人生講座(3) お金の巡り方・損しない方法 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

人生講座(3) お金の巡り方・損しない方法 (8/17)




さて、人生講座の第一回、第二回で、貨幣経済の中では「節約」は「消費を促進する」と言うことがわかり、そのお金を狙っている人は「政治家、お役人」などであることも理解できました。



お金のことを考える時には、「国家」と「家計」を分けることが大切です。「国家としては・・・すべきだ」ということと、「自分のお金は・・・しなければならない」というのは違うからです。



経済学者は国全体のことを考えているので、「国家はこうすべきだ」という話が多いし、それで良いのですが、「では、個人は?」とお聞きすると「まずは国家だ」と言うことになります。



でも、国家がまともになるには時間がかかり、そのうちに自分の人生が終わってしまう、少なくとも「人生を楽しむ時期」を逸してしまうので、とりあえず、「現在の社会ではどうするか?」ということと「社会が改善されたらどうするか?」を分けておいた方が良いことになります。



家庭のお金を考える時に、まず第一にお金の流れが、当面、


1)現在の社会があと10年は続くこと、


2)民間の活力がないのでお金があまりそれが国債になること、


3)国債を償還(返す)ために国は増税を続けること、


4)増税のもともとの責任は国民にあるけれど、国民がお金を借りたくなるのに時間がかかること、


5)ややデフレ傾向で進むこと(お金を持っている方が得)、


であることを理解しておきます。



つまり、日本経済はじり貧になりますが、お金回りがバブルが崩壊してしばらくした状態の2分の1ぐらいになるまで、国民の不満は爆発しませんから次の時代には行かないでしょう。



もう一つは「年金と相続税」の関係です。こちらの方は、


1)年金は少ししか払われない、


2)相続税は高くなる、


3)だからよくよく自分の寿命を考えて老後の計画を立てる、


4)その結果、ある程度、質素な生活をしなければならないし、それは結果として消費を促進するので環境的にも良くないけれど、仕方が無い、


5)貯めたお金の半分ぐらいは帰ってくる。後はお役人とかお役人の腰巾着に使われてしまう、


6)もっとも良い方法はお役人の腰巾着になって、多くの人が貯めた預金(国債)、税金(消費税)を食い物にする(道徳的にはダメだが、個人としては成立する)、


7)次に良い方法は「優しいお母さん方式」(自分の身を捨てて近い人に献身する)、


ということになります。


・・・・・・・・・


政府が本当に国民のことを考えてくれれば良いのですが、そういう時代ではありません。先日、「原発を止めると誰が困るの?」という質問に偉い人が「政府、電力、関係会社」と答えていました。もちろんまともな政府なら「誰が困る」と聞かれたら間髪を入れずに「国民」と答えなければならないわけで、それができないことを前提にしなければなりません。



税金は財務省のお役人の出世に、年金は厚労省のお役人の隠れ蓑に、環境関係のことは環境省のだましに使われるだけですが、これも国民との力関係ですから、今のところやむを得ないというところです。
救いがあります。それは「まだ、日本は世界一強い」ということです。それは「円の相場」を見ればどんな理屈よりハッキリ分かります。確かに「ドルをもらっただけ円を刷れば円が下がる」と言うのも確かですが、円を刷らないことそのものも含めると、「円が高い間は日本は大丈夫」と言うことでもあります。



人間というのは自分の収入が2分の1になるまで暴動を起こさないものです。これは日本ばかりではなく諸外国でもほぼ同じで、我慢できる範囲は我慢してしまうのが人間というものです。だから2020年まではあまり大きな事は起こらないと言うことになります。



もともと財産は、現金性、他人性(株、献身)、物質性(ゴールド、土地)の3分割方式が良いのですが、当面は現金性のものをやや多くし、2020年までに徐々に他人性、物質性を増やして次の時代に備えるということでしょう。年金と老後の生活については次回に整理してみたいと思います。


(平成24年8月17日)




-------ここから音声内容--------




人生講座、三回目になります。これまでですね、貨幣経済、つまりお金を中心とした社会ではですね、節約をしますと消費が促進されるという、変なことになると。それをもちろんずる賢い人はわかってますから、これを狙うという、これもまぁ人間社会ですからやむを得ないかもしれません。こういったことが起こるのはですね、「国家」っていうのと「家計」っていうか「人生」っちゅうか、「個人」っちゅうか、これを二つに分けることが要るわけですね。





よく「国家としてはこうすべきだ」っていうことを言われる人が多いんですが、これとですね、「あなたのお金はどうしなければならない」っていうのはかなり違うんですね。特には経済学者の方はそれが役目ですからいいんですけども、国全体のことを考えているので、「国家はこういう経済の政策をとるべきだ」という話が多いんですが、「では個人は?」と聞きますとですね、「まずは国家のことだ」というふうに言われる人が多いんですね。





例えばリサイクルなどに賛成してた経済学者はですね、これはもしかするとリサイクルの本質がわかっておられなかったのか、それとも国家のことを考えてやられていたのか、ちょっとそこんとこわかりませんですね。ところが、国家のこと考えるのは非常に大切なんですけども、そんなことしてるうちにですね、もう自分の人生が終わっちゃったりしますので、「現在の日本をどうするの?」っていうことと、「日本が改善されたら、もしくは改善しなかったらどうするの?」ってことを分けて考えた方がいいと思うんですね。





で、現在というものを考えますとですね、まずは現在の社会があと10年ぐらい続くでしょうね。で、その間民間の活力がないので、お金を借りる人がいないんですよ。だからそれが余りますね。その余ったお金は国債になって国が使うわけです。そうすっと国が使うと使いきりになるので、それを返すために…これを償還というんですけど…返すために、国は増税をするということになりますね。





だから増税ってのはもともと国民がお金を借りないからなんですけど、そうは言ってもですね、国民が活力があってお金を借りたくなるのには時間がかかると思うんですよ。今日新聞見てましたら、最近の女性が結婚相手に望むものは三高…つまり三つ高いことっていうんじゃなくて、三平っていうのかな、平凡な人がいいっていうふうになりましたからね。これは当面続くと思います。





それからややデフレ傾向でいくということが考えられます。つまりやや日本経済はじり貧でいってですね、これがバブルが崩壊してまもなくの頃の1/2(の収入)くらいになるまで、おそらく日本人はじっと耐えていくと思います。それから年金については次回に詳しくお話をしたいと思うんですが、結局年金は少ししか払われないってことなんです。相続税は高くなると思いますね。ですからこれもですね、やっぱり国家に頼るわけにいかなくて、よくよく自分の寿命を考えて老後の計画を立てざるを得ない。





そうしますとですね、結局はある程度質素な生活をしなきゃなんないし、これは結果として消費を促進して税金が上がっちゃうんですけども、仕方がないんですね。そして100万円ためたお金はだいたい50万円返ってくるって感じですね。後は税金だとかそういう色んな形でですね、お役人かお役人の腰巾着に使われてしまうということですね。





で、こういう中では最もよい方法の、第一番によい方法は役人の腰巾着になるってことなんですよ。で、多くの人がためた預金ですね、これはほとんど国債になっちゃうわけですが、税金ですね…を、食い物にするわけです。これお役人がお金持ってるわけじゃないんですよ。例えば1億円もらいますと、お役人は1千万だけピンはねしまして、後の9千万はまた国民に渡しますけど、その国民に渡す時に腰巾着に渡しますからね。だから腰巾着になるってのが一番いいと。これは道徳的にあんまりお勧めできませんが、個人のことだけ考えれば(そのやり方は)いいっていうことなんですね。





次には私が昔から推奨している「優しいお母さん方式」。こういう時代は自分の身を捨てておくというのが非常にいいかなというのがあるわけですね。





2, 3日前ですね、「原発を止めると誰が困るの?」と誰かが質問しとりました。偉い人がですね、「政府と電力会社と関係会社だ」と言うんですよ。いやあ、この…原発止めると誰が困るのかったら、それは原発を運転すんなら国民が困るってことですよね。ただ、そう言いにくい、政府の偉い人でもね、「いやあ、原発を止めたら国民が困るんですよ」と言いにくいところに現在の問題があるわけですね。





つまり原発は経産省とか電力のためにやってるんであって、国民のためにやってないってことですね。税金は財務省のお役人の出世に使われ、年金は厚生省のお役人の隠れ蓑に使われ、環境は当然環境省の騙しということになりますんでね。これはもう認めると。仕方がないと。





ただ、救いはあってですね、これは日本が強いってことですよ。今まだ日本はですね、アメリカとかヨーロッパよりかまだ強いですね。もちろん発展途上国よりか強いし、中国よりか強いですね。円の相場を見ればわかるんです。円はもちろん刷れば円が下がるんですが、それも含めて円が高い間は日本は大丈夫ということが言えるでしょうね。





そして暴動が起こるのは(自分の収入が)1/2になってからっていうことになると、2020年ぐらいまではもつかなっていう感じがしますね。本来は財産は現金性のものと、他人性のもの…他人性のものってわかりにくいんですが、株を買うってことは会社の…相手の活動に依存するってことですね。他人に委ねると。あと、物質性ですね。ゴールドを買うとか、土地。…の三分割方式がいいんですけど、インフレの時はどちらかっていうと物質性がいいし、もうなにがなんだかまったくわかんない時は他人性なんですが、それほどひどくはないんで、やっぱりやや現金を多くしておいて、徐々に様子を見ながら他人性の財産、物質性の財産を増やすっていうことですね。





ほんとは毎月毎月全部使いきっていいんですよ。社会が安定して、政府が信頼感あれば。だけど今はそれをやりますとね、悲惨な老後になってしまいますね。何かやろうと思って、老後ばかりでなくて中年でも何かやろうと思ってもできなくなりますので、それは大切なことでしょうね。しかし、環境のためとか言って間違ってやってますとですね、やっぱりこれ結果として間違えますので、そこは考えとかなきゃいけないと思います。