宮藤官九郎さん脚本のドラマ「不適切にもほどがある!」、SNSなどで話題になってるので録り貯めてあったものを最新話(第4話)まで見ました。ドラマとしては面白いんですけど、なんか、見ていてモヤモヤするというか、ザワザワするというか。
今から38年前の昭和61年(1986年)から現代へタイムスリップしてきた、おじさん(一郎)。昭和10年(1935年)生まれだとドラマの中で明かしてました。戦前!
平成の30年も飛び越えて、いきなり令和にやってきて、バスの中でタバコを吸うわ、セクハラパワハラ発言連発するわ、スマホに驚愕しつつもあっという間に使いこなしてスマホ依存症になるわで、なんというか、コメディの王道というか、今、それ言ったら(やったら)マズいでしょうっていうことを全部やってみた、みたいなドタバタぶり。
それも「昭和からやってきた」っていうことを免罪符にして主人公にやらせてるっていうところが、あざとい。「昔(昭和)はよかったよねぇ。いまみたいにコンプラ、コンプラ言われないし、男は男らしく外で稼いで、女は女らしく家で家事や育児をやってればよかった」みたいな価値観を、今のテレビドラマでわざわざ見せつける必要性っていったい。
その議論、いままで散々やってきたよねぇ、いまさらほじくり返して、また最初からやり直すんんですか、っていう感じもあり、今の、女性の権利とか女性蔑視(差別)とか、多様性とか、コンプライアンスとか、そういうものを上から目線で嘲笑しているような雰囲気もあって、そこが、モヤモヤポイント。
しかし、クドカン脚本ですので、これが伏線で、このあとうまいことどこかへ着地させて、してやったり、という結末が待っているのかもしれません。
タイムリープものなので、そのあたりの設定も気になる。昭和で中学教師だった一郎の教え子が令和にタイムマシンを発明して、行き来ができるようになった、という設定。なんだけど、タイムマシンは路線バス(型)。
令和から昭和へバスで行った人は、帰りもバスで令和へ帰って来るようだけど、なぜか一郎は、令和行きはバスで、昭和に帰るのは喫茶店のトイレの穴。そしてその穴が塞がってしまったので昭和に帰れなくなっているところ。いやいや、バスで昭和に帰れないんですかね。
そして、令和から昭和に行った、タイムマシン開発者の妻と中学生の息子は、令和行きのバスに乗り遅れて、昭和の一郎の家で一郎の高校生の娘と暮らしています。こちらはこちらで、令和の息苦しさから逃れた中学生男子が昭和を満喫中。携帯電話がないすれ違い。でも会えた。感動ポイント、そこかい。
全体的に、昭和はよかったよね、っていうメッセージが漂ってくるんですよ、このドラマ。それも、おじさん目線でのノスタルジーというか。
例えば、昔はバスや電車の中でもタバコが吸えてよかったよね、っていうのは、タバコ吸いたい人にとっては、「そうそう、よかった!」っていう共感ポイントだと思うんですけど、タバコ吸わない人にとっては「昔はひどかったよね」っていう目線で見てしまう。で、このドラマはどっちかというと「昔はよかった」派に寄り添った作りになっているような印象。なので、「昔はひどかった」派が見ると「うわ、ありえん」と拒否反応してしまう。
昭和のおじさんは令和では生きづらいっていうのは、つまり、昭和のほうがよかった、っていうメッセージなのかな、と、思いながら見ているところ。昭和のほうがよかったところも、もちろんあるんだけど、その、よかったポイントが、ちょっとずれているような。
第4話のインティマシーコーディネーターのシーンなどは、そこは、笑いに変えてはいけないのでは、という目線で見てしまった。SNSでもそこに言及している方もいて、ちょっと危ういなぁと。
本職の方はXでこんなコメント出してました。
↓
『不適切にもほどがある』のインティマシーコーディネーター部分、全部副音声の解説入れたい。どーしちゃったのレベル。このドラマの予告の話しを聞いて、すぐにTBSのコンプラ部にいるだろう人に連絡入れたんです「監修入ってないようですが、私、オンエア見ますからね」と。そしたら..
— 西山ももこ (@intimacy_Jp) February 19, 2024
こちらも参考に。ドラマ関係者もこういう記事を読んだ上でドラマの中に取り込んだのだと思うのですが。
↓
上の記事を書いた方のこちらのツリーも、共感しきり。
↓
『#不適切にもほどがある』第4話。脚本の意図は十分に理解しつつ、その上で、さすがに不用意すぎる点が目立ってきてしまったな、と思う。…
— 福田フクスケ (@f_fukusuke) February 18, 2024
ドラマはまだ途中なので、今後の展開に期待です。
昭和から令和へのアップデートという意味では、「おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか! 」を推します。「不適切〜」とテーマは似ていると思うのだけど、切り口というか、描き方が全然違っていて、たしかに、主人公はイタイおじさんなんだけど、そこには家族への愛があって、自分を変えたいと思っている。よかれと思って言ったこと、やったことが裏目に出てしまって家族や会社の部下たちに冷ややかな目で見られてしまうんだけど、どこがいけなかったのか、素直に周りに聞いて、自分を変えようと思っているところがいじらしく、温かい目で見守りたくなるドラマです。
そして、飼い犬のカルロスがかわいい。
原作はマンガ。
↓
【今日の撮影機材】
カメラ:FUJIFILM X-T20 → 価格.com
レンズ:XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro → 価格.com
date:2024/2/3
※写真は縮小しています。