とあるはんこ屋さんのブログを見ていたら、最近は手書きでオリジナルの印稿を作る職人さんはすごく少ないらしい。それに彫刻も完全に手彫りというのはものすごく少数派というかむしろ異端と言ってもいいようです。
自分は、一般の印章店の職人さんになる修行はしたことがなく、基本的に篆刻ばたけというか、勉強は篆刻の本を見てやっている。そのため出来上がる印影も、どちらかというと一般のはんこ屋さんのようなものではなく篆刻作品に近いものになっています。正確無比なものを作るという技術においては、印章店の職人さんにはまったくかないません。その代わり、少し味わいのあるものは作れるかな~と思っています。
篆刻家なら印稿を手書きしないということはたぶんありえないし、彫刻も手彫り以外のことはまず考えないと思います。
ただ、一般のはんこ屋さんとの大きな違いは、商売として成り立たせようとするかどうかですね。
一般の印章店で完全手彫りでやっていると、まず商売が成り立たないみたいです。なので荒彫りは機械でやって、仕上げを手でやるというのが主流のようです。お店によっては機械彫りのみで、手仕上げしないお店も多いらしいので、要注意のようです。
自分は、誰にも教わらずやってきましたのでこのような事情を何も知りませんでした。
いつもたくさん彫れないことに自己嫌悪を感じていたのですが、ちゃんと修行した職人さんでも完全手彫りは大変だということを知って、ものすごく安心しました。
昨日も、フルネームのはんこのデザインを書いていたのですが、いったん印篆ですっきりとしたデザインを書いた後、なんとなくお客様の好みは印相体っぽいもののような気がして四苦八苦していました。
印相体というものは篆刻にはありません。が、過去に何回かやってみたことはあります。ただ、文字によって出来たり出来なかったりします。で、昨日はどうだったかというと、結局印相体はうまくいかなかったので、印篆で彫りました。13ミリの丸にに四文字入れましたので、なかなか大変でした。
こんなことをやっていると、一日一本です。でも、他の印章店の職人さんたちのことを少し知ることができましたので、自己嫌悪感がなく、いい気分です。「お前は頑張ってるじゃないか」ってww