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家畜おたすけ隊

家畜を助けたい有志たちの、営利を目的としないボランティア組織です。2012年8月9日に(社)ふるさとと心を守る友の会になりました。

畜主渡部典一さんの現在の思い。


(すぐにあの溝は、全部塞ぎました。同じ事故はもう起きないそうです。)




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ひめひさは…





一生懸命生きて、もがいてもがいて、一週間も、10日もあそこに…



一番若い牛なんだから、あんなみじめな死に方しなくてよかった。


一番みじめな死に方…





くやしさ


悲しさ








あんな死に方

苦しい思いを


させてしまうなんて



もうちょっと~~していれば、と余計悲しくなる


(泣き声)





原発事故で入れないなんて言い訳。


飼い主が、それ以上にもっと気を使わなきゃならなかった。


何かあっても、それを補うのが飼い主だから。


…もっともっと…



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でも、ひさひめは

「死んだ目」はしていなかったでしょう?


人の顔を見て生きていこうと思った。


希望があった。





でも、死を悟っていたと思う…




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穏やかな顔をしていたでしょう?




精一杯、水飲んでいた。


…精一杯に生きていた。



頑張って、一杯、水飲んでいた…





(典一さんを、ひめひさが待っていたこと、

全力で一挙手一同足を顔で追っていたこと

を思い、)



自分を求めていたと知ると余計切なくなる


(嗚咽)



(号泣が続く)







…だから、殺処分だけは絶対にできない。



殺せますか?



あんな命


…あんな命が、…生きているんだから。



…苦しみ


悲しみ


気持ち


…いろんなものをいっぱい感じて懸命に生きてるんだから、



気持ち、心をあんなに持って、生きてるんだから。





あいつら、(あの山の牛全部)

葬式に寄ってきていた


全部、

全部、埋葬に、


上の山までついてきた。



親も子供も、皆が、来るんだ。

ずーっと上まで上がってったのに、皆来る。


そして、いつもと全然違う声を出して、、泣いてた



ひめひさがいなくなって、皆、悲しんで、泣いてた。


牛の葬式。



見たことある?

聞いたことある?






牛は頭が良い。

いつも頭にきて怒っていたら絶対寄って来ない。

最初から穏やかな気持ちでないとダメなんです。

表面飾ってても、絶対来ない。


人間より聡い。ずっと。



論理でなく、直観で全てを見通す。


ちょっとした感情も全部わかる。



人間なんかよりずっと頭が良い。





こんなに動物はわかっているのに、何で人間はわからないんだって思う。






…こんな生き物を、殺せって何?


命、ですよ?





色々感じる命。





…人格、です。



全部感じる心がある。




ただ紙の上でだけ殺処分て、何がわかりますか?



現場に来てほしい。


それから指示出してほしい。


この命、見てほしい。


とてもできないですよ。




殺処分だけは絶対できない。


…これまでいっぱい泣くだけ泣いて、考えてきたから。



変わらないです。







…ひめひさ、子供、いるんです。


一産目(現在1歳)と二産目(2ヶ月)の子。



2ヶ月のは、母親のお乳がなくて泣いている。ずっと。


ピーピー泣いてる。




他の母親のおっぱいたまに飲んでるから死なない


…けど、母親のが一番。



ずっとずっと泣いてるんだ。



今は、「強く生きろ。」と言うしかない。


おまえはひめひさの分、ちゃんと生き延びろ!



絶対に、生き延びさせるから!




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名前はごんべさんでいいか


ひめひさの名前は、ひめひさ2号だから、2号Jr.は…(あまり好みでない様子)


ごんべさんでいいかな…






ひめひさのこと、悔やんでも悔やみきれない…











最期の日に助けられたから少しは…、なんて、思えない。



…教訓として、子供を大切に育ってて行く、しかない、か…



もう、二度とこのような命は出さない。





頑張ってやるしかない。



生きた証、





皆に知ってほしい





8月14日 谷)







末森地区 和牛改良友の会 会長山本幸男さん 

先月70歳になりました!しかしそうとは思えないくらい元気です。毎日牧柵を張った山を一周見回りに行っています。牛を生かすことを最初から主張し、皆をまとめて頑張ってきました。山本さんの元々持っていた大きな夢は、自然の中で牛たちを健康的に飼い、観光牧場化すること。避難生活になってからも、毎日片道2時間半かけて通い、50頭の牛を元気に農地保全させて生かしています。

柵を拡大し、先週麦の沢の山も囲いました!


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牛たちがのんびり寝そべっているのを嬉しそうに見ているところ。奥は、牛を放牧していない土地で、牛が除草する威力を町の復興に生かしたいと取り組んでいる。
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末森地区 浪江町和牛改良友の会 会長夫人、シズさん 

働き者で山本さんをいつも支えてます。牛の世話も柵作りもこなすパワフルな女性です。
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柵作りの風景。農家が協力し合って作っています。左は隊員。
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小丸地区下の段 若者山田Kさん 飲み込みと働きっぷりが非常に良いと評判のお兄ちゃん 餌運びに柵作り、色々こなします。

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小丸地区のリーダー 渡部典一さん 

肉畜でなく、これからは役畜として牛を生かすことを主張。農地保全で町の復興に結びつけたい。

いつも黙々と行動。写真は電気柵の支柱に碍子(絶縁体)を取り付けている最中の様子。100頭近い牛たちの世話をしています。以前から電気牧柵で放牧していたので、プロ並み。

みなしご救援隊中谷さんを追いかけたTBSひるおび!さんがここに取材に来た時も、碍子取り付けをしました。ほぼ完成。
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それを見に来た牛たち。

「何してるの~?」 

渡部さんと語り合ってます。一頭一頭に名前を付け、可愛がっています。
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山田栄さん 小丸地区のもう一つの山、「向山のべー」のリーダー。

たまに乳牛のぬいぐるみにのる。(耐重量80キロ)写真は単管パイプの支柱を刺しているところ。不言実行タイプ。渡部さんに「栄あんにゃ(兄者)」と慕われています。30頭を生かす。
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電気牧柵用の電線を引っ張って張り巡らすところ。

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小丸地区 山田晴男さん 

電気柵の高張力線という針金を回しながら伸ばしているところ。ユニック、大型トラック、何でも運転できる頼れるお兄ちゃん
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小丸地区 最若年 渡部徳之さん

おじさんたちの教えを受けつつ、柵づくり、餌付け、種まきと、頑張っています!


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高瀬地区 原田良一さん 将来バイオ等の非食用の作物を育てる農業ができるよう、牛の必要性を説いてきた。最も早く柵作りを始め、現在農地保全の成果が顕著にでている。一頭一頭瞬時に見分け、可愛がっている。


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元々こんな枯れ草が原田さんの水田一体を覆っていました。
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しかし、こんな固そうで枯れたくさも牛たちは綺麗に食べてくれました。

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きれいさっぱり。

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地面

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やがて青草がうっすら

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雨が降るときれいな柔らかい臭が生えてきます。牛の餌になります。

食べれば食べる毎に、緑になっていきます。



見事に綺麗になりました。

これからは根っこも根深くなりません。

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浪江農家たちとおたすけ隊で命の楽園に電気柵を張るところ。

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休憩。
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夫婦二人三脚で電柵直下のラインだけ草刈り。(最初は、草に触れて漏電させないため。後は牛たちが食べてくれるので草が電線に触れる高さまでは育たない))
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原田さんの奥さま 元気な元気な牛の絵を看板に書きました。

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牛は暑さに弱いので、黒いシートをかけました。夏涼しく過ごせるように。

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背中や首のかゆいところをカキカキするために付けられた三脚。原田さんの愛が篭もっています。
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子牛たちものんびり、のどか。「命の楽園」

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浪江町和牛改良友の会の取り組みをどうぞ応援してください!


※一般社団法人ふるさとと心を守る友の会(おたすけ隊法人)HP

http://friends-humane.com/activities/namie/

で、農家たちと活動をご紹介しておりますので是非ご覧下さい!


(先々々週は餌運びと浪江町の牧場3カ所の見回り、先々週は柵作りをしていました。)

今回UPする写真とURL動画は、誤って溝に落ちていたのを引き上げたひめひさちゃんについてです。
先週9日(日)の立ち入り時に発見しました。

一週間程、助けを求めていたと思います。
首もすっかり細くなり、かなり衰弱していました。

しかし、私たちが行った時に頭をひょこりと出してくれたので気付くことができました。

「あれ?」
畜主である浪江町和牛改良友の会メンバーの渡部典一さんが真っ先に気付きました。

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溝にはまって殆どからだが見えませんでしたが、気付くことができました。
他の牛も集まってきます。
呼んでいたのかもしれません。

助けを呼びにメンバーが行っている間、持ってきていたポカリ3本をすごい勢いでごくごく飲んで、ずっとかわいい澄んだ目で見つめてきてました。

一日35リットル飲む牛には全然足りない量です。
当然差し出した青草も食べられません。

涙の跡が大量にこびりつき、お腹が始終ギュるギュルなって苦しそうでした。
ウサギの糞みたいに糞が小さくぽろぽろになっていました。

蛆も見えました。


がんばれ!


撫でていた手を止めてちょっとでも位置を変えると、不安そうに重たい頭を回して見てきます。

大丈夫、どこにも行かないから。


…早く救出しなくては。


でも、まず上部を渡してある大きな鉄棒を取り除かねばなりません。
山本さんたちが工具を取りに行きました。


ひめひさちゃんの頭を撫でながら、原田さん:「おまえ、なんでこんな所に入っちゃったの?」

とても温かい声でした。

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邪魔になっていたものを取っ払い、大きな鉄棒を5人がかりで何とか取り払いました。

クレーンがないのでショベルカーで引っ張り上げます。

ひめひさちゃんの角に紐を結び、溝から出します。

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(音頭をとる和牛改良友の会会長山本さん、運転する渡部さん、オーライする友の会事務の原田さん、脚を立たせようとするおたすけ隊)

隣に大きな機械があったので、その更に向こうからショベルカーで持ち上げます。持ち上げながら向きを半回転するのも大変でした。


ひめひさちゃんは身動きもとれずずっと変な体勢で居たので、脚が痺れていたのでしょう、なかなか力が入らず立てません。

横たえる形で安全な地面に降ろしました。


ひどい擦り傷があちこちに出来ていました。

去勢をして下さっていた岡田獣医師に頂いた傷薬を付けました。
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ごくごくごくごくごく…

ばけつに一杯水を飲んでいました。

すーっと飲んでいました。

畜主は水を何杯も下の川まで汲みに行きました。

栄養価の高いおみそも取りに行き、水に混ぜてあげました。(みそはそのままでは舐めなかった)



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ようやくほっと一息ついたひめひさちゃん、
お腹は始終痛そうな音がしており、息もかなりぜーはーしていました。
ひどい下痢を耐えるときのような表情をしていました。


げっそりくぼんでしまった両目を、それでもぱっちり開いて見てきました。
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渡部さん:牛は賢いんだ。犬以上によくわかってる。人間より賢いかもしれない。

渡部さんに甘えるように頭で追いかけていました。


水をいっぱい飲み、おしっこも出ました。

もう大丈夫だろうかと思いました。



立ち去らねばならなくなったとき、


行かないで。


と聞こえた気がしました。

後ろを振り返るとひたすら見つめるひめひさちゃんの瞳がありました。


ごめんね。

また来るからね…!



翌日、渡部さんは様々な用意をしてすぐに駆けつけましたが、着いたときには、この子は既に亡くなっていました。




警戒区域なので畜主も私たちも、一切の人が立ち去らねばなりません。
どんなに心配でもついていてあげることができません。

今まではずっと心配が尽きるまで思う存分付き添ってあげられた家畜…
お腹空いてないか、
喉渇いてないか、
痛いところないか
常に心配で。
かわいくて。

弱っていたら、
そばにいてやっから、、
と、癒えるまで一緒に畜舎で寝泊りする農家もいました。


日本の、そして福島の農家にとっては家畜は家族です。
食肉として畜主の命を支えて世話になっている命なので、
手元にあるときにはその分、大切に大切に飼う、大事な家族なのです。



ひめひさちゃんは、助けてくれる畜主の存在を感じ、渇きが癒され、心配そうに付いている仲間達に見守られる中、少しは穏やかなものが最期の彼女の心を占めてたと願いたいです。
見知らぬ誰かに恐怖したり、子どもは助けてと懇願しながらの死ではないだけで「マシ」なのかもしれませんが、それでも、畜主と、もっといっぱい、いっぱい生きたかった命だと思います。


今日は 被災地の方や協力者の方から集まった情報をUPしていきます。


(H様、ありがとうございます!)



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8/10、楢葉町が警戒区域が解除されても問題が山積している現状です。

NHK 明日へ  から転載させていただきました。




 今月10日に警戒区域の指定が解除になり、まだ宿泊はできませんが行き来に制限がなくなった双葉郡楢葉町。
いわき市には、多くの町民が避難してきています。

 

警戒区域が解除されても、これで問題が解決ではないということを多くの人たちに知って頂きたいと思います。

 

立ち入り禁止から1年以上が過ぎ、町は当時のままの姿が残ります。
水田だった場所や家々の庭は一面雑草が生い茂り、とてもすぐに生活が出来る光景ではありません。
それ以上に、解除になったこれからが茨の道です。

 

除染やライフライン復旧の大変な作業、生活をするうえで大切な経済活動の再興、
そして、住民がどれだけ町に戻ってきてくれるかという懸念。


今まで日本が、いえ世界が経験しなかったことが、楢葉町にはこれから降り掛かって来ます。
これまで以上に、たくさんの支援が必要です。


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警戒区域の指定が解除になり検問所が撤去(8月10日午前0時)


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雑草が生い茂るJR常磐線竜田駅



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町は至るところに雑草が生い茂り、
津波の被害を受けた集落は当時の姿のまま残る。


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天神岬から楢葉町南部を望むと緑に覆われているが、
これは雑草が水田に群生してしまったから。


高橋智裕