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39番 19歳の娘さんに言われた

39番目の詩。ずっと昔に、ある若い女性に鋭いことを言われた。忘れられない一瞬の出来事。

19歳の娘さんに言われた、
僕の笑顔には深い闇があるそうだ。
そう、よく分かったね、
と僕は正直に言った。

僕の闇をどのくらい深く感じたのだろう?
それはそれで心配になった。
でも、彼女の笑顔は明るかった、
僕を発見したというような笑顔だった。

その後、就職したとハガキが飛んで来た。
彼女の字が笑っていた。
深い闇の話は二度としなかった、
でも彼女と僕は一つだと感じた。

僕を他の人から隔てる壁は
自分以外には誰も分からない
人には言えない忌まわしい体験。
自分だけの絶望。

19歳の娘さんに言われた、
僕には深い闇があるそうだ。
君は笑顔でそう言うけど、
君の笑顔の中にも深い闇があるよ。



38番 老婆になってもなお

38番目の詩。ある老婆に感動した詩。

老婆になってもなお
彼女はギター一本で歌っている、
僕が若い頃、歌姫と崇められ、
美しい声で人々を魅了した人。

その目は今も、きりっとして、
悪をにらみ、きらきら輝いている。
その輝きは底知れぬ優しさでもあり、
女性でもあり、人間でもある。

老婆になってもなお
あなたは美しい、
むかしあなたが美しかったように。
きっと彼女は死んでも美しいかもしれない。

僕はどうだろう?
土塊の体には欲望、肉体に水を溜め込み、
せっせと空気を吸って、
毎日消費者をやっている。

彼女の火はどこからくるのだろう?
僕も最後ぐらいは輝いてみたいもの。
彼女は人を殺すなと美しい声で歌う、
僕は自分が生き残ることばかり考えている。

37番 最近ぜんぜん病気をしない

37番目の詩に挑戦。最近、心にどんどん詩が浮かんで来て、
書かないといけない感じ。若い時には無理矢理書いていたのに。

最近ぜんぜん病気をしない。
風邪も引かないし、花粉症もない。
それは、むかし錬金術に憧れて、とうとう
第五元素を抽出できたからかもしれない。

僕はときどき
僕は現代の錬金術師です、などと言う。
でも、みんな冗談だと思うから
元気な人はだれも信じない。

でも、精神を病んでいる人たちに、錬金術師だと言ってみると、
その人たちは、不思議に感動してくれる。
目の前に心を病んでいる人間をもう一人見つけ、
安心するからかもしれない。

僕は錬金薬液を使って
病んだ心を黄金に変容させていく。
やがて心がすっかり軽くなり、
いつのまにか病気だということを忘れてしまう。

しかし、不老不死の問題が一つ残っている。
賢者の石のどんな作用で僕は不死になるのだろうか。
やっと気がついた。人が息をする限り、目が見える限り、
この詩が生きて、君に命を与える。