東川篤哉さんの作品を読むのは「純喫茶「一服堂」の四季 」と「館島」に続き3作品目になります。

 

なぜこの作品を読もうと思ったかというと、これのひとつ前に読んだ連城三紀彦さんの「暗色コメディ 」があまりにも暗く読み手に精神攻撃を仕掛けてくる作品だったため、次は思い切り明るくポップに読めそうな作品を読みたくてこれにしました。

 

予想通り、東川さん特有の非常に読みやすく明るい文章でした。

しかもキャラもしっかり確立していて、キャラモノとしても面白いですし、ミステリーとしてちょっとした驚きがあるなど、ライトミステリー的ではありましたがとても面白く読むことができました。

 

物語の一番の特徴でもあるマリィの魔法を事件の解決には使わず、あくまでも事実の補強程度やちょっとしたギャグ要素にしか使っていない事もミステリーとして面白くしているのだと思います。

 

上述で「東川さん特有の」と書きましたが、東川さん特有の「おちゃらけ」と言いましょうか・・「館島」がおちゃらけが過ぎたように感じて辟易していたので、この作品ではおちゃらけ具合が私にはちょうどいい感じでした。

 

ちょうどいい感じと思った原因は、椿木があまり登場機会が多くなかったからでしょうか(笑)。

あとは小山田がドMの変態ではあるものの、その描写はわずかで、基本真面目に捜査をしているからとも思います。

 

なお東川さんの特徴として、妙齢の独身女性を書かせると、そのキャラを暴走させる傾向でもあるのでしょうか?

 

ちなみにタイトルが「魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?」なので、私はマリィが完全犯罪を目論んでいるのかと思っていました。

 

なので読んでいる途中は、「それぞれの犯罪は全てマリィが黒幕で、何らかの目的を持ってマリィが犯罪を主導して、ラストでそれが小山田により暴かれるのでは?」と思っていましたが・・全く大ハズレでした(笑)。

 

タイトルといえば、物語とは関係のないことですが「〇〇は△△の夢を見るか」を見たとき、私は昔のアダルトゲームの「オランダ妻は電気ウナギの夢を見るか?」を思い出しました(汗)。

 

しかしさらに元ネタを辿ると、フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」というSF小説が元ネタのようです。

東川さんはおそらくアンドロイドの方を元ネタにしたのでしょうね。

 

最後まで明るい話で、登場人物たちもおちゃらけていながらも馬鹿馬鹿しさは抑えられ安心して読めました。

しかも魔法少女はシリーズモノのようなので、まだまだこの先、小山田たちを見ることができそうでよかったです。

続編を読むのが楽しみです。

 

(個人的評価)

面白さ   ☆☆☆☆

ミステリー ☆☆☆

キャラモノ ☆☆☆☆☆

おちゃらけ ☆☆☆☆☆


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