本格焼酎市場が業務分野の落ち込みで苦境というニュースに触れて心を痛めている。そもそも、日本酒やビールに比べて市場が小さいうえにコロナ禍で飲み会需要が消失してしまったのだから無理もない。
しかし、焼酎というのは基本的には安くて旨い酒である。さらに、蒸留酒だから糖質・プリン体はゼロという健康的(?)な酒なのだ。
このような誰も読まないブログに何を書いたところで無意味なのであるが、焼酎党の私としては焼酎業界の今後に1ピコグラムでも寄与するべく、私の愛する本格焼酎を紹介しようと思い立った次第である。
①藤居醸造 特上泰明
大分の麦焼酎。大分麦焼酎と言えばいい〇こや二〇堂が有名であるが、全く別物である。いい〇こや二〇堂も値段を考えると素晴らしくコスパの良い酒なのだが、いかんせん雑味が無さ過ぎて物足りない。こちら味はスッキリであるが、なんといっても香ばしい香りが素晴らしい。主にロックでいただいている。
②霧島町蒸留所 農家の嫁シリーズ
鹿児島の焼き芋焼酎。芋焼酎のまったりした甘い香りが苦手なのだが、農家の嫁シリーズはこの甘ったるさが適度に抑えられていて大変に飲みやすい(本来の芋焼酎が好きな人には物足りないだろうが…)。食中酒として水割りでいただくことが多い。紫芋バージョンと白芋バージョンがあるが、私のバカ舌ではよくわからなかった。旅行で立ち寄った際、とても親切にしていただいたのが良い思い出。
③八海山 よろしく千萬あるべし
日本酒で超有名な八海山が作っている米焼酎。獺祭焼酎ほどではないが、ほのかな、しかしはっきと吟醸香を感じられる。残念ながら吟醸香が好きなら日本酒を飲めよ、というツッコミに対して明確な答えを示すことができないが、価格や糖質を考えると米焼酎も悪くないと思うのだ。水割りかロックで飲んでいる。
④四ツ谷酒造 兼八
これも大分の麦焼酎。特上泰明をさらに香ばしく、さらに濃厚にしたような味わい。本来高価ではないが、一部の店ではプレミアム価格で売られている。特約店で買えば定価で買えるが、送料がかかるし、1本で売ってくれないため面倒。ちょっと贅沢がしたいときにロックで飲んでいる。
⑤ぶんご銘醸 杜谷華むぎ
なぜか、ぶんご銘醸のホームページからは無くなってしまった。終売は勘弁して…。特上泰明よりも香りが華やかで、華むぎというだけのことはある。他の杜谷シリーズも試してみたが、こちらがオンリーワンな印象。
紹介したものは、どれも1升で3000円程度で買える。毎日飲んでも1本買えば2か月くらい楽しめる。実際は毎日同じものを飲むわけじゃないので、私の場合3か月程度で1本空ける感じである。もはや、飲み会で5000円払うなら1升瓶を買った方がいいと思ってしまう。こいつらのおかげでコロナ禍における私のおうち時間が充実したものになっているといっても過言ではないのだ。
さて最後に書いておきたいのはいわゆるプレミアム焼酎についてである。芋焼酎では3M(森伊蔵、村尾、魔王)などが有名である。森伊蔵などは酒蔵が転売するなと言っている。にもかかわらず、量販店などでプレミア価格で販売されている。昨今のように、転売が社会問題となる以前からそうである。焼酎は基本的に安い酒で、価格はどれも一升で3000円程度である。それをわざわざ「安定供給のため」などと銘打って大手の販売店が堂々と販売する現状には反感を覚えざるを得ない。まさに恥を知れ、である。
とはいえ、特約店で買おうとすると箱代や送料がかかったり、人気焼酎のみでは販売してくれなかったりして多少入手性が悪くなってしまうという問題もある。兼八一本買うために欲しくもない他の銘柄も買わねばならず、箱代や送料もかかり日数もかかるとなれば、定価の倍であっても金を積んで解決してしまう人が多数出てくるのは理解できる。しかし、多くの酒蔵は零細企業であり人気が出たからと言って生産能力をすぐに上げることはできない(多少人気が出たくらいで多額の投資をするのは難しいだろうとも推察する)ことを考えれば入手性の悪さはやむをえない。余計な1本を買わされたとしても、それが新しい出会いになる場合もあろうから、やはり正規のルートで購入するべきだと考えている。
コロナ禍に世界的な情勢不安、資源高などのダブルパンチ・トリプルパンチで業界は極めて厳しい状況に置かれているだろうが、いち焼酎ファンとして、本格焼酎業界の復活と発展を願ってやまない。