前回のエントリーは東京エレクトロン/米アプライドの統合における米国でのコーポレートインバージョン対策税制(IRC§7874)の適用がメインテーマでした。
日本においても、会社法改正による組織再編対価の柔軟化に際し、コーポレートインバージョン対策税制が導入されています。
この内、東京エレクトロンの統合の日本での課税関係の記事で触れていなかった、再編後の合算税制のついて補足しておきます。
本税制は、組織再編の結果等により、①5株主グループに80%以上支配されている日本法人について、②日本法人が軽課税国の法人の子会社になり、③旧日本法人株主が全体として軽課税国親会社の80%以上の株主になり、④更に軽課税国親会社が日本法人株式の80%以上を間接的に保有している場合に適用されます。
ややこしいですね。
この場合、軽課税国親会社の所得の持分を旧日本法人株主の所得に合算されて本邦で課税されます。軽課税国というのは実効税率20%以下のことで、タックスヘイブン税制に類似した取扱いになります。
東京エレクトロンについては、再編後の旧東京エレクトロン株主の出資比率が32%ですので、本邦のコーポレートインバージョンに係る合算税制の適用はないものと思われます。
米国においても同様ですが、本税制の目的は、組織再編の結果として内国法人が軽課税国親会社の子会社に転換され、親会社への利息や使用料の支払い等により本国での課税ベースが浸食されることに対応するものです。
東京エレクトロン/アプライドについては、おそらく再編後のオランダ持株会社にR&D機能や知的財産を移管し、日米から多額の使用料を支払うことになると思います。オランダは軽課税国ではありませんが、イノベーションボックス税制によって使用料収入に係る税率が5%に軽減され、トータルで節税効果を享受できるわけです。(開示資料によれば、統合会社の連結実効税率は17%まで引き下げる計画のようです。)
コーポレートインバージョン対策税制といっても、現実にはなかなか巧く対応しきれないのでしょうね。