子どもの理科離れはなぜ起こるか? 空気的事実の罪 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

子どもの理科離れはなぜ起こるか? 空気的事実の罪 (6/1)




学校では理科でアルキメデスの原理を教え、それを理解した子どもは「北極海の氷は海に浮かんでいるので融けても海水面には関係がない」とわかる.ところが家に帰るとNHKで「北極海の氷が融けて海水面が上がる」と言う.



学校では理科で物の融点というのを教え、それを理解した子どもは「温暖化すると南極の氷は増えるのだな」とわかる.ところが家に変えるとNHKが「温暖化すると南極の氷が融ける」と放送している.



学校では理科で光合成と微生物による分解を学び、それを理解した子どもは「森林はCO2を吸収しない」と言うことを知る.ところが家に帰るとNHKで「森林がCO2を吸収する」と解説している.



学校では歴史の時間に「ローマ帝国はゲルマン民族の大移動で分裂した。それから500年後はとても暖かくノルマンが活躍した」と教わる.それを理解した子どもは「ドイツに住めないぐらい寒い時期があった。ノルマンの時期は北の氷は融けていた」と覚える.ところが家に帰るとNHKがIPCCが示したという「これまで世界の気温は常に一定だった」というグラフを見せられる.


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大人の世界、特に日本の大人の世界では「科学的事実」はどうでも良く、そんなことを言う学者は疎まれる.それより「お金」だから「ウソでもうまく回れば良い」という空気的事実が優先する.空気的事実には役人の利権がついているからNHKは受信料を払う国民ではなく、認可権を持っている役人を向いている.



子どもの理科離れが問題になって久しいが、これほど大人が理科や社会科を無視すれば、子どもは敏感だから勉強がイヤになることは間違いない.



今から4年ほど前、機械工学科のある男子大学生が「先生、勉強して良いのでしょうか?」と聞いてきた.機械工学科は産業の基盤となる技術を教える.でも家に帰れば政府が節電、グリーンを政策にし、「生産を縮小して貧乏になるのが良い」と言っている.若い心はこの矛盾を許せないのだ。



今の日本の大人はなにをやっているのだろうか? 電気代が国際価格の2倍なのにさらに2倍の太陽電池に群がる人たち。温暖化を気にして国全体でCO2を減らしているのは世界で日本だけ.運転中の原発が爆発したのは日本だけ.原発を運転して出来る核廃棄物を子どもに回そうとしているのも日本だけ。もう、変えないと行けない。




学校の先生も魂を失い、学問的事実と空気的事実を混合して児童生徒に伝える。こんな学校教育を受けている子どもが可哀想だ。


(平成24年6月1日)




--------ここから音声内容--------



ええとあの、学校ではですね、理科でアルキメデスを教えるんですよ。で、それを理解した子供はですね、「あ、そうか。北極海の氷は海に浮かんでるので、融けても海水面に関係ないな」と理解するんです。ところが、家に帰るとNHKがですね、「北極海の氷が融けて、海水面が上がる」と繰り返すわけですね。





学校では理科で物の融点というのを教えて、それを理解した子供がですね、「あ、そうか。温暖化すると南極の氷は増えるんだな」ということが分かるんですよ。「子供はそんなこと分かんない」、そんなことないんです。子供はですね、純粋ですから理解したら分かります。ところが、家に帰るとNHKが「温暖化すると、南極の氷が融ける」と放送してるわけですね。

学校では理科で光合成と微生物による分解を教えます。これを理解した子供はですね、「森林はCO2を吸収しない」ということを知るんですね。ところが、家に帰るとNHKが「森林がCO2を吸収する」と解説してるわけですね。





歴史の時間でもそうで、「ローマ帝国はゲルマン民族の大移動で分裂した」と教わるわけですね。「あ、そうか。ドイツに住めないぐらい寒い時期もあり、またノルマン(ノルマン人/ヴァイキング)が活動するぐらい暖かい時期があったんだな」と覚えるんです。ところが、家に帰るとNHKが、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が言った、と言って、「これまで世界の気温は常に一定だった」というグラフを示すわけですね。





大人の世界、特に日本の大人の世界なんですが、「科学的事実は、もうどうでも良い」と、「そんなことを言う学者はダメだ」と。それより「お金」だから、「とにかく上手く、ウソでもいいから上手く回れば良い」という空気的事実が優先します。空気的事実をコメンテーターが繰り返しますね。空気的事実には役人の利権が付いてますから、NHKは受信料を払う国民ではなくて、認可権を持つ役人の方を向くわけです。





私はですね、「子供の理科離れ」という問題は、もう問題になって久しいんですけど、これほど大人がですね、理科とか社会科で学校で教えるものを無視すれば、子供は敏感だから勉強イヤになります。で、「子供はそんなこと分かんないだろう」、全然そんなことありません。





これは大学生ですけど、今から4年ほど前ですね、機械工学科のある学生が…男子学生ですけどね、「先生、勉強して良いんでしょうか?」と真顔で私に聞いてきました。機械工学科というのは産業の基盤となる技術を教えますから、まぁどちらかと言うとですね、生産量を増大し良い物を作るという技術なんですね。しかし、家に帰ると政府はですね、「節電」だとか「グリーン」とかいうことを政策にするわけですよ。「生産を縮小して、貧乏になるのが良い」と言ってるわけですね。





大人の心はそれを許しても、若い心はこの矛盾を許しません。認められませんですね。毎日、学校に行っては「産業の拡大」を勉強し、家に帰っては「生産を縮小しろ」と言われるという。実は違うんですよ、大人の心は実は、本当は金持ちになりたいんです、貧乏になるのは嫌なんです。だけども表面上はそう言ってるわけですね。私はね、今の大人は何やってんだろうと思いますね。





現在の日本が、電気代が国際価格の2倍なのに、更に2倍の太陽電池に群がる。これ、お金で群がるんですよ、乞食ですからね。普通の人は20円で買える電気を42円で売って、22円自分の懐に入れようっていうんですから、これはもう正に乞食以外の何者でもないですね。





温暖化を気にして国全体でCO2を減らしてんのは、世界で日本だけですからね、一カ国。運転中の原発が爆発したのも日本だけ。原発を運転して電気は受け取ってんのに、核廃棄物を子供に回してんのも日本だけ。もう変えないといけないでしょうね、私はそう思います。


(文字起こし by danielle)