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ヒズモのブログ

本好き、映画好き、落語好き、卓球好きのパート社員です。

原田マハ 著 『楽園のカンヴァス

新潮文庫、定価 781円(税込)

 

長期間、休んでしまいました。今日からまたボチボチ更新していきたいと思いますので宜しくお願いします。さて、1月21日のNHK「あさイチ」のプレミアムトークのゲストは原田マハさんでした。

 

44歳で作家デビューされる前は美術館でキュレーターとして活躍されていたマハさんからは、WOWOWの「CONTACT ART~原田マハと名画を訪ねて~」でアートの楽しみ方を教わりました。

 

しかし、著作をほとんど読んでいませんでした。今回のあさイチを観て俄然読みたくなり、まずは『楽園のカンヴァス』を読まねばと書店に走りました。

 

この史実に基づく美術ミステリー、本当に面白い小説でした。429ページ、夢中になって読み終えました。

 

新潮社の紹介文です。

「ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに籠めた想いとは――。山本周五郎賞受賞作。」

 

私はルソーといえば、ジャンジャックルソーしか思い浮かばない人間ですが、読み終えたらアンリ・ルソーという画家の絵を美術館に観に行きたいと思うようになっていました。この本を読んでルソーという画家に興味がわき、そしてピカソと一緒に好きになってしまいました。

 

美術館に行きたくなる本でした。絵画の味わい方、ルソー、ピカソはどんな人だったのか、どういう時代背景の中で作品が作られていったのか、いろいろと学ぶことができました。

 

作者のホームページによると1983年、21歳の時にアンリ・ルソーの絵に出会い、「ルソーの絵の面白さと人間性にすっかり魅了され、「いつかルソーの物語を描いてみたい」と思いを募らせる」ことになり、そして、2010年に「小説新潮」に連載を開始された、ということです。

 

マハさんの熱い思いが込められた迫真のストーリー、リアルな美術館描写を楽しむことができた小説でした。

 

お読みいただき、ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

TV番組「突然ですが占ってもいいですか?」が人気です。

「占い」に生年月日は欠かせないアイテムですが、織田信長はどうしたか、を教えてくれる本があります。

 

 

磯田道史氏の『江戸の備忘録』(文春文庫)の中に「信長の好奇心」(P10~12)という項があります。

 

織田信長は徹底した合理主義者だったとみられがちですが、実際は、「どの武将よりも奇怪を好んだ」とフロイス著の「日本史」にあるそうです。

 

そして、「占いや迷信、怪奇なる現象に異常なほど興味を抱き、それがまことかどうか、みずから確かめてみねばすまぬ性分であった。

とあります。

 

そこで面白い逸話(「朝野雑載」)が紹介されています。

信長は「生年月日がその人の運命を決めるものかどうか、確かめようとしていた」ということです。

 

信長は一つのお触れを出した。

<信長と同年同月同日同時に生まれし者を尋ね出し給う>

と、自分と同じ日、同じ時間に生まれた男を探し出して会おうとした

 

そして、「一人の男が見つかった。見れば極貧の男である。

 

『信長は言った。「わしは天下を取り、おまえは極貧。同時に生まれても、運命がだいぶん違うな。

 

ところが極貧男は言った。「いえ、上様と、わたしは大差ありません。ただ一日の違いだけです。

 

極貧男がそう答えたので、信長は聞いた。「その一日とはなんじゃ」

 

天下を持っても、貧しさに極まっても、それは昨日までの過去のこと。上様とて明日はわかりませぬ。今日一日のみ、上様は天下の主として楽しまれ、わたしも今日一日のみ極貧に苦しんているだけです。

 

これを聞いて、信長は一瞬がくぜんとした。結局、人間は今だけを生きている。極貧にあえぐ男は、自分にその真理を告げたのである。

 

やがて信長は満足そうにうなづき、男にたくさんの衣服金銀等を与えて帰したという。

 

人を信用しない冷徹な人間という私の織田信長へのイメージが、これを読んで少し変化しました。

 

お読みいただき、ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パラリンピックマラソンの増田明美さんの「細かすぎる解説」にとても感動しました。4年前の2017年10月に九州市民大学で講演された時のことを思い出しました。サービス精神一杯の素晴らしい講演でした。

リブログさせていただきます。読んでいただけたら嬉しいです。