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36番 40年以上前に

36番目の詩。詩を書こうと決めた日から一瞬一瞬詩と対話する自分がいる。

40年以上前に
ラーキンという詩人が
引退した競走馬を描いた詩を読んだ。
何となくその静けさが好きになった。

観客の喧噪の中を走らされ
その馬は名をなし社会を狂喜させた。
今は引退して野の草を食み、
その馬に騒ぐ人間は誰もいない。

自然の風景にとけ込み
静かに余生を送る競走馬の姿に
若い僕はなぜか安心した。
人生はこれからだというのに。

あれから詩人になる夢をきっぱりと捨て、
貧しい人生に復讐するために
切られるか切るかの人生を選択し、
母と家族の幸福を支えてきた。

僕の友達といえば、
アリス•クーパーの静かな部屋だった。
The quiet room knows more about me than my wife.
I really need nothing more. I'm alone.




35番 あるアメリカの文芸批評家が

35番目の詩。シェイクスピアよ、154編もよく書いたね。

あるアメリカの文芸批評家が
シェイクスピアのソネット集は
彼のマスターベーションだなどと言う。
怒りが込み上げる!神聖冒涜だ!

なんという低俗な奴だ、
許しがたい!
そんなものじゃないんだよ、
シェイクスピアの愛は!

確かに男はいくつになっても
性欲がちょろちょろと顔を出す。
バカな妄想も相変わらずだよ、
でも、どうしようもない哀れな現象なんだよ。

高齢者の爺さんがJKにストーカー、それよりましだろ。
紳士面して不倫三昧、それよりましだろ。
満たされぬ恋を癒すために詩を書いて何が悪い、
真実の男でいて何が悪い。

おやおや、いつのまにか認めていない?
確かに僕が単なる男だと認めるよ。
でも、シェイクスピアだって僕だって、
永遠の愛に満たされれば詩なんて書かないよ。


34番 あなたの年金はジャスト120万円以下で

34番目の詩。あらたなスタートのような気がします。
道は遠いけど、千里の道も一歩から。

あなたの年金はジャスト120万円以下で
申告の必要はありません。それに、
今は年金の範囲で生きていけるのですから
もう安心していられますね。

介護施設にいたときには
息子が援助しなければ生活できなかった。
息子にお金で負い目を感じ、
あなたの魂は不自由だった。

今、病気になって寝たきりになって、
ようやく年金だけで生きていけるようになりました。
あなたはもうお金の心配をして、
他の誰にもへりくだる必要がなくなりました。

後はあなたの不安と怒りを癒すだけですね。
東京大空襲の爆弾の嵐の中を逃げ惑い、
どのように足利までたどり着いたかあなたには記憶がない。
でも毎晩あなたはうなされていましたよ。

愛ではなく相手の給料と一緒になった
あなたの男への忍耐と屈辱と怒りは
女を金で支配する男への怒り。
そして今も消えない僕への怒りでもある。