出ました「新呪文」虎の巻ーー〔技芸 神に入る〕境地(大嶋信頼) | hermioneのブログ  かるやかな意識のグリッド(の風)にのる

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バシャーリアン。読むことで意識が変わるようなファンタジーや物語に出会ってゆきたい。

 これは以前の本から集めたハイライト版かな、と思いながら待っていました。そうしたら、大半が「見たことがない」新規の呪文ばかりで、ありがたく没入しました。

 

🌟大嶋呪文の特徴は

 

「部分イミフ」ーーそのため常識的左脳がひっかかって、記憶に食い込みます。

「反転呪文」こうなれるとよい、正しいはず、という願望の裏をかく、パラドックス。

そして

アフォリズム(ぐさっと刺さって鍼のように効く)

「ちょっと詩篇のよう」(教会学校の聖書のテイストがあります。最近のなんともいえない優しさ)

 

 

前書きに

「不安は自分で解決しなければ解消されない」のではなく、「人に相談したり、余計なものを食べたり飲んだりしなくても」

「ただ「呪文」を唱えるだけで

「あれ、気持ちが軽くなったかも」と自分でも信じられない感じになります。」

 

 とあります。これこれしなければ、解消されない、ということ自体「暗示」の産物だった。

 何かの縛りがはらりと、切り落とされた感じがします。

 

🌟大嶋ワールド以外のなにものでもない世界観。意識と無意識の敷居のあたりへ連れていってくれて、いつのまにか茫漠幽明無可有の境界に落ちています。

 

掲載呪文のいくつかを分類してみます。まず

 

①部分イミフ

 「私の中にあるものは全て私を助けてくれる菌が吸収してくれる」「水面の向こう側の世界」

 

②反転呪文 「普通の人とともに生きる」「寒天のように固まる」「自己を主張しない勇気」

 

③アフォリズム 「苦痛は蜜の味」「他人の満腹感は相手のもの」

 

④聖書編「差し上げると豊かになる」「幼子のように生きる喜び」

 

🌟これらは、すぐ響く感じもするのですが、本の説明の処方箋を読むとさらに強化されます。

 

「私の中にあるものは全て私を助けてくれる菌が吸収してくれる」(ネットを検索しすぎで不安がつのったとき・いろいろな人の気持ちを考えすぎてしまったとき)

「水面の向こう側の世界」(孤独を感じたとき、水たまりの向こう側にいるもうひとりの自分を感じてみる。そこには別の世界の自分がいる......)

 

「普通の人とともに生きる」(自分は特別なのに、なぜか理解されない、と疎外感を感じたとき唱えると、「普通の人にわかってもらわなくてもいいじゃないか」と、かえって肩の力が抜ける逆説)

「寒天のように固まる」(これにはちょっと説明が必要でした。寒天は38度以下で固まるのだそうです。だから、優柔不断で人の言葉に右往左往してしまう人の場合、口の中(38度前後)で寒天が固まるイメージをすると、ブレなくなる。寒天は、しかもやわらかいので、自分を圧迫するのではなく、頼れる存在感)

 

「自己を主張しない勇気」(SNSなどで、つい人に同情して書き込みをしたり、アドバイスで感謝されたくて、じっとしていられず主張したりしてしまう。唱えると、自己尊厳感が高くなっておちついていられる)

 

「苦痛は蜜の味」(例えばこれも、ネット検索で、自分のツイッターなどがほめられたりけなされたりしていると、おちつかないのにやめられない。これを唱えると、見にいく気がなくなる→自分を上の次元から見ることができる感じに)

 

「他人の満腹感は相手のもの」(営業の場合や、そりが合わない人、話題が合わず話しにくい人と無理に話をしなければならないときには、相手の満腹感にのみ気をつかって、自分が飢餓に陥っている。これを唱えてみると、それに気づくことができる)

 

「差し上げると豊かになる」(宝くじを買うタイミングや、お金を動かす仕事で迷ったときなどに、「選びそこねた」という悔しさがこみあげるとこれを唱える。すると、損をしたのではなく「人に差し上げたのだ」という大らかな気分になる)

 

「幼子のように生きる喜び」(自分だけ成長せず、幼稚で、置いて行かれているような気分のとき・これは子供を手元から離したくない親の呪縛の視線にからめとられているので、これを唱えると、親の視点から自分の視点へシフトできる)

 

🌟どれも味わい深い丹精されたドロップのような感じがします。

 このほかに、あ、使ってみよう、と思ったものが私の場合に三つあります。

「不安の下には怒りがある」

 人の反応がやたら気になって不安なとき。唱えてみると、「なんでこのために時間を使わなければならないのか」と怒りが見えてきたりします。あっ、これは相手に気遣いをしているのではなく、私は怒っているのだ。

 

「もしかして疲れて相手にそっけなくしてしまったのでは」→「ちょっと待って。気を遣わされて私はほんとうは怒っているのだ」

 

「精神的ダイエットで身軽になる」というのもありました。(人からよく思われよう、と機嫌をとったり気をまわしたりする結果、自分の軸がなくなる。)

「オリジナルの自分で感じてみる」

 これは文字通り。こういう場合にはこう感じるはず、と思い込んでいることが、リセットされて「本来の(何も感じていない、どうでもよいと思っている)自分」にたちもどれる。

 

🌟あとがきにもありますが、「呪文」とはこれまでの暗示や物語を解いて、「本来の自分」にもどしてくれるもの。催眠スクリプトの一部。

 

 これまでの心理学では、「暗示をかける」のが呪文や催眠スクリプトでしたが、大嶋心理学の世界では、まったく逆。ゼロポイントへリセット、です。

 

🌟「楽になる」がその効用。なぜ、楽になるのかは、ロジックではなく、言葉のもつぬえのような魔力なので、「呪文」です。

 

「わからない」も呪文......(わからなくていいのだ、とわかってきます)