(速報)北九州報告・・島田市と併せて (5/25)
(思想を含まず、科学的に整理しました)
北九州市で瓦礫が焼却されました。前後の線量率変化を整理してみます。まず観測点1では、次のようになったようです。
焼却開始前の線量率 北九州市民家 最低0.05―平均0.06―最高0.09μS/h
2012年5月23日から24日 日明焼却場で瓦礫焼却
同年 5月24日から25日 新門司焼却場で瓦礫焼却
焼却後線量率 北九州同一箇所 最高0.14μS/h
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北九州市はやや自然放射線が高いところですが、福島原発事故前は0.04μS/hだったと推定されます。従って、事故後、いろいろなものが運搬されて約1.5倍になっていると思われます。それに今回、瓦礫を焼却したので、データからはさらに少し上がっています。推定では2倍程度になったと考えられます。
すぐ逃げなければならないということはありませんが、瓦礫の焼却は中止した方が良いでしょう。
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一方、他地区に先行して瓦礫焼却を行った島田市ではセシウムの漏洩が見られています。
この表は実測を元に島田市の方が計算したもので、瓦礫の中に含まれるセシウム137が34.3万ベクレル、そのうち、最終的に無管理状態で空気中に飛散したのが11.2万ベクレルで、捕捉率は32.7%で、瓦礫の中に含まれていたセシウムの約3分の1が島田市の大気に出ています。
一般ゴミの場合の固形物の捕捉率は99.9%ですから、セシウムが捕捉しにくいことがわかります。セシウム134はこれより少し少なく、ストロンチウム、プルトニウムは測定されていません。
また、島田市の瓦礫焼却による島田市の空気中の放射線量については、京都大学の方が測定を行っており、次のグラフが公開されています。
これによりますと、島田市の松葉に付着した放射性セシウム量は焼却によって平均1キログラムあたり3ベクレルほど上昇しています。牧之原市、静岡市については変化が少なく、ハッキリはわかりません。
以上のことから、島田市においても瓦礫の焼却を続けると汚染の拡大が心配されます。特にセシウムの他にストロンチウムやプルトニウムを含むものが東北の海岸線などからもたらされた場合の影響はまったく不明です。
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瓦礫の中には放射性物質が含まれており、受け入れ瓦礫ばかりで無く処理プラント(放射性物質を取り扱う許可を得ていないプラント)内で1キロ100ベクレルを超えることは法律的に認められていません。従って、北九州市も島田市も法律違反であることは間違いありません。
文科省が公開している1キロ100ベクレル(正式には1年10μS/h)を超えるものを扱った場合の罰則を文科省の図をそのまま示しておきます。
このように「福島原発以前」なら、北九州市長も島田市長も懲役か罰金になる可能性のある行為ということになります。今朝、テレビを見ていましたら、「瓦礫の搬出に反対する人は論理的ではない」との発言がありましたが、その理由は「測定しているから」ということですが、測定値を見ると「法律違反」ですから、「お上が測定しているから、庶民は文句を言うな」というのでは封建主義のようなものです。
瓦礫を引きうけるとその土地が汚染されるのは当然で、「東北の人の恩に報いるために、自分たちの子どもを被曝させる」ということですから、まさに「国のために死んでくれ」を連発した戦争前に戻ったようです。
なお、福島のお母さんは「自分たちの苦しみを他県のお母さんに経験させたくない」と瓦礫の搬出に反対しています。誰のために、何のためにやっているのか、市長の腹の中が見えるようです。
(平成24年5月25日)
--------ここから音声内容--------
えー、北九州市でですね、瓦礫が焼却されまして大変にみなさんが心配しております。これが心配するべきかどうか、これについてですね、整理をいたしました。整理はですね、全く科学的にしておりまして、瓦礫の焼却が良いとか悪いとか言うことの前にですね、まずデータだけを整理をして、その後また全体的に考えるという方法を採っております。
えー、常に科学は事実を整理し、それを整理してそれから自分の考えを決めていく、という手順を採りますので、両方の方がおられると思います、「瓦礫を引き受けるべきだ」と言う人と、それから「瓦礫は嫌だ」と言う人がいると思います。私はどちらの立場も取っておりませんので、これをまず断っておきます。
ええと、焼却開始前の線量率、これは北九州市の一般の市民の方からのご報告ですが、最低0.05μS/h、平均0.06μS/h、最高0.09μS/hぐらいでした。5月23日から24日にかけて1回、次の日に2回、と2回焼却をしております。約、量は80トンぐらいだと記憶しておりますが、焼却後の線量率は0.14μS/h程度が見られておりまして、上昇してるようです。
元々北九州市はですね、自然放射線がやや高くて0.05、1時間当たりマイクロ(シーベルト)ぐらいだと思いますが、事故後、色んなものが北九州市に運び込まれておりまして、大体1.5倍ぐらいになってると思われます。これは名古屋市でもそうですし、全国的にやや高くなっております。今度ですね、瓦礫を焼却したのでデータは更に少し上がっておりまして、推定ではまだデータがハッキリしませんが、この測定データでは2倍程度になっております。
従って、すぐ逃げなければならないということはありませんが、瓦礫の焼却は中止した方が良いと思います。また、自治体は積極的に・・・ええと自治体はですね、焼却炉の煙突から出たものがどこに着地するかというのはちゃんと計算していますので、着地点付近については詳細にデータを公表する必要があると思います。
それからこのデータの、北九州の瓦礫の焼却に非常に役に立つのがですね、島田市に於ける先行した実験でありますが…焼却でありますけども、ここでもあのセシウムの漏洩が・・・漏れております。これについてはかなり詳細に事実が判っとりまして、北九州市は瓦礫を焼却したばかりでありますが、島田市は相当前に試験焼却をしましたもんですから、データがかなり整理されとりまして。
焼却プラントの中ですと、投入した瓦礫の中に含まれるセシウム137の放射線量は34万ベクレル・・・34.3万ベクレルであります。この内、焼却炉の下に出てくる溶融スラグは、ほとんどセシウムが含まれておりませんで、ガス側と言いますか、溶融炉の上部の出口から33.7万ベクレルが出まして、この主な行き先はですね、集塵機の入り口に32.1万ベクレル達しまして、それが最終的には灰の方に20.9万ベクレル、それから排ガスの方に11.2万ベクレルが出ております。
ええと、最終的に外に出た20.9万ベクレルについては管理状態にあります。これが8000ベクレルで良いってことはありませんが一応、環境省は8000ベクレルと言っておりますが、ま、それに当たります。しかし、排ガスの方に11.2万ベクレル出まして、これは島田市の中に飛散をいたしました。
この効果について、京都大学の方で測定をしておりますが、その結果を見ますとですね、島田市とかですね牧之原市、静岡市にあります松の葉を採ってですね、そこに含まれるベクレル数を測定するという方法を採っておりますが、島田市では5地点の測定があり、その内の4地点で有意な上昇が見られます。大体平均して1キログラム当たり2から3ベクレルの上昇があります。
従いまして、当然のことですけども放射性物質を燃やしたわけですから、その放射性物質は煮ても焼いても無くなりませんので、島田市に持ち込まれた瓦礫の放射性物質は、島田市をそれだけ汚染したということになりまして、やはり気を付けなければいけない状態であるということは判ります。
それからこの全体にですね、北九州市および島田市両方とも「セシウムだけ」でありまして、ここでは島田市はセシウム、それから北九州市はセシウム137だけを取り上げておりますが、今のところストロンチウムやプルトニウムは測定されておりません。
ええっとですね、今回の放射線の・・・福島原発の事故では、海に相当数のストロンチウム、プルトニウムが流れたと思われ、海岸線に積んである瓦礫にですね、海水などが打ち上げた場合、どの程度のストロンチウム、プルトニウムがあるか?ということについてはですね、瓦礫搬出の前に、国とか公共機関が責任を持って測定をするべきだという風に思います。
ところで、ええと、この量というのはですね、再々このブログでも指摘しておりますが、法律に違反する量でありまして、簡単に言うと低レベル放射線廃棄物でありますから、放射性物質を取り扱う許可を得てるプラントでないといけません。そいから、受け入れる瓦礫が1キロ100ベクレル以下であってもですね、プラント内で・・・つまり、放射性物質を取り扱う許可を得てるプラントは良いんですけども、そうじゃないプラント内ではですね、どこでも1キロ100ベクレル超えてはいけません。
例えば、灰でも同じですね。つまりそれは放射性物質を取り扱う許可を得てませんから、例えば主任者もいないし、管理体制も無いし、どこにどのくらい増えたか判らないわけですから。ま、例えば燃やしてみたら、灰がうっかり8000ベクレルじゃなくてもっと超しちゃったとかですね、そういうことあるわけですから、ですからダメなんですね。放射性物質を取り扱う許可を得てるプラントっていうのはちゃんと主任者がおりまして、測定装置が整えられて、外部に出ないようになっているっていうのが全部整っております。
知識人の方で「瓦礫の焼却は良い」と言っておられる方がおられますが、知識人でですね、ある程度マスコミとかそういうところで発言される方はですね、一応、その放射線のこれまでの取り扱いについて勉強されてから発言して欲しいと、私思います。意見の違いはあって構いませんが、その法律を読まれないで議論するというのは問題であります。法律って言うか、そういう放射性物質を取り扱うプラントとか、そういうものの中身を知らないといけません。
一応、ここでは一個だけ貼っときますが、これは文部科学省の1キロ100ベクレル以上のものを扱った人に対する罰則でありますが、1年以下の懲役、100万円以下の罰金でありまして、この図は文部科学省が作ったものをそのままここに貼ってあります。従って、北九州市長も島田市長もですね、きちっと説明か何かしない限りはこの罰金の対象内にあると考えられます。
今朝、テレビではですね、「瓦礫の搬出に反対する人は論理的ではない」という発言があり、その理由は「測定している瓦礫だからいいんだ」ということなんですが、測定値そのものが「法律違反」でありますので、「お上が測定してるから、庶民は文句言うな」と言うのではですね、これは封建的になってしまいます。
瓦礫を引き受けるとその土地が汚染されるというのは当然のことで、論理的にも当然ですし、このデータでも当然ですが、「東北の人の恩に報いるために、自分たちの子供を被曝させる」という論理ですけども、これはですね、「お国のために死んでくれ」ということを連発した戦争前に戻った論理であります。しかも福島のお母さん方はですね、色んなところで、ま、公式のブログもありますが、「自分たちの苦しみを他県のお母さんには経験させたくない」ということで、瓦礫の搬出に反対しとります。
それでは誰のために、何のためにこの瓦礫の搬出をやり、日本列島全体を汚染されているのか?、政治家の腹の中がまるで見えるような気がいたします。政治家は庶民の代表でありますので、ここのところをよくもう一回お考えになってですね、せめて瓦礫を引き受けたら、「この市はどのくらいベクレル数が上がるか?」 「マイクロシーベルトの被曝が増えるか?」ということの宣言をして、ガイドラインを示して実施するべきだと思います。
えー、それからですね、「大丈夫だ」という名前の下に測定値が無いということは、この放射線関係では非常に厳しく禁止されている行為であるということも、よく理解する必要があると私は考えます。これについては放射線の専門家がよく知ってることですから、その方々も大いに声を上げてですね、もらわなければいけないと思います。
(文字起こし by danielle)