御伽草子にある物語です。
前の記事で、頭に玉入れの籠のようなものをのせる、というハピハピさんのアイデアに、何かすごく反応してしまったのは、けさ考えてみると、どうもこの「鉢かづき姫」の話が頭にあったからのようです。
子どものときに絵本で読みました。
すごく変わった話で、類話は思いつきません。
★お母さんが亡くなるときに長谷寺の観音様のお告げで、娘の頭に箱をのせて鉢をかぶせました。するとその鉢は取れなくなってしまったのです。顔も見えず、かなり不気味な姿です。あとからきた継母はいやがって、この娘を追い出しました。
娘は身投げをしようとしましたが、鉢が浮いてしまって沈めません。
そのうちとある貴族の家の下働きに雇われることになり、「鉢かづき」「鉢かづき」といやしめられながらも、一生懸命働きました。そのうち、四男の若様が彼女を気に入って嫁にしたい、と言い出します。母の奥方は当然眉をひそめ、では兄さんたちのお嫁さんと「嫁くらべ」をしようと席をもうけます。
娘は、そんな席には出られないと家出しようとするのを、恋人の若様が追ってきます。そして「出てゆくな」と引き留めようとしたとき、鉢が落ちて割れ、中から、たくさんの宝物と、そして美しい顔があらわれます。だれも彼女の顔を見たことがなかったのでした……
嫁くらべの席にあらわれた美女は、顔だけでなく琴も和歌もすべて、兄嫁たちにまさっていたので、ふたりは結婚して幸せに暮らしました。
(大阪府寝屋川市の伝説らしいです。)
☆彼女の頭の上には宝物の箱がのっていて、それを鉢がおおっていたのでした。
それがぱっと割れて、宝物が散乱し、美しい顔があらわれるシーン。なんで頭の上に宝物をのせて、顔ごと隠していたのか……?
とても不思議な物語です。
フロイトだったら、容器はすべて子宮の象徴にしてしまうのですが、これは何か違う気がします。
☆たぶんわたしたちの頭の上には生来の(天与の)才能とか輝きの宝物がのっていて、それを鉢で覆い隠している。ついでに顔も隠している。
そう思うと、これはまさに女性のありかた。最後には姿をあらわして生きる!
聖人や仏陀の頭のうしろには光背があり、オーラが出ています。
このお姫さまもそうだったのでは————宝物という言葉で彼女の本質があらわされています。
(大嶋先生、お母さんの嫉妬っていうのは————アリですか。それが鉢をかぶせていた……)
☆ということで、たぶんわたしたち女性はみんな「鉢をかづいて」(鉢をかぶって)しまっている。鉢が落ちて割れたとき————あらわれる女神。
それは雲を割ってあらわれる月の女神なのかもしれません。
http://hukumusume.com/douwa/PC/jap/05/15.htm
マンガ日本昔話?↑で描かれたこの物語