前回の三菱自動車工業(三菱自)の補足です。
優先株償還の報道で普通株の市場株価が下がったのが不思議でしたが、一方で、元々の株価が異常値なのでは?というご指摘も頂きましたので、その点を見てみました。
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ちなみに、前回のおさらいですが、報道によれば、三菱グループ各社の保有する優先株の償還の報道は、優先株の設計からして時価が元本である1株1百万円(総額3,862億円※2013年7月末時点では3,808億円)を下回るとは考えられないにも拘わらず、発行価額を下回る金額での売却に三菱グループ各社が応じる予定とのことでした。
しかも優先配当の条件が消滅することで、普通株主への配当も可能になります。
つまり普通株主にとっては極めて有利な内容なので、もちろん公募増資による普通株式増加という需給要因はあるものの、普通株の市場株価が下落したのは不思議だという話です。
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では、元々の三菱自の株価は異常な高値だったのでしょうか。
現状の株価は概ね1,000円、優先株の転換価格は20日VWAPですが、わかりやすく市場株価と同じ1,000円と仮定します(転換価格の上限・下限の範囲内です)。
三菱自の過去2期の連結EBITDAは2012/3期で568億円、2013/3期で543億円です。
一方、時価総額は普通株数622,674千株(7月末時点/自己株除く)×株価1,000円で6,227億円。
Net有利子負債は、借入金3,644億円+リース債務115億円+退職給付債務1,117億円-現預金4,095億円で780億円です。そして優先株は1株1,000円とすれば3,808億円、非支配持分が110億円ですので、企業価値(EV)は合計10,925億円になります。
これでEV/EBITDAを算定すると9.0倍(EV10,925億円÷EBITDA543億円)。
PERを計算すると26.4倍((時価総額+優先株時価)÷2013/3期連結純利益380億円)。
まあ確かにかなり高いですが、異常値とまで言えるかは微妙です。(他社比較もしてませんし)
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で、ここ最近の三菱自の株価推移をみると、2013年3月末は980円でしたが、2013年5月にはアベノミクス効果もあってか今期最高値で2,260円を記録し、その後また現状の1,000円まで下落しています。
この5月の最高値2,260円で計算すると、詳細は省きますが、EV/EBITDAで15.4倍、PERで47.1倍になります。
こうなると、明らかに異常値という感じですので、1,000円に戻ったのも頷けます。
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ちなみに、三菱自はかなりの繰越欠損金を抱えていますので、その効果は加味してもいいかも知れません。
連結ベースで繰欠に係る税効果は1,704億円です(単体579億円)。
全額消化できるかはわかりませんが、EBITDA倍率の1倍分くらいの効果はあるでしょうか。
この辺も踏まえると、現状の1,000円という株価は、高いとは思うものの、まあそれなりでしょうかね。
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あれ、なんだか、しょーもない結論になってしまいました。。
でも、複雑な種類株を発行している会社の普通株の株価が異常値になっているケースって、けっこうあるような気がします。意外と狙い目かも。
今回は短いですが、この辺で。