高カルシウム血症、フロセミド、サイアザイド | 病棟薬剤師&DIやん

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これは、ビタミンD、腎機能低下、食思不振の続き。

 

高カルシウム血症の治療に、生食+フロセミドというのがあります。

 

ご存知の通り、

フロセミドはヘンレ係蹄で、NaKCl2共輸送体を阻害します。

 

生理的には、このヘンレ係蹄では、このNaKCl2共輸送体とROMKチャネルとで、

管腔内プラス電位が形成され、

これにより、カリウム、カルシウム、マグネシウムが再吸収される

という仕組みになっています。

 

フロセミド負荷時は、この機構が阻害されるため、管腔内プラス電位が形成されず

カリウム、カルシウム、マグネシウムが再吸収されない、、、

ループ利尿薬によって低カルシウム血症が起こる機序は、このように説明されます。

 

ところで、臨床推論の東加奈子先生が日病薬e-ラーニングの中で薦めていた

ガイトン生理学 原著第13版」。

 

手元には、原著9版があり、それには、

「近位尿細管では普通,

カルシウムの再吸収はナトリウムや水の再吸収と平衡している」

と達観した一言!

 

この生理を乱すのが、サイアザイド系利尿薬ですね

(低ナトリウム血症、高カルシウム血症)

 

ガイトン生理学 原著第13版