この記事は「天狗岳編」のつづきです。
箕冠山からオーレン小屋に下ってくる道では数人の登山者にしか出会わなかった。
休日の昼過ぎにこんなもんかと少々拍子抜けしたくらい。
これならば小屋やテント場も静かで過ごしやすいかな…そう思って小屋の表に回ると…
いきなり、すげー賑わっていた。
「どっから湧いて出た!」
「言い方! でも同感w」
写真は、これでもなるべく人が写らないように撮ったものなので、実際は数倍の賑わいだと思っていただきた。
小屋の前には冷たく冷やされたビールやジュース。
ランチのメニューも豊富だ。
「そして、なんだかシャレオツだっぺよ」
山の中の都会ってやつだな、こりゃ。
オーレン小屋名物、八ヶ岳おはぎをゲット!
一日8食限定らしいからゲットできてラッキー♪
「うまいっぺ! 甘いもの、うまいっぺーーー!」
ツートン大感激。
さて、おはぎも食べたことだしもうちょっとがんばりますか。
テントに荷物をデポして峰の松目へ向かう。
荷物をデポして身軽になったとはいえ、すげー急登で思ったより大変な道のりだった。
主稜線からけっこう外れているため、訪れる人も多くはないようだ。
なので整備状況もそれなり。
山頂からの眺望は無い。
はて、どうして計画立てた時にここに来ようと思ったんだっけ?
「でも野鳥がたくさんいて楽しかったっぺよ」
そうそう、思い出した。
峰の松目は2500mを越えてる山だったから山頂を踏んでおこうと思ったんだ。
とりあえず目的を果たすことができたので硫黄岳へ取って返す。
峰の松目の鞍部から硫黄岳に向かう道は緩やかに登っていく。
眺望があれば硫黄岳や横岳がぐんぐん近づいていく迫力のある景色だろうけど、残念ながら樹林帯に囲まれている。
40分かけて赤岩の頭に到着した。
これで以前南八ヶ岳を歩いたときの赤線と今回の赤線がつながった。
「自己満足!」
「何が楽しいのかサッパリわからんが、が楽しいならそれでいいっぺ」
これこれ、この景色よ。
昔、赤岳から縦走してきた時に見て感動したのが蘇ってきた。
「これで見納めだ~、名残惜しい~って言いながら赤岳鉱泉に下りて行ったんだっけ。懐かしいね」
硫黄岳までは片道20分。
だが、本日も遠雷が聞こえ始めた。
「行くっぺか?」
「うーん、行きたいところだが天気が…」
少し迷ったが、遠くに雨柱も見えたので急ぎ下山することにした。
硫黄岳は一度登ったことがあるからな。
雨に当たるよりは下山優先だろう。
ちょうどテン場に戻ったところで雨が降り始めた。
「ナイスタイミングじゃね? さすが俺様の好判断じゃ!」
「はいはいだっぺ~。早く乾杯しようぜ♪」
どうせいつもの夕立。
すぐに止むだろうということで、ビールを買って小屋前でご苦労さま会を開催。
「この一杯のために生きているー!!」
「うぇーい♪ 冷えたビール売ってる山小屋バンザイ!」
予は満足じゃ。
さすがにベロベロになるほどは飲まないけれど、いい具合にほろ酔いになった。
あとは就寝までのんびり過ごそう♪
ところがこの後、一向に雨はやまず、それどころか時間の経過とともに土砂降りになった。
結局、3時間ほどテントの中に閉じ込められることになってしまった。
腹が減ったのでテントの中で煮炊きしたら結露で大変なことになった…。
荒天時の炊事って、みんなどうやってるんだろう?
就寝時間が近くなった頃、やっと雨が上がった。
夕日がきれい。
さっきまでの豪雨が嘘みたいだ。
とりあえず雨が上がり、小屋の前を流れる沢も増水していないことを確認。
安心して寝袋に潜り込んだのであった。
つづく