なぜ、原発がダメなら「再生可能」なのか?(1) 世界との違い | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

なぜ、原発がダメなら「再生可能」なのか?(1) 世界との違い(5/25)



地球温暖化を怖がって「CO2を削減しているのは日本だけ」というのはすでに日本でもある程度、知られるようになった。また「温暖化すると南極の氷は減る」と思っている人が多いのも日本だけで、両方とも「環境省のウソ」によるもので、日本人の幸福より利権を優先する環境省の体質が良く現れている。



それと同じものが「原発がダメなら再生可能エネルギー」ということで、今でもアメリカの2倍である電気代をさらに2倍にしようとしているのが環境省だ。まず、私たちがごまかされてはいけないのは、「原発がダメなら再生可能エネルギー」と考えているのは日本だけで世界は「石油、石炭、天然ガス」を使おうとしている。



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この図は2005年に示された世界のエネルギーの状態だが、経済発展に伴って増えるエネルギーは「原子力、再生可能他」ではなく、「石油、石炭、天然ガス」なのである。この当たり前の現状と予想と、日本のマスコミの話題とがあまりにかけ離れているのを、日本人はどう思うのだろうか?



温暖化の時には、京都議定書の内容も、南極の氷、北極の氷について環境省を中心として伝える側に作為があったので、日本人がだまされたのは仕方が無いが、今回はデータはオープンになっている。それでも、日本人全体がまるで催眠術にかかったように「原発がダメなら再生可能」と短絡している。



今、石炭や天然ガスの火力発電所を急いで作り、日本がその国力にあった2億キロワットぐらいの発電容量まで行けば、電気代は2分の1になり、産業はまったく困らない。反対に太陽電池などをやると、電気は使えず、電気代は2倍(1キロワット42円=日本産業の破壊)になる。


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なぜ、こんなに簡単なことが日本社会でいきわたらず、報道は「原発がなければ再生可能」と言い続けているのだろうか? 太陽光発電はダメだが、その他の新エネルギーは悪くないものもあるが、今すぐ間に合うということを言えば、石炭と天然ガスだ。



第一の原因は「原発を再開するために、故意に高い太陽光発電や見込みのない再生エネルギーを出して、石炭や天然ガス火力をつらないようにしている」ということが考えられる。国を売っても自分の利権という時代だから、このぐらいのことは考えるかも知れない。



第二は、日本人はあまりに自信が強すぎるのではないか?とも思う。いくら「日本独自」と言っても諸外国の動向とその理由を考えずに、井の中の蛙のように自分だけの考えにとらわれるのは奇妙である。「日本だけ」というシリーズを整理しているが、日本だけの良い面と「日本だけ」というのを使い、多くの人が英語を読むのがイヤな国民性を利用して利権を狙っている可能性もある。



あれもこれも、これも「税金がありすぎて、配る余裕があるから」だから、そんな中で消費税の増税が議論されていることも日本の指導層の公平性が失われているように思う。最近、テレビの政治討論番組がおもしろくなくなったと感じるのは私だけだろうか?

(平成24年5月25日)




--------ここから音声内容--------




テレビを観ますと、今日本では原発をやらないならもう再生エネルギーだと、まあいう事で、再生エネルギーやると非常に時間も掛かるしお金も掛かるという事で、それじゃあ原発をやろうかと、こういう様になってます。しかし本当におかしな事ですね。





10年ぐらい前、地球温暖化という問題がありましたけれども、その時にですね、環境省が2つの大きな嘘をつきました。まあこれは嘘という言葉が良くないんですけども、ハッキリとした、まあ、故意の嘘なんでですね、やっぱり嘘と言った方が良いと思いますが。えー、CO2を削減しているのは現実的に日本だけである、という事も隠しましたし、温暖化が起こると南極の氷が増えるという報告(IPCC)なのに(氷が)減るという風にですね、えーっと解説したと。(環境)白書に書いたという事ですね。この2つ、大きな嘘でした。





それから現在でもですね、例えば原発が駄目なら再生可能エネルギーと、まさにそれしか無いような事を言っておりまして、太陽光発電をやりますと、今でもアメリカの2倍の電気代を更に2倍にするという、そういう事に力を入れているのが環境省であります。





ただ私たちがですね、原発が駄目なら再生可能エネルギーと、言うのに誤魔化されてはいけないという事ですね。原発を反対されてる多くの方が割りあいと環境を大切にするという事を利用したですね、かなり作戦的なものであるという事ですね。




この図を示しますが、これはあの、世界の一次エネルギー消費、つまりどういうエネルギーが今後使われて行くかという事ですが。原子力も無いわけじゃありませんし、再生可能エネルギーも伸びない訳ではありません。しかし、ほとんどの部分は石油・石炭・天然ガスの伸びで賄うというのがですね、まあ少なくとも2030年までの世界の考え方なんですね。これを100年後まで伸ばしても同じであります。





そういう事でですね、原子力と再生可能エネルギーの他は無いという日本の風潮ではなくて、ほとんどの国はこれから伸びるもの、これから増えるものは石油・石炭・天然ガスなんだという事です。この非常に当たり前なグラフが紹介されない訳ですね。これ(が)紹介されないのは勿論、温暖化の時と全く同じで、えー、日本を騙す、と。





ところが日本人はテレビである程度やりますとですね、それから朝日新聞とか、そういった新聞を初めとして同じような記事が続きますと、まあ、今のところまるでですね、私に言わせると催眠術にかかった様に『原発が駄目なら再生可能エネルギーだ』という風に短絡をしております。





で、実はその、電気が足りないという事もですね、脅しの1つに入ってる訳ですが、日本は電力の独占体制によってですね、先進国では稀に見るぐらい、1億2000万(人)で非常に先進的な生活をしてる割にはですね、現在1.8億キロワットと非常に少ない訳ですね。





ですからこれはやっぱり(消費量を)倍にして、電気代を1/2にするというような事が必要で、こうなりますと産業界も困らず、雇用も増え、(良く)なる訳ですから、逆に太陽電池なんか使いますと電気は減らさなきゃいけない、電気代は2倍になるっていう事で、本当に困る生活になります。





まあ今日テレビ見てましたら、『節電も良いよ』と、『何で良いのか?』と言うと、『産業が発達するから』。いや、節電するのは、家…家庭でありまして、それで得するのは産業だ、と。こういう議論をしておりましたですね。えー、まああの、他の新エネルギー悪くはないんですけども、それよりか今すぐ間に合うという点では、石油・石炭・天然ガスなんですね。





まあ私がこのような世論が日本で出来るのは、まず第1に原発を再開するために故意に値段の高い太陽光発電とか、見込みの無い再生可能エネルギーを出して、それで石炭とか天然ガスの火力発電を造らないという、酷い事ですね。『国を売っても自分の利権』という、そんな感じです。





第2には日本人があまりに自信が強いというか、まあ日本独自というか、これだけ世界の風潮が石油・石炭・天然ガスにも係わらず、日本だけは別だと、日本だけは偉いんだという、この考え、もう1回ちょっと考え直す必要があると思いますが、私はこれらの事が起こるのはですね、当然、税金が有り過ぎて政府が配る余裕が有り過ぎるんですよ。





えー、今日、文部科学省の大学の組織改革も見てましたけども、まぁ本当にですね、しょっちゅうしょっちゅうですね、システムをいじるんですね。それごとに日本の大学は悪くなって行くんですが、何で悪くなって行くような事をやるかって言うと、文部科学省に人が多すぎるんですよ。仕事をするために次々と変な物を出して来ますね。





えー、これもいつか機会がある時にお話しようと思いますが、本当にこう、日本の教育を利用して自分たちの利権を獲るという、そういうやり方が続いておりますが、これは環境省も一緒で。やはりですね、日本の公平性というのが失われつつある、と。最近テレビの政治討論番組を観ても全然面白くないんですが、これは私だけでしょうか。やっぱりこれだけですね、何て言いますか、嘘が入ると、やはり人間は面白く無くなるんではないかと、こんな風に思いますですね。ちょっと暗くなりましたから、次の話題ぐらい明るいので行きたいと思います。


(文字起こし by まあ)