原発短信 第100回日本泌尿器学会の発表 (5/30)
(原発短信を続けたいと思います。生活の指針、原発再開や瓦礫問題など具体的な問題を考える資料にしてください。できるだけ思想(原発推進、阻止)を排して学問的に正確に書いていくつもりです)
題名「チェルノブイリ原発事故後の長期低線量放射線暴露による膀胱病変とその発生メカニズム」
結論「データに基づくと、汚染地帯の人の前立腺肥大患者(男性に多い)の約6割が膀胱ガンになる」
類似論文”Urinary bladder lesions induced by persistent chronic low-dose ionizing radiation”
論文を見ますと、膀胱ガンのうち特に注意を要する上皮内ガンがほとんどで危険です。また被曝量は日本と少し定義が違うのですが、おおよそ1年5ミリ程度、汚染地域で言えば1平方メートル4万ベクレル以上のところで、福島県の3分の1ぐらいの地域に相当します。
まだ研究は初期的段階で、今後の研究に期待しなければなりませんが、まず、成人男子であっても低線量・長期間の被曝は危険なので、なんとかして福島の3分の1の地域に長くいないことが必要なようです。これについては福島医大などからさらに正しく詳細な情報提供が望まれます。
また、先月の放射線影響研究所の論文(広島・長崎)と同じように、「1年100ミリ以下は医学的所見がない」というような表現が不適切であることがわかります。事故直後は何らかの理由で、ウソを言った医師もすでに1年以上も経っていて一人ひとりの日本人が自らの生活を決めることができるのですから、本当のことを発言してください。
学会発表では討論の時に「ウクライナでは空間線量も食材の放射線量をはからないで「大丈夫」ということでしたが、日本では測定しましょう」という話になりました。放射線というのは目にも見えないし、感覚でもわからないので、機械で測定することが大前提です。
(平成24年5月30日)
(注)この情報は読者の方からご提供をいただきました。
--------ここから音声内容--------
えー、本日の原発短信ですけども、これはあの4月に行われました第100回日本泌尿器学会の発表のですね、中から読者にご連絡いただきましたものをご紹介いたします。
チェルノブイリの原発事故のですね、長期間の低線量被曝による膀胱病変ですね、これについて報告がありまして、前立腺肥大患者、ま、これはまぁ一般的に男性に多いことが判っておりますが、これの約6割が膀胱ガンになっております。
特に上皮内ガンて言うんでしょうか、非常に危険なガンが多くてですね・・・ええっと、キュリー(放射能の古い単位/記号Ci)表示のなかなか換算が難しいんですけども、大体およそ1年5ミリ程度、汚染地域であれば1平方メートル当たり4万ベクレル以上というか、昔の1キュリー(370億ベクレル)ですね。ま、そういったところで大体今の福島県の1/3ぐらい(の地域)に相当します。
ええっとあの、まだ研究は初期段階で、色々な研究が今後出てくると思いますが、成人男子であっても、低線量・長期間の被曝が非常に危険であるという事が判ります。前立腺の肥大を起こさない患者さんについての、また別のレポートも出てくると思いますが、何とかして長期的にはですね、福島の1/3の地域に長く住まないことが必要とも考えられます。これについてはですね、福島医大など福島県の医学関係者からですね、正確で詳細な情報提供が望まれるところであります。
ええっとあの、先日はですね、広島・長崎の被爆に関する放射線影響研究所の論文を紹介しましたが、「1年100ミリ以下は医学的所見がない」というような表現がウソであることは明らかでありまして、これはあの、もちろん昨年でも明らかで、「1年1ミリ」と決まってるのはデータがいっぱいあるからであります。それをまだ訂正しておりませんが、事故直後に何らかの理由でウソを言った医師もですね、もう1年経ちましたので、やっぱりあの日本人は一人一人が自分の生活や人生を決める権利があるということを認めてですね、訂正をしていただきたいという風に思います。
またですね、この学会発表の討論・・・大体、学会発表っていうのはですね、発表の後みんなで、そこの教室にいる人で討論するんですが、「大変ですね」と言う声が出たり色々しましたけども、最後はですね、やっぱりウクライナっていうとこはあの、住民が空間線量も測らなかったし、食材も測ってないんですよね。「それで大丈夫」と言って住んでたときにこうなったということですので、「必ずこうなる」とかそういうんじゃなくて、やっぱりここでの第一の教訓は、やっぱり測定するってことですね。
空間線量も測定し、食品とかですね、その他のものも隠さずですね、また産地の偽装などせずですね、やっぱり日本人同士が助け合うんだと、こういう大きな事故が起こった後だから助け合うんだということでですね、ちゃんとした量を計算しながらやっていくということが必要だと思います。
放射線をやった方は全員ご存知のことですが、「放射線は目に見えない。感覚でも判らないので、必ず機械で測定する」っていうのが大前提になっておりますので、これも放射線関係者がですね、一般の人に説明するときに十分にそれを説明してもらいたいと、いう風に思います。
ま、文部科学省がですね、変な副読本作りました。「被曝しても大丈夫だ」とかですね、その副読本作った専門家ですね、この人たちはもう、「その副読本止めてくれ」と言っていただきたいですね。我々原子力をやっていた人たちにとってみればですね、「今度の事は本当に済まなかった」わけですから、そういう前提に立ってですね、せめて被害を最小限に抑えるということで努力をしてもらいたいと、いう風に思います。
(文字起こし by danielle)