Accounting, Tax and M&A

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会計、税務、M&A等の話題についての分析、雑感、というか趣味の備忘録です。もちろんインサイダーではありませんので、全て開示情報と報道に基づくもので、推測を含みます。暇なときに更新しますので、頻度は低いです。ご了承下さい。

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のれんを償却すべきか、減損テストのみにすべきかという議論が盛り上がっているので、もっと抜本的な解決策があるのでは?という思い付きレベルのしょーもない話です。

1.償却・減損の議論の前に、のれんは資産計上すべきなのか?

ざっくり言うと、IFRSの「のれん」の定義は、「①企業結合で取得した、②個別に識別・認識された資産以外の将来の経済的便益を表す資産」。

 

つまり、当り前だが、のれんは資産であるとされている(だからこそ、資産として計上され、償却すべきやら減損するやらという話になる)。

 

では、その「資産」の定義はというと、IFRSの概念フレームワークでは、「①過去の事象の結果として企業が支配し、②将来の経済的便益が期待される資源」。

企業が「のれん」分の対価を支払って買収する以上、②将来の経済的便益を期待していることは間違いない。一方で、「資産」の定義に照らして、のれんは①企業が支配しているといえるのか?のれんに対価を支払ったのは事実だが、何を買ったのかもわかってないのに、支配もクソもあるのか?(というか、支配ってなんだ?)

尚、ブランドとか顧客との関係とか、無形資産として識別可能なものは「のれん」とは別個に計上されるので、何を買ったのか識別できないのれんというのは、こういう無形資産ですらないもの。超過収益力だとか、シナジーだとかで説明されたりもする。

のれんに対価を支払い、将来の便益を期待するとしても、同じく将来の便益を期待して支払った広告宣伝費と何が違うのか?

例えば中身が全く同じA社とB社があって、B社だけ追加的に株主が100億円払い込んで100億円の広告宣伝を行ったとしたら(税金とかは無視)、両社のBSは全く同じだが(広告宣伝費は資産計上されない)、将来CFの期待が高まるから(100億円そのままかは別にして)B社の方が株式価値は高くなる。

 

その分B社の買収にA社より高い金額を支払ったら、のれんになる。それって、まさに超過収益力なんだろうけど、そののれんに対する支配って何?広告宣伝費は支配してないのに?

ということで、発想を切り替えて、「のれん」は支配という観点で資産の定義を満たさない(かも知れない)から、のれんは資産計上しない、ということにしてみたらどうか。

2.資産計上しない場合ののれんの会計処理は?

のれんを資産計上しない場合に考えられる会計処理は、買収企業において企業結合時に、取得対価が取得した資産・負債の公正価値を上回る部分について(念のため、いわゆる持分プーリング法ではなくて、識別可能なブランド等の無形資産は引き続き、資産として計上する)、

① 費用として処理する、或いは
② その他の資本の控除項目として処理する。

①も②も企業結合後のBSは基本的に同じ(違いは、純資産の減少がREか、その他の資本か、という点のみ)だが、企業或いは事業の買収に際して費用を計上するというのは、買収企業の経営成績を表すという観点から筋が悪そう。

一方で②の場合、資本から控除するということは資本取引なのか?という疑問もあるが、連結グループを構成する企業・事業の構成自体が変更されるので、親会社株主の取引と言えなくもない気がするし、個人的には②資本から控除がいいと思う(最悪、流行に乗ってOCIに逃げる、という選択肢も?)。ここはもう少し検討が必要か。

3.メリット・デメリット

このように処理することによるメリットを挙げてみる。

 

のれんの減損テストが不要になり、関係者(財務諸表作成者、監査人等)の膨大なコストと手間が省ける

② のれんの計上や費用・損失がPERやPBRといった株価指標に与えるノイズがなくなり、(あまり会計知識のない)一般投資家の投資判断に資する。特に、ファンドによるLBOによって膨大なのれんと借入金でBSが構成される会社が上場して、PER等を見る一般投資家が騙されるという悲劇が防止される。(尚、専門的な株式価値評価においては元々のれんはCFとは無関係なので影響なし)。

いずれも非常に大きなメリットだ。もう”too late, too little”だなんて言わせない。償却すべきかどうか、みたいな神学論争もいらない。

逆にデメリットや気になる点(対応が必要な点)としてはこんな感じ。

① 買収によって純資産が毀損することとなる為、財務コベナンツの観点等で問題になり得る。
② のれんの減損テストがなくなることで買収の成否に係る情報開示が後退する懸念がある。
③ LBOのような経済活動に萎縮効果があるかも(LBOやると債務超過になってしまうので)。
④ 税務及び税効果会計への影響

特に②については、何らかの開示制度の整備は必要だろうけど、まあ、どれも何とかなりそう(テキトー)。

・・・

なかなか悪くないのではないでしょうか。

 

一昨日、国税庁が、米国Limited PartnershipLPS)の本邦税務上の取扱いについて文書を公開しました。

 

現時点ではなぜか英文サイトにのみ公開されています。

http://www.nta.go.jp/foreign_language/tax_information.pdf

 

全文を当たってみましょう。

 

The tax treatment under Japanese law of items of income derived through a U.S. Limited Partnership by Japanese resident partners

 

The National Tax Agency (NTA) is aware that taxpayers seek clarity regarding the tax treatment under Japanese law of items of income derived through a U.S. Limited Partnership (U.S. LP) by Japanese resident partners, such as Japanese pension funds. Taxpayers seek clarity because a July 17, 2015 decision by the Japanese Supreme Court has led some taxpayers to raise the concern that, as a general matter, U.S. LPs should be treated as opaque entities and not as fiscally transparent entities. 

 

ご承知の通り、米国デラウェア州LPS経由の投資による損失の通算に係る国税と複数の納税者での争いは、2015年の最高裁判決で決着しました。米国LPSは、州LPS法等に照らして権利・義務の帰属主体であり、日本の税務上は「外国法人」であることから、任意組合に類する事業体とはいえず、損失の通算は認められないということで国側が勝訴したわけです。

 

これを受け、年金ファンド等からは「一般論として(as a general matter)」、彼らが投資する米国LPSも組合扱いではなく法人扱いになるのでは、との懸念が生じていたとのことです。

 

In light of 2005 tax reform (newly introduced loss limitation rules for foreign partnerships), the NTA will no longer pursue any challenge to the fiscally transparent entity (FTE) treatment of an item of income derived through a U.S. LP.

 

この米国LPSを活用した損失通算スキームに対しては、訴訟と並行して、2005年に立法で解決済みでした。平たく言うと、組合損失が実際の出資金を超える部分の損金算入が制限される形になったわけです。とはいえ、過去に遡及適用することはできませんし、国側は、「米国LPS=法人」という変なロジックを持ち出して訴訟を戦い、結果、勝利したわけです。

 

にも拘わらず、国税庁は米国LPSを税務上透明として取り扱う(=組合として取り扱う)ことを認めるとのこと(no longer pursue any challenge)。これはかなり衝撃的なのですが、最高裁判決で示された法令解釈に反した解釈を認めると宣言しているわけです。こんなことが許されるのでしょうか??

 

ちなみに2005年改正時、国税庁が公表した「平成17年度税制改正及び有限責任事業組合契約に関する法律の施行に伴う任意組合等の組合事業に係る利益等の課税の取扱いについて(情報)」に以下の記載があります。

 

なお、 「外国におけるこれらに類するもの」には、例えば、米国におけるゼネラル・パートナーシップ(構成員であるすべてのパートナーが経営を担い、事業から生じた損失について、それぞれが無限責任を負うゼネラル・パートナーから成るパートナーシップ)契約やリミテッド・パートナーシップ(事業の経営を担い、無限責任を負う一人以上のゼネラル・パートナーと事業の経営には参加しないで、出資の範囲内で有限責任を負う一人以上のリミテッド・パートナーから成るパートナーシップ)契約等で共同事業性及び財産の共同所有性を有すると想定されるものが該当する。

 

元々、これが国税庁の本音だったんでしょうね。

 

では、今回の通達の続きです。

 

The NTA treats an item of income paid to and through a U.S. LP of which Japanese residents are partners as derived by the Japanese resident partners and subject to tax on a current basis in the hands of the partners, irrespective of distributions from the U.S. LP, and the character and source of the item of income in the hands of the Japanese partners are determined as if such items were realized directly from the source from which realized by the U.S. LP, provided that the U.S. LP has not made an election to be classified as an association taxable as a corporation for U.S. federal income tax purposes.

 

米国LPS経由で稼得した所得については、分配の有無に拘らずパートナーの帰属する、所得分類もそれに応じるということで、いわゆる組合の処理ですね。ただ、この取扱いを認めるのは、米国LPSがチェックザボックスにより法人所得課税を選択していないことが条件とされています。相手国における税務上の取扱いに依拠して本邦における取扱いを変えるというのも、最高裁判決で示された考え方に真っ向から反するものではないでしょうか。日本では法人か否かが納税主体になるかどうかの基準なのであって、納税主体であるかどうかからスタートするわけではないからです。

 

Accordingly, for purposes of applying the U.S.-Japan income tax convention (the “Treaty”), a Japanese resident that derives the item of income through a U.S. LP, and that meets all other requirements under the Treaty would be eligible to claim treaty benefits.

 

今回の公表の最大の目的はこの日米租税条約の適用にありそうです。日米租税条約46(e)がポイントになります。

 

一方の締約国において取得される所得であって、i)当該一方の締約国において組織された団体を通じて取得され、かつ、(ii)他方の締約国の租税に関する法令に基づき当該団体の所得として取り扱われるものに対しては、この条約の特典は与えられない。

 

意訳すると、「米国で取得される所得で、米国において組織されたLPSを通じて取得され、かつ、日本の税法において当該LPSの所得として取り扱われるものに対しては、条約の特典は与えられない」ということです。米国LPSが日本の税務上は法人となると、所得はLPSに帰属することになり、結果、LPS経由で稼得する所得には条約が適用されなくなってしまいます。

 

なるほど、今回の公表は、これを救う目的なんですね。

 

しかし、その心意気はよくわかるのですが、いろいろと疑問も湧いてきます。

 

仮に納税者が米国LPSを法人扱いとして申告した場合、どうなるのでしょう。国側は否認できませんよね、争っても最高裁の判決に沿っているわけで、国側は勝てません。米国LPSを組合扱いにした場合は、国側は争わないと宣言しています。これって、納税者側が事実上選択できてしまうのでしょうか?

 

また、他の外国事業体はどうなるのかという疑問もあります。この通達があくまで米国LPSの日米租税条約の取扱いだけを狙ったものだとすれば、その射程は短く、他の外国事業体の取扱いは最高裁判決に従って判断されるのでしょうか?

 

先般の最高裁判決を受けて税務処理を変更した納税者はどのように救済されるのか、というのも気になりますよね。日米租税条約の問題解決をする代わりに、また別の観点で混乱が生じるように思います。

 

やはり外国事業体の取扱いは、そろそろ立法で抜本的に解決すべきではないでしょうかね。(というか、そもそもの組合課税自体の整備も必要ですが。)

 

 

 

前回の東芝のタックスポジションの続きで、2016年度第1四半期のディールである、東芝ライフスタイルの会社分割と株式譲渡を見てみます。

 

けっこう税務的にも面白そうなんですよね。

 

1.     ディールの概要

 

ディールの概要は、家電事業と映像事業を行っていた東芝ライフスタイル(2016/3末で約1,500億円の債務超過)について、映像事業を会社分割で切り出した上で、東芝が東芝ライフスタイル(家電事業)の株式の80.1%を外部に売却したものです。

 

映像事業の分割先は東芝メディア機器(同時に東芝映像ソリューションに商号変更)東芝グループの連結子会社で、映像事業は引き続き東芝グループに残ります。

 

一方、東芝ライフスタイル株式の譲渡については、譲渡対価537億円、連結売却益(税前)900億円とのことです。

 

この会社分割と株式譲渡は20166月末に実施され、同時に、東芝が東芝映像ソリューションに対し、1,332億円の債権放棄を行っています。

 

まだ子会社で事業継続方針なのに債権放棄って税務的にはどうなんでしょう。

 

これを整理するためには、そもそも会社分割から分析してみる必要がありそうですが、その前に数字の整理をしておきます。

 

東芝による株式譲渡は80%相当で対価537億円ですが、税前利益900億円は子会社の支配の喪失を伴うため、継続持分の時価評価益を含めた100%ベースの数字と思われます。これを前提に試算するとこんな感じになりました。

 

 

映像事業の純資産が1,275億円の債務超過。1,332億円の債権放棄と見合う感じですね。

 

 

2.     会社分割の税務上の取扱い

 

では、会社分割の税務上の取扱いですが、まず出資関係を整理します。

 

実は東芝ライフスタイルは、東芝が株式の99.9%を保有するものの、1株だけ東芝ライテックという会社が保有しています。この東芝ライテックには一部外部株主がいるため、東芝ライフスタイルは東芝による完全支配関係になく、東芝の連結納税グループに加入していないと思われます。

 

一方、東芝メディア機器については、株主情報が見当たらず、株主が東芝なのか、東芝ライフスタイルなのかも不明ですが、東芝の連結子会社であることは間違いなさそうです。(尚、分割後の東芝映像ソリューションについては東芝が100%親会社のようです)

 

以上から、この会社分割は東芝の支配関係下で行われているのは間違いありませんが、分割後、東芝ライフスタイルは外部に売却されることになるので、支配関係の継続は見込まれません。

 

では、共同事業要件はどうでしょうか。

 

東芝の有報では、「東芝ライフの映像事業と東芝メディア機器が行っている基盤・筐体設計及び組立、製品組立並びに自動機組立等の事業を一体運営する体制を構築すること」が目的とされ、事業関連性はありそうです。

 

事業継続や従業者引継ぎ、主要な資産・負債引継ぎもおそらく問題ないものと思いますが、規模要件又は経営参画要件はどうでしょうか。

 

これもプレスリリースによれば、東芝メディア機器の従業員数が、この分割により約400人から約700人増加するとされていました。とすると、おそらく従業者数で規模要件を満たすことも可能なようです。

 

最後は、対価株式の継続保有要件です。

 

東芝の有報によれば、分割対価として東芝メディア機器株式1株が東芝ライフスタイルに交付され、その後、東芝ライフスタイルが「保有する東芝メディア機器株式会社の全株式を、株式会社東芝に譲渡」(東芝ライフスタイルHP)するとされています。

 

この分割は分社型分割なのか、分割型分割なのか、どっちなのでしょう。

 

(A)対価が東芝ライフスタイルに交付され、その後に「譲渡」するという記載を文字通り理解すると、分社型分割ということになります。そして、東芝ライフスタイルによる対価の継続保有が見込まれていませんので、非適格という結論になります。

 

(B)一方、「譲渡」とは記載しているものの、実際には分割と同時に「配当」として東芝に交付していると仮定すると、分割型分割となり、対価を受け取る東芝による継続保有が見込まれるため、適格という結論になります。

 

さてさて、どっちなんでしょう、、

 

元々、東芝メディア機器が東芝の子会社だとすると、これを(A)分社型分割で非適格とするのは、かなり意図的な非適格再編のように感じます。だって、素直に分割型分割にすれば適格なわけですから。でも仮に東芝メディア機器の親会社が東芝ライフスタイルだとしたら、必ずしも不自然でもないかも知れません。。

 

ただ、仮にこれが非適格の場合、東芝メディア機器が引き継いだ債務(1,332億円)は時価いくらで認識されるのでしょう。事実上、返済が見込まれないとしても、あくまで時価は1,332億円何でしょうか。とすると、実際には適格でも非適格でもあまり大きな差はないのかも知れません。

 

 

3.     債権放棄の税務上の取扱い

 

そして、分割と同日に行われた債権放棄です。

 

東芝は、東芝映像ソリューションにおいて引き続き映像事業を継続する意向であるにも拘わらず、債務の返済の目途が立たないという理由で債権放棄を行っています。

 

これが損金になるとすれば、17/3期に一時差異が認容される形になるわけですが、あまりにも寄附金認定のリスクが高いのではないでしょうか。

 

しかし、相手方は東芝映像ソリューション(旧東芝メディア機器)で、この時点で東芝映像ソリューションは東芝の100%子会社です(おそらく連結納税子法人)。ただ、このディールの前から連結納税グループなのかは定かではありません(東芝ライフスタイル経由の出資があれば連結納税外)。

 

じゃあ、この債権放棄は完全支配関係のあるグループ内の寄附金なのでしょうか?

 

この点、グループ法人間の寄附金/受贈益の規定である法252、法37②等からすると、寄附を行う時点で完全支配関係があるかを問われているところ、東芝の開示では、会社分割後100%子会社である東芝映像ソリューションに対して債権放棄を行ったように読めます。

 

実際の契約関係に基づく前後関係はわかりませんが、おそらくグループ内の債権放棄なのでしょう。とすると、仮に寄附金だとしても、東芝では損金不算入、東芝映像ソリューションでは益金不算入ということで、特に税務上問題はないことになりますね。

 

確かに、繰越欠損金のない(?)子会社に1,300億円もの債務免除益を認識させるのが得策とは思えませんし。

 

さて、この当りの取扱いが確認できるとしたら、17/3期の有価証券報告書における税率差異の注記でしょうから、もうしばらく楽しみに待ちましょう。(その前に、半導体の分社化という大きなイベントもありそうですが)

 

米国原子力の巨額減損と半導体事業の分社化が話題の東芝ですが、今回は、有価証券報告書を手掛かりに16/3期の東芝のタックスポジションの分析をしてみたいと思います。

 

まずはざっと単体PLを眺めてみます。

 

 

2期連続赤字の状況ですが、16/3期は営業損益段階から2,375億円の赤字になっています。

 

営業外損益もかなりのデコボコがありますが、目を引くのは、有価証券売却益7,296億円。この大半はトリッキーなスキームが話題になった東芝メディカルシステムズの売却ですね。東芝としては「確定的に売却した」ということで16/3期に売却益を計上しています。売却価額は6,655億円。投資簿価は不明ですが、資本金・資本準備金で230億円程度ですので、ざっと6,400億円くらいの単体売却益かと思われます。

 

一方、特損も目立ちます。

 

関係会社株式評価損4,198億円については、期末の開示によれば、米国原子力事業のWEC株式で2,200億円、東芝アメリカ株式で1,000億円程度の評価損を計上しています。その他、貸倒引当や減損等の数百音円単位の損失が並んでいます。

 

結果、16/3期は税引前でも損失を計上しています。

 

法人税等については、当期の法人税が369億円の負担ということで納税ポジションのようです。また、法人税調整額もかなりのマイナスになっていますが、税効果の開示を見ると、下表の通り、16/3期は繰延税金資産全額に評価性引当を計上しているようです。監査上の税資産の回収可能性の区分が5に落ちたということですね(尚、税効果の新会計基準は未適用)。

 

 

16/3期は税前赤字のため、税率差異分析が開示されていないのですが、この税資産の内訳を元に課税所得を分析してみます。尚、税負債は、その他有価証券等の純資産直入項目を除き金額僅少なので、考慮外とします。

 

税資産の推移を税前ベースに換算してみます。中期的に税率が引き下げられている時期なので適用税率が難しいですが、各期末の長期税率である32.3%15/3)、30.6%16/3)を使ってみます。

 

 

こう税前ベースでみるとわかりやすいですね。

 

16/3期は単体PL上、かなりの営業外/特別損失を計上していますが、その大半は有税で、一時差異になっているようです。具体的には、まだ税務上損金算入されない貸倒引当が約1,300億円、株式評価損が3,933億円増加しています。結果、繰越欠損金を控除する前の所得計算の段階では、5,500億円の一時差異が発生していることになります(留保加算)。

 

では、永久差異項目はどうでしょうか。

 

これも税率差異の開示がないので何とも言えませんが、交際費とか細かいのは置いておくと、大きいのは受取配当金でしょう。単体PLでは1,390億円ですが、連結決算上は66億円となっており、単体の受取配当金のほぼ全額が関係会社からのものであるとわかります。ですので、この1,390億円はほぼ全額が非課税になります。(負債利子控除等は考慮外)

 

そして、東芝メディカルシステムズについても確認しておきます。単体の売却益6,400億円程度と思われますが、東芝メディカルシステムズは東芝の連結納税グループ内の子法人に当ります。

 

連結子法人の株式を譲渡した際には税務上、投資簿価修正が行われます。この金額は外部からは不明ですが、同社の16/3期末純資産が635億円ですので、特殊要因がなければ税務上の株式簿価もこの635億円に近付くはずですので、ちょうど利益剰余金見合いの400億円程度が調整額になると仮定してみます。

 

すると、東芝単体の16/3期課税所得はこんな感じになります。

 

 

単体所得で2,892億円の試算です。

 

連結納税の所得はわからないのですが、子法人所得を無視すると、2,892億円の内、繰越欠損金と相殺できるのは65%相当ですので1,880億円になります。

 

先ほどの税効果の注記では、東芝単体の繰越欠損金の減少額は1,714億円でしたので(これ自体も連結納税の影響を無視してますが)、当らずとも遠からずでしょうか。

 

そして、欠損金控除後の所得1,012億円に対し、335億円の納税ポジションになるところ、単体PLの当期税金は369億円でしたので、これも意外と近い感じです。

 

とすると、連結納税の子法人ではあまり所得や繰越欠損金がなかったのでしょうかね。

 

尚、結果、16/3期末の繰越欠損金の残高は500億円弱になります。東芝メディカルの売却で、かなり繰欠を消化した一方、新たに発生した損の大半は有税になっているというわけです。有税残高は合計1.7兆円、貸倒引当と株式評価損だけでも約9,000億円ということになります。

 
ということで、繰越欠損金はさほど残っていませんので、東芝の税務プランニングとしては、好調な半導体事業の利益でどのようにこの一時差異(有税残高)を消化していくか、というところが重要ですね。

 

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ちなみに、東芝は20166月に東芝ライフスタイルの映像事業を会社分割により自社グループに残した上で、家電事業が残る同社の株式を外部に譲渡し、併せて映像事業に係る債権1,300億円の債権放棄を行いました。

 

これにより一時差異の内1,300億円が実現、ということなのですが、本件は税務的にいろいろと面白そうなので、次回に譲りたいと思います。

 
 

 

今回は、平成29年度税制改正の大綱から、組織再編・連結納税関係について、ざっくりと(大綱の)逐条解説をしたいと思います。引用箇所は大綱の文章そのままになります。

 

1.     スピンオフ税制の整備

 

組織再編税制等について、次の見直しを行う。
① 適格分割の範囲に、分割法人が行っていた事業の一部をその分割型分割により新たに設立する分割承継法人において独立して行うための分割として次の要件に該当するものを加える。ただし、分割に伴って分割法人の株主の持株数に応じて分割承継法人の株式のみが交付されるものに限る。

 

まずは今回の改正の目玉であるスピンオフ税制です。これまで、米国と異なり、日本ではスピンオフは基本的に非適格でしたので、税制がスピンオフを阻害しているという批判やニーズがあったところです。①はこの内、分割型分割についてです。共同で事業を営むためではなく、「独立して行うための」分割として整備されることになりました。尚、「分割法人の株主の持株数に応じて」というのは分割型分割の適格要件として元々あるものですね。で、次のイ~ホの要件を全て満たす必要があります。

 

イ 分割法人が分割前に他の者による支配関係がないものであり、分割承継法人が分割後に継続して他の者による支配関係がないことが見込まれていること。

 

まず、これは目新しい感じですが、もともと誰かの子会社だとダメで、更に、スピンオフ後も誰にも支配されない必要があるようです。グループ内の再編になると、そもそもスピンオフじゃないし、他の適格分割の類型で救われるんですかね。

 

ロ 分割法人の分割事業の主要な資産及び負債が分割承継法人に移転していること。
ハ 分割法人の分割事業の従業者のおおむね 80%以上が分割承継法人の業務に従事することが見込まれていること。
ニ 分割法人の分割事業が分割承継法人において引き続き行われることが見込まれていること。

 

この3つは、まあそうでしょうということで、特にコメントなし。

 

ホ 分割法人の役員又は重要な使用人が分割承継法人の特定役員となることが見込まれていること。

 

「重要な使用人」というのは新しいですね。元々、分割法人の役員であることを要求すると要件として厳し過ぎるでしょうから、妥当な感じはしますね。重要かどうかの具体的な判定要素はよくわからないですが。。

尚、対価として分割承継法人の株式の交付を受けた株主の株式継続保有要件は課されないようです。独立して事業を行うための再編なので、投資の継続も要求しないんでしょうかね。

 

100%子法人株式の全部を分配する現物分配について、分割型分割と同様に取り扱うための措置として、次の措置を講ずる。

 

次に、子会社株式の現物分配によるスピンオフの整備です。100%子会社に限定されていますので、要注意ですよ。

 

イ 現物分配法人の株主において、旧株(現物分配法人の株式)のうちその交付を受けた子法人株式に対応する部分の譲渡を行ったものとみなすとともに、下記ロに該当しない場合には、その子法人株式の価額のうち資本金等の額を超える部分を原資とする金額を配当とする。ただし、現物分配法人の株主の持株数に応じて子法人株式のみが交付される場合には、旧株の譲渡損益の計上を繰り延べる(所得税についても同様とする。 )。

 

整理すると、まず、①以下のロを満たす場合は適格現物分配となり、株主は株式譲渡益課税もみなし配当も生じないことになります。次に、②ロを満たさない場合は非適格現物分配になり、現物分配財産が子法人株式のみの場合は、みなし配当を認識しつつ株式譲渡損益はなし、一方、③現物分配財産が子法人株式だけじゃない場合は、株式譲渡損益とみなし配当課税の対象になります。他の組織再編の取扱いと整合している感じですが、利益剰余金を原資とする現物分配でもみなし配当が生じるということで、これまでとは大きく取扱いが変わるのかも知れません。これも、現物分配財産が100%子会社株式の場合に限定された話なんでしょうかね。

 

ロ 次の要件に該当する 100%子法人株式の現物分配を適格組織再編成の一類型とし、現物分配法人における子法人株式の譲渡損益を計上しないこととするとともに、源泉徴収等を行わないこととする。ただし、現物分配により現物分配法人の株主の持株数に応じて子法人株式のみが交付されるものに限る。

 

で、100%子法人株式の現物分配によるスピンオフの適格要件は(イ)~(二)のすべてを満たすことです。源泉徴収を行わないこととするというのも重要ですね。持株数に応じて、というのは配当なので当り前ですが、種類株発行会社の場合ってどうなんでしょ。

 

(イ)現物分配法人が現物分配前に他の者による支配関係がないものであり、子法人が現物分配後に継続して他の者による支配関係がないことが見込まれていること。

 

分割型分割によるスピンオフと同様に、グループ内はNGのようです。

 

(ロ)子法人の従業者のおおむね 80%以上がその業務に引き続き従事することが見込まれていること。
(ハ)子法人の主要な事業が引き続き行われることが見込まれていること。

 

ここは特にコメントなしですが、100%子会社のentityはそのままなので、分割型分割と異なり、主要な資産・負債の移転要件はありません。

 

(ニ)子法人の特定役員の全てがその現物分配に伴って退任をするものでないこと。

 

全てが退任するものではないことなので、1人でも残っていればOKですかね。尚、元々に別entityなので、分割型分割のような「重要な使用人」という概念は採用されていません。

 

③ 内国法人である現物分配法人の 100%子法人株式の全部を分配する現物分配により子法人株式の交付を受けた外国法人株主について、分割型分割と同様に取り扱うための措置として、次の措置を講ずる(所得税についても同様とする。)。

 

現物分配によるスピンオフを行った場合の、外国法人株主の課税関係の手当です。これまで、現物分配は剰余金の配当と同じだったので、分割型分割によるスピンオフと取扱いを同じにするということでしょうか。

 

イ 事業譲渡類似の株式等の譲渡益課税について、子法人株式その他の資産が交付される場合の適用要件の整備を行う。

 

事業譲渡類似の株式譲渡益課税というのは、いわゆる5/25ルールですが、「子法人株式その他の資産」が交付されるケースの整備なので、これはスピンオフとは別の話ですかね。

 

ロ 内国法人である現物分配法人の外国法人株主の持株数に応じて外国子法人株式のみが交付される場合には、旧株(内国法人である現物分配法人の株式)の譲渡益(我が国で課税の対象となる国内源泉所得に該当するものに限る。)に対して課税する。 ただし、この取扱いは、外国法人株主がその有する恒久的施設において旧株を管理する場合には、適用しない。この場合、外国法人株主がその交付を受けた外国子法人株式をその交付の時にその恒久的施設において管理しなくなったときは、その交付の時に外国法人株主の恒久的施設と本店等との間の内部取引があったものとして、恒久的施設帰属所得に係る所得の金額を計算する。

 

このロは、現物分配財産が「外国子法人株式のみ」の場合です。適格スピンオフになる場合でも、外国子法人株式が外国法人株主に分配されると日本の課税権が失われるので、原則として分配時に譲渡益課税の対象にするということでしょうか。(あまり自信ありませんが)

 

④ 単独新設分社型分割の後にその交付を受けた分割承継法人株式を分配する上記②ロの現物分配を行うことが見込まれている場合には、その単独新設分社型分割に係る適格要件のうち関係継続要件について、その現物分配の直前の時までの関係により判定することとする。
(注)単独新設現物出資についても同様とする。

 

これもスピンオフ税制の一環です。単独新設分社型分割又は現物出資により100%子会社を切り出した上で、現物分配によりスピンオフする場合でも適格となるように整備するものです。これがないと、単独新設分割等で、親子関係の継続が見込まれないと非適格になってしまいますので。逆に、これも整備しておかないと、スピンオフを適格でやるか非適格でやるか、自由に選択できてしまうという感じなんでしょうかね。

 

さて、ここまでがスピンオフ関係です。組織再編税制の適格要件にスピンオフを取り込むというコンセプトだと、こんな感じに仕上がりました、ということですかね。

 

 

2.     その他の組織再編・連結納税関係の改正

 

⑤ 吸収合併及び株式交換に係る適格要件のうち対価に関する要件について、合併法人又は株式交換完全親法人が被合併法人又は株式交換完全子法人の発行済株式の3分の2以上を有する場合におけるその他の株主に対して交付する対価を除外して判定することとする。

 

さて、これは超重要な改正です。これまで、合併・株式交換の適格要件として、対価に一部でも現金等が含まれると自動的に非適格になっていたわけですが、合併法人/株式交換完全親法人が再編前から2/3以上の株式を保有している子会社の場合、他の株主には現金等を交付しても適格要件を満たせることになります。現金対価の適格再編を認めるということで、画期的な改正ではないでしょうか。より柔軟な適格再編を認めるという望ましい方向性の改正ですし、ちょっとでも現金を混ぜれば非適格にできるという、ある種のタックスプランニングを防止する効果もあるのかも知れません。更に次の⑥も併せ、非常に大きな影響がありそうです。ちなみに、細かいですが、株式交換については、株式交換完全親法人が保有する完全子法人株式には対価が交付されない(交換の対象にならない)わけですが、「その他の株主に対して交付する対価を除外して判定」というのはやや整合しないような?まあ、うまく条文に落とし込むんでしょうけど。

 

⑥ 全部取得条項付種類株式の端数処理、株式併合の端数処理及び株式売渡請求による完全子法人化について、株式交換と同様に、組織再編税制の一環として位置づけ、次の措置を講ずる。

 

これも非常に重要です。これまで、いわゆるスクイーズアウトの手法として、株式交換は組織再編税制の対象となる一方、全株取得条項・株式併合・株式売渡請求は組織再編税制の埒外ということで、経済的に同じ行為でも課税関係が異なる状況でしたので、今回、これらを統一するようです。

 

イ 企業グループ内の株式交換と同様の適格要件を満たさない場合におけるその完全子法人となった法人を、非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度等の対象に加える。

 

ということで、当然ながら、適格要件を満たさないスクイーズアウトは非適格株式交換と同様、時価評価課税に服することになります。で、スクイーズアウトというと、普通は対価は現金なわけですが、上述⑤の通り、スクイーズアウト前に株式の2/3以上を保有していれば、現金対価でも適格要件を満たせることになります。2/3も保有せずにスクイーズアウトをすることは考えられませんので、現在のスクイーズアウトの実務を阻害するようなことにはならないと思われます。

 

ロ 企業グループ内の株式交換と同様の適格要件を満たす場合におけるその完全子法人となった法人を連結納税の開始又は連結グループへの加入に伴う資産の時価評価制度の対象から除外するとともに、その完全子法人となった法人の連結納税の開始等の前に生じた欠損金額をその個別所得金額を限度として、連結納税制度の下での繰越控除の対象に加える。

 

これも重要です。連結納税開始/加入時の時価評価課税は非常に厳しく、特に加入時については、実質的には株式対価の株式交換くらいしか回避策がない状況でした。これが、現金対価のスクイーズアウトでも(適格株式交換と同様に)連結加入時の時価評価が不要になり、(加入法人の個別所得からのみ控除できる)特定連結欠損金としての持ち込みも可能になります。

 

⑦ 非適格株式交換等に係る完全子法人等の有する資産の時価評価制度及び連結納税の開始又は連結グループへの加入に伴う資産の時価評価制度について、時価評価の対象となる資産から、帳簿価額が 1,000 万円未満の資産を除外する。

 

そして極め付けはこれです。これまで、連結加入時の時価評価課税から除外される資産は、「含み益」が1,000万円未満の資産でした。つまり、いわゆる「営業権」は、税法上の固定資産として時価評価の対象とされ、プレミアム(のれん)を付けた買収等、含み益が1,000万円を超える場合は時価評価課税の対象になるということで、実務上、非常に大きな問題・障害になっていたわけです。これが、含み益ではなく「帳簿価額」基準になる(あるいは追加される?)ことで、通常、自己創設営業権は帳簿価額がゼロ円ですので、多くの場合、営業権は時価評価が不要になります。これは超重要な改正ですよ。上述の⑤⑥により、そもそも時価評価不要(適格)での連結加入の余地が広がり、更に、非適格の場合でも営業権の時価評価課税が不要となるケースが増えることで、連結納税の重大な障害が取り除かれ、連結納税の採用・拡大に大いに貢献するのではないでしょうか。正直、個人的には2010年以来の大改正だと思います。

 

この当たりの纏め表はこちらをご参照下さい。

 

⑧ みなし配当の額が生ずる事由となる自己の株式の取得について、その範囲から全部取得条項付種類株式に係る定めを設ける旨の定款変更に反対する株主からの買取請求に基づく取得を除外する(所得税についても同様とする。 )。
(注)買取請求は、株主がその全部取得条項付種類株式の取得決議に係る取得対価の割当てに関する事項を知った後に行った場合で、買取請求をしないとすれば端数となる株式のみの交付を受けることとなる場合に行ったものに限る。

 

去年まで(?)のスクイーズアウトの代表的手法だった全株取得条項付種類株式スキームについて、種類株式を設ける際の定款変更と、全株取得条項の行使と、どのタイミングで反対するかによって、株主のみなし配当課税の有無に差異があり、特にみなし配当を取る目的で定款変更に反対するようなケースがありました。今回、これらの取扱いを統一するということで、加えて、昨年の会社法の改正も含め、あらかじめTOB等に応じても課税関係や利息等のメリットもなくなる方向になるものと思います。まあ、あるべき改正でしょうかね。

 

⑨ 組織再編税制における適格要件について、次の見直しを行う。
イ 企業グループ内の分割型分割に係る適格要件のうち関係継続要件について、支配法人と分割承継法人との間の関係(現行:支配法人と分割法人及び分割承継法人との間の関係)が継続することが見込まれていることとする。

 

これは、正直、改正の意図がよくわかりません。グループ内の分割型分割後、支配法人(親会社)と分割承継法人の支配関係の継続が必要な一方、分割法人との支配関係は継続する必要がなくなるようです。分離する事業を分割承継法人に切り出すか、分割法人に残すか(その他の事業を分割承継法人に切り出すか)はある意味自由なので、何故このような適格要件の緩和を行うのでしょうか。。売却する事業がある場合に、売却対象事業を分割法人に残し、その分割法人株式を譲渡するスキームにすれば、その事業自体に対する課税を回避することが可能になってしまうように思うのですが。しかも、売却対象事業を分割承継法人に切り出す場合は課税を受けることになるので、納税者が選択可能ということになってしまいませんかね?

 

ロ 共同事業を行うための合併、分割型分割、株式交換及び株式移転に係る適格要件のうち株式継続保有要件について、被合併法人等の発行済株式の50%超を保有する企業グループ内の株主がその交付を受けた合併法人等の株式の全部を継続して保有することが見込まれていること(現行:株主数50 人未満の場合に限り、交付を受けた合併法人等の株式の全部を継続して保有することが見込まれている株主の有する被合併法人等の株式の数が発行済株式の 80%以上であること)とする。

これも基本的には適格要件を緩和する方向ですかね。グループ外の再編(共同事業要件)について、株式継続保有要件が課されるのは、株式の50%超を保有する企業グループ内の株主に限定されるようです。何点か細かい疑問ですが、この大綱の書き振りからすると、被合併法人等の株主が50人以上の場合も適用対象になるんですかね?上場会社等で、確認できない場合はどうなるんでしょうか。

 

ハ 当初の組織再編成の後に他の組織再編成が行われることが見込まれている場合の当初の組織再編成の適格要件について、所要の見直しを行う。

 

そうなんですね。現行の規定は、再編後に適格合併が一回だけ予定されているような限定されたケースにしか対応していないので、より柔軟になるのはwelcomeかと思います。

 

(注)上記⑤から⑨までの改正は、平成 29 10 月1日以後に行われる組織再編成について適用する。

 

適用開始の時期です。この改正を見据え、再編の時期をずらすという選択肢もありそうです。

 

⑩ 営業権の償却方法について、取得年度の償却限度額の計算上、月割計算を行うこととする(所得税についても同様とする。 )。資産調整勘定及び負債調整勘定についても同様とする。

 

従来、営業権は5年償却ですが、償却限度額の計算上、月割計算がなかったんですよね。更に、資産調整勘定は会社の損金経理に拘らず強制的な5年均等償却でした。これが、おそらくいずれも月割計算を含めた償却費(又は償却限度額)にするのでしょう。まあ、妥当な改正かと思います。

 

⑪ 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度のうち支配関係がある法人間でみなし共同事業要件を満たさない適格合併等が行われた場合における欠損金の制限措置及び特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入制度について、支配関係発生日の属する事業年度開始の日から支配関係発生日の前日までの間に生じた特定資産の譲渡等損失額を制限の対象に加える。

 

細かくなってきました。あまり実務で触れるケースは少なそうですが、買収した子会社が抱えていた繰越欠損金及び含み損資産の実現損失の合併による持込制限について、(子会社の)買収日の属する事業年度の内、買収前に発生した損失についても制限対象に加えるようです。買収を決めた後、買収前に含み損を実現した場合のその損失が従来は制限対象外だったということでしょうか。(やや自信ないので、必要に応じ加筆・修正します)

 

⑫ 特定株主等によって支配された欠損等法人の資産の譲渡等損失額の損金不算入制度について、特定支配関係が生じた事業年度において一定の事由が生じた場合のその事業年度開始の日から特定支配関係発生日の前日までの間に生じた特定資産の譲渡等損失額を損金不算入の対象に加える。

⑬ 特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の制限措置について、他の者による完全支配関係がある法人が特定支配関係が生じた日以後に解散し、残余財産が確定した場合を制限の対象に加える。

 

欠損等法人に係る欠損金持込制限の強化ですかね。いずれもこれまで漏れていた細かい穴への対応と思いますが、あまり自信ないです。。

 

⑭ その他所要の措置を講ずる。

 

はい、ノーコメント。

 

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ということで、今回はここまでです。

 

今後、1月~2月には法案、4月には法律・政令、そして7月ごろに通達という感じでしょうか。最終的にどう条文に落とし込まれるのか、楽しみにしましょう。