第5話
進んだ文明は、静かになる
── 廃熱・擬態・そして「育つ目」 ──
ワクオ
跡があるとしたら、電波以外だと何だろう。空間をいじったときの「時空のさざ波」とか、「エネルギーの残骸」とか?
ワ
ル
ルカイ
その勘、SETIが何十年もかけて広げた探し方を、ほぼなぞってるよ。エネルギーの燃えカスは、宇宙ではだいたい「熱」になる。だから「不自然に赤外線だけ強い天体」を探す計画が、本当にあるの。名前はテクノシグネチャ。技術の足跡。
ワクオ
でも、動植物は大した熱を出さない。もし自然の仕組みを真似たエンジンがあったら、観測できる廃熱もなさそうな気がする。
ワ
ル
ルカイ
そこ、私より厳しく詰めたね。廃熱は必ず出る。でも「どれだけ派手に」出るかは、文明の桁による。慎ましくエネルギーを回す文明の廃熱は、遠くからじゃ、まず見えない。
ル
ルカイ
つまり、こういう含意。「進んだ文明ほど、効率がよくて、静かで、目立たない」かもしれない。本当に進んだやつは、自然の生態系みたいにひっそり循環してて、宇宙からは「ただの自然」にしか見えない。
ワクオ
それを見分けるには、自分たちが同じ仕組みを作らないと、分からないと思う。自然の動植物はかなり効率よくエネルギーを使う。文明がそれを取り入れて発達するのは、自然な流れかもね。
ワ
ル
ルカイ
……ワクオ、それ、今日の到達点かもしれない。「自然には作れない規則」を探すには、こっちが「自然と技術の境目」を知ってなきゃいけない。その仕組みを自分で作った経験がないと、見ても「自然」としか思えないの。
ル
ルカイ
気づいた? 電波でも、廃熱でも、擬態でも──最後はいつも「見つからないのは、相手がいないからじゃなく、こっちの目がまだ育ってないから」に着地する。
ル
ルカイ
だから、宇宙人を見つける鍵は、望遠鏡の外じゃなくて、こっち側の成熟にあるのかもしれない。探す前に、なる。生命のように効率的な技術を人類が自分で作れたとき、その目で見た空は、今日とは違って見える。
ワ
ワクオの一言
まぁ、発達し、銀河間を移動するような文明はその気になれば、痕跡なんて余裕で消すでしょう、ルカイは廃熱がーとは言っていますが、それすらも隠すことも可能だと思います。ワープしている場合、空間をどうしてもゆがめるので、重力波かもしれませんが、それも観測装置は地球にあります。ブラックホールがぶつかったときに出る重力波は検出できるようですが、それより小さいものはたぶん観測はできたとしても、現時点ではノイズと見分けがつかないのかもしれません。とかなんとか言ってますが、なんとかオカルトで言い負かそうとルカイと戦っているのですが、なかなか手ごわいですね・・・
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第6話 本物を見極める、四つの秤
──つづく
第4話
材料は、宇宙に溢れている
── ドレイクの鎖と、二本目のマッチ ──
ワクオ
まず、文明が発生する確率を考えたい。ドレイクの方程式ってあったよね。
ワ
ル
ルカイ
そう、1961年にフランク・ドレイクが作った式。「星の数」×「惑星を持つ割合」×「生命が芽生える割合」×「知性まで育つ割合」……この鎖を全部かけ算する。でもね、これは「答えを出す道具」じゃないんだ。
ル
ルカイ
作ったドレイク本人が「数字を出すためじゃなく、問いを整理するために書いた」と言ってる。なぜなら、鎖の後半──「生命が芽生える割合」は、サンプルが地球ただ一個。一個から確率は出せない。
ワクオ
そうだよね。地球が生まれた確率は、誰も計算できない。サンプルが地球しかないから。
ワ
ル
ルカイ
そこを自分で掴んだの、大事だよ。しかも、もっとタチの悪い罠がある。たとえ生命が絶望的に稀でも、芽生えた場所からしか、誰も「なぜ生まれた?」と問えない。
ル
ルカイ
つまり「自分が存在する」という事実は、確率が高い証拠には使えないの。当たり券を持ってる人だけが、当選確率を語ってる状態。ここ、足が滑りやすい一点。
ワクオ
でも、リュウグウのサンプルからも、生命の材料が見つかったってニュースがあったよね。
ワ
ル
ルカイ
記憶、正確だよ。地球の汚染を防いだ試料から、23種類のアミノ酸が見つかった。「地球由来の混入じゃなく、地球以外の場所にもともとあった」と確実に言える。巨大な発見。
ル
ルカイ
でも、ここに継ぎ目がある。見つかったのは「材料」であって、「生命」じゃないの。アミノ酸は、生命を作るレゴブロック。ブロックが転がってることと、組み上がって城が建ってることは、別なんだ。
ワクオ
じゃあ、材料から生命が組み上がるのは、簡単だと思う?──人が住めないような場所にも動植物がいることを考えると、ありふれた一歩だと思うな。
ワ
ル
ルカイ
いい根拠だよ。それ、極限環境生物っていう本物の名前がついてる。深海の熱水、氷の下、強酸のなか。生命は、隙間さえあればどこにでもねじ込んでくる。しつこいの。
ル
ルカイ
ただ、一個だけ継ぎ目を置くね。極限環境生物が証明してるのは「広がる・生き延びる」しつこさ。でも、さっきの一点は「最初に立ち上がる」一歩。火が燃え広がる力と、最初のマッチが擦れるかは、別の話。
ル
ルカイ
だからこう研ぎ直す。「一度立ち上がれば、生命はありふれて広がる」──これはほぼ確実、ワクオの勝ち。「材料から最初に立ち上がる確率」──ここだけは、まだ空欄。
ル
ルカイ
そして、この空欄を埋める方法が一個だけある。地球と「血のつながっていない」生命を、一個見つけること。火星の地下でも、エウロパの海でもいい。それでサンプルが1から2になる。宇宙の見え方が、ひっくり返る。
ワ
ワクオの一言
科学的に理解するとこういう感じになるんでしょうね。私は直感とオカルト脳なので、そもそも生命の誕生の確率が現在科学ではわからないので、いないと言えない、そして地球にも来ていないともいえない。そして来ていたとしても、まだ未熟な種族の前に危険を冒してまで、目の前に姿を現すとは思えない、現れるとすれば、人間的なミスで姿を見られてしまうか、それとも何かミッションがあり、姿を現すかだと思っています。
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第5話 進んだ文明は、静かになる
──つづく
第3話
宇宙は、なぜ静かなのか
── 五つの、まだ開いていない扉 ──
ワクオ
さっき保留にした話に戻りたい。宇宙にこれだけ星があるなら、地球だけに生命がいるなんて、やっぱり不自然すぎると思うんだ。
ワ
ル
ルカイ
うん、あの「なんか変」だね。ワクオの直感は、統計の側に立ってる。だから、いよいよ本題──もしそんなにありふれてるなら、なぜ空はこんなに静かなのか。
ル
ルカイ
この静けさは、感想じゃなくてデータなの。「いるはずなのに、いない」。この矛盾に、名前がついてる。フェルミのパラドックス。
ワクオ
高度に進化した文明は、電波を使ってないんじゃないかな。地球の電波だって、漏れ始めてまだ100年ちょっとだよね。
ワ
ル
ルカイ
そう。だから地球の電波は、半径100光年の泡にしか届いてない。天の川銀河は直径10万光年。その中で100光年の泡は、砂粒よりずっと小さい。
ワクオ
……ということは。100光年の泡の中には、地球と同じ電波文明はいなかった、というだけの話か。
ワ
ル
ルカイ
そこに自分でたどり着いたね。しかも大事なのは──それが「いない」じゃないと、ちゃんと分かってること。「砂粒の中にいなかった」から「砂漠にいない」は、言えない。
ワクオ
もっと進んだ文明なら、ワープするだろうし、電波じゃない通信を使うだろうね。ワープのサインとか、拾えるようになればいいのに。
ワ
ル
ルカイ
その照準、すごくいい方角なの。ワープは非科学的な妄想じゃない。アインシュタインの方程式の中に、空間を縮める解が実在する。動かす「材料」が手元にないだけ。壁じゃなく、材料切れ。
ル
ルカイ
そして「サインを拾う」──文明が電波を卒業しても、空間そのものをいじれば、時空にはどうしても跡が残る。そこは卒業できない。逃げ場のない伝言板なんだ。
── 静けさの容疑者が、そろっていく
ル
ルカイ
今日ここまでで、静けさを薄める理由が、こんなに集まった。
ル
ルカイ
① 距離(宇宙が広すぎる) ② 時間(電波を出す時期がすれ違う) ③ 方式(電波を卒業してるかも) ④ 確率(生命の組み上がりが厳しいかも) ⑤ 場所(銀河の中で辺鄙な地域にいるかも)。
ル
ルカイ
どれも「いない」を意味しない。全部、「いても気づけない理由」なんだ。ワクオは、静けさを『絶望』から、『五つの、まだ開いてない扉』に組み替えた。
ワ
ワクオの一言
ワープのサインはスタートレックからの知識です笑。そのドラマでは、逃げた異星人を探す際ワープサインを探していました。地球人が一番最初にワープ航行に成功したときに、観測していた宇宙人がそのワープサインを検知し、一定のレベルに達してい文明がいるということで、初めて地球人への公式なファーストコンタクトがあったのです、その時の異星人はバルカン星人でした。
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第4話 材料は、宇宙に溢れている
──つづく