歌舞伎俳優、市川左團次さんが一昨年なくなって、TVでもいろいろな過去の舞台特集が流れました。
リマインド本もまた出たのですが————「十八番」の裏話はさすがにあまりのっていなくて、一途な「高島屋」の姿。
バーでの奇行とか、演目によって自由に遊べる場合派手な女装(エプロンドレス)で出演されたり、とか、口上でも、誉めるべき主役の秘密をお茶目にすっぱぬくとか、歯に衣をきせないことでも有名で、でもそれがシャイないたずら小僧のようなお人柄でした。
🌟團十郎子息の新之助さんの(親子での襲名の)時にも、これからは、成田屋さんといえば、若い新之助をひいきにします、とか、中村芝翫さんの八代目襲名のときに、ちょうど例の京都の芸者さんとの浮気の話が世間を騒がせていたので、その弁明をもじって、
「私は「不徳のいたすところ」で、残念ながらそのような経験はございません」と口上の席で真面目に。
🌟こんどは何を見せてくれるの? といつも、ユニークな巨体の、左團次さんのファンでした。
(ロングコートチワワを2匹飼っておられて、奥様ともどもメロメロだった話は、一時期左團次ブログを、奥様が代わりに書かれていて)、私はその愛読者でした)
🌟で、今度の追悼本はご本人の語りによる思い出や友人や人間国宝たちの愛情あふれるエピソードがいっぱいで、しかし、私の目がとまったのはこれ!
こんなに細かく目を大きく見せる所作を書いてくれている人がいるだろうか。参考になり(まくり)でした。
月末、千秋楽に歌舞伎座に行ったとき、ロビーにはお写真コーナーができていて、みんな列を作って写真を撮っていました。
敵役が多かったので、「目を剝く」のがやっぱりお上手でしたね。(歌舞伎界で一番目を大きく剝ける人は、空前絶後に團十郎さんですが)
いろいろ思い出はあるのに、出たばかりのこの本のこの一節が強烈に残ってしまいました。
私にとっての「左團次師匠の教え」です。