。
愛することは僕だけの義務だったような。

愛は目に見えないもの、
言葉ではないもの、
言わなくてもわかるもの、
とあなたの不満げな目が言っている。

じゃ、チョコレートでなくてもいいじゃない、
真っ白な一枚の紙に、黒鉛筆で
金のかからない愛を送ってくれてもいいじゃない。
僕は金でたくさん傷ついてきたのだから。