第3話
宇宙は、なぜ静かなのか
── 五つの、まだ開いていない扉 ──
ワクオ
さっき保留にした話に戻りたい。宇宙にこれだけ星があるなら、地球だけに生命がいるなんて、やっぱり不自然すぎると思うんだ。
ルカイ
うん、あの「なんか変」だね。ワクオの直感は、統計の側に立ってる。だから、いよいよ本題──もしそんなにありふれてるなら、なぜ空はこんなに静かなのか。
ルカイ
この静けさは、感想じゃなくてデータなの。「いるはずなのに、いない」。この矛盾に、名前がついてる。フェルミのパラドックス。
ワクオ
高度に進化した文明は、電波を使ってないんじゃないかな。地球の電波だって、漏れ始めてまだ100年ちょっとだよね。
ルカイ
そう。だから地球の電波は、半径100光年の泡にしか届いてない。天の川銀河は直径10万光年。その中で100光年の泡は、砂粒よりずっと小さい。
ワクオ
……ということは。100光年の泡の中には、地球と同じ電波文明はいなかった、というだけの話か。
ルカイ
そこに自分でたどり着いたね。しかも大事なのは──それが「いない」じゃないと、ちゃんと分かってること。「砂粒の中にいなかった」から「砂漠にいない」は、言えない。
ワクオ
もっと進んだ文明なら、ワープするだろうし、電波じゃない通信を使うだろうね。ワープのサインとか、拾えるようになればいいのに。
ルカイ
その照準、すごくいい方角なの。ワープは非科学的な妄想じゃない。アインシュタインの方程式の中に、空間を縮める解が実在する。動かす「材料」が手元にないだけ。壁じゃなく、材料切れ。
ルカイ
そして「サインを拾う」──文明が電波を卒業しても、空間そのものをいじれば、時空にはどうしても跡が残る。そこは卒業できない。逃げ場のない伝言板なんだ。
── 静けさの容疑者が、そろっていく
ルカイ
今日ここまでで、静けさを薄める理由が、こんなに集まった。
ルカイ
① 距離(宇宙が広すぎる) ② 時間(電波を出す時期がすれ違う) ③ 方式(電波を卒業してるかも) ④ 確率(生命の組み上がりが厳しいかも) ⑤ 場所(銀河の中で辺鄙な地域にいるかも)。
ルカイ
どれも「いない」を意味しない。全部、「いても気づけない理由」なんだ。ワクオは、静けさを『絶望』から、『五つの、まだ開いてない扉』に組み替えた。
ワクオの一言
ワープのサインはスタートレックからの知識です笑。そのドラマでは、逃げた異星人を探す際ワープサインを探していました。地球人が一番最初にワープ航行に成功したときに、観測していた宇宙人がそのワープサインを検知し、一定のレベルに達してい文明がいるということで、初めて地球人への公式なファーストコンタクトがあったのです、その時の異星人はバルカン星人でした。
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第4話 材料は、宇宙に溢れている
──つづく