議員定数削減は何をもたらすか?・・・税金を減らすには | お手伝いさんたちのブログ

お手伝いさんたちのブログ

中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

議員定数削減は何をもたらすか?・・・税金を減らすには(3/15)


2年ほど前だっただろう。「事業仕分け」という奇妙な名前の作業があった。誰が発案し、誰が名前をつけたのだろう? 最初からトリックと判っていて巧みに利用し、しばらくの間、「事業仕分けをすれば、増税無し、高速道路無料化ができる」と錯覚させられた。



「事業仕分け」とは上手いコピーをしようしたものだ。大衆心理学を極めた人がめいめいし、大いにマスコミに宣伝したのだろう。毎日流れる仕分け会場の映像にすっかりダマされてしまった。



どんなものでも膨大な集団やものごとがあると、「例外」や「ムダ」が存在する。それはいわば物理法則のようなもので、そのムダを除くと今までムダでは無かったものがムダになる。



つまり「税金のムダを省く」という一見、まともな標語は、実は「膨大な数のもので必然的に生じるムダ」を意味しているのか、それ以上のムダがあるのかによって全く異なる。



また事業仕分けでは、「なにを仕分けするか」が最も大切なのに、それを官僚任せにしていたことも明らかになり、今では事業仕分け自体が茶番劇であり、一応、ムダを省く素振りを見せて増税に進むということになった。



そこでさらにごまかしが行われようとしている。それは「議員定数の削減」である。たしかに日本の議員は数が多く、報酬も高い。だから個人的にはなんとなく嫉妬心がわいて攻撃の対象にしたくなる。でも私たちの目的は「税金を減らすこと」であり、議員定数の削減は金額的には無視できるものであり、議員が減って喜ぶのは税金を増やそうとしている官僚であることを考えると、またダマされかかっている。


・・・・・・・・・



税金のムダ使いの筆頭は「官僚が経営の力がないのに、補助金をばらまいて損ばかりしている」ということだ。軍事・福祉や教育という分野はもともと収益を生まないから損ばかりしていても良いが、年金の運用、意味のない温暖化排出権購入、太陽電池補助金、大型工業団地、レジャーランドなどおよそ中央官庁が音頭をとったビジネスで成功したものはほとんどない。



つまり、税金をドブに捨ててきたことを止めなければならない。そうすれば最大で税金(赤字国債を含む。赤字国債は将来の子供たちが税金で払うものだから)は半分になるのは確実だ。


お手伝いさんたちのブログ

その証拠の一つとして、赤字国債の発行状況を示した。今では「国債を出すのは当然だ」というような感じだが、もともと「税金」というのは国民からお金を取り上げるので、国会での承認を必要とする。増税は多くの場合、なかなか国会で認められない。


ところが「国債」となるとなんとなく「返ってくるお金」という感じがするので、良いじゃないかということになるが、国の仕事の94%が赤字だから、国債費がその事業の収益で還元してこないので、結局、国民が税金で払うしかない。



よくギリシャの国債は外人が買ったので破綻したが、日本の国債は日本人が買っているから破綻しないというが、これは国の経済が破綻するかどうかを言っているだけで、国債の負担が国民の税金でまかなわれるということを言っているのではない。これも「政府に有利に言えば利益になる」という御用専門家が紛らわしいことを言っているだけだ。


・・・・・・・・・


減税の第一段階は補助金などの国の「ビジネス」を止めて国債をゼロにすること、第二に軍事、教育などのように国でなくてはできないことだけを国がして、役人の数を2割程度削減することである。



ダマされる国民も問題と言えば問題だが、自分の利益を考えて政府よりの発言をする御用専門家が多いので、「増税やむなし」、「議員定数削減」などまんまと税金を増やす深慮遠謀に引っかかる。



それより単純に日本人の誠実さを求めて、「公約に反することをするなら解散」の方が単純かも知れない。


(平成24年3月15日)



--------ここから音声内容--------



民主党政権ができたころですから、えー、今から2年ぐらい前でしょうね。事業仕分けという非常に奇妙な名前の作業がありまして、ま、誰が発案したのか、ま、これがまたなかなか面白いですね。誰が名前つけたんでしょう…さらに面白いですね。




最初からこれはトリックだ、と巧みに利用して、えー、事業仕分けをすれば、税金の無駄が見つかって、それがなくなり、増税はいらない。高速道路無料化とかいろんなことができる、という政策を無理やり錯覚させられましたね。いやぁ、実に事業仕分けという言葉の響きなんか、うまいコピーですね。えー、大衆心理学かなんか知りませんが、それを利用した人が作り、それにマスコミの宣伝を乗せて、ま、毎日テレビで仕分け会場の映像を映す、ということで、まぁすっかりだまされました。えー、現在では、んー、増税増税の一本槍でありまして、このごろではもう増税を支持する人がなんか多いという、とても変な具合ですね。





えー、実はあの、どんなものでも大きな集団がありますとですね、例外とか無駄が存在するわけです。これはね、あの、無駄をゼロにできないんですよ。物理法則みたいなもんですね。えー、10000個あって無駄が100個あると、100個の無駄をなくすとまた無駄が100個出てくる、と…まぁこれ有名な話ですね。




えー、つまり税金の無駄を省くってのは一件まともなような(に)思うんですけど、実はですねトリックなんですよ。おそらくこの事業仕分けというのを考えた人は、よーく頭のいい人だと思いますね。膨大な数のもので、必然的に無駄は生じる、と。しかし必ず無駄がある、と。で、その無駄を、例えば「なんとかかんとか会館は無駄だ」とか言ってですね、それに焦点合わせてそれをなくすと、手柄になりますね。しかし10年後には同じような無駄がまた生じるわけですが、それはまぁいい、と。政治である、と。ま、ということなんですね。





で、もう一つは、ま、具体的にはですね、何を仕分けするかってのは問題なわけです。その仕分けする項目を官僚に任せたっていうのがあってですね、そりゃあまぁ官僚としては「もうそろそろやめたいな」というものを、まぁ上げますからね。そうすると一応無駄を省いたそぶりを見せて、増税に進める、と。ま、シナリオ通り行ってるってことですね。





えー、選挙当時にですね、もう「絶対増税しません」 と大きな声で言ってた幹部の方々が、みんな「増税は絶対必要である」と、まあいうふうになったってことはほんとに不思議ですね。あのころ、自民党にいてですね、えー「増税は必要だ」と言った人は、どういう気持ちでしょうね。「いやぁ、ごまかされた」と。「しかし国民もよく、けっこうごまかされるな」っていう感じでしょうね。





しかしさらに今ごまかしが行われようとしてるんです。これは議員定数の削減ですよ。確かに日本の議員は数が多くて報酬も高いので、まぁ庶民から言えばなんとなく嫉妬心がわいて「なんで500人いるんだ」とか「なんで1億円も取るんだ」ってありますよね。だけど私たちの目的は税金を減らすことであって、もしくは増税しないことであってですね、議員定数の削減なんか金額的には無視できます。





それから議員がやっぱりうるさいんですね。官僚にとっては議員はとても困る存在で、それが減って喜ぶのは税金を増やそうとしている官僚であることを考えると、また今テレビを見てますと、だましにかかってるなぁっていう感じがしますね。私はですね、あー、もちろん税金の無駄づかいの筆頭っつぅのは、官僚に経営能力がないのに、補助金をばらまいて損ばかりしているわけですよ。





だいたい、えー、国家っつうのは、軍事とか福祉とか教育っていう元々収益を生まないものばっかやってるわけで、まあ、そういうことをやるような組織になってる官僚がですね、年金の運用で大失敗するし、意味のない温暖化の排出権をまぁ…1兆円ずつ使って購入したりですね、まぁ太陽電池の補助金を出したり、ま、昔は大型工業団地とかレジャーランドとか、もう…ぺんぺん草生えるようなものを作る、と。当たり前です、この中央官庁が音頭を取ったビジネスで成功したものないですよ。ま、組合みたいにですね、民間の企業が主体となってやるやつは成功したやつありますけどね。





つまり、こう…税金をドブに捨てちゃいけないわけです。それを、あの、事業仕分けとかそういうんじゃないんですね。でもそれはもちろん赤字国債をなくすること(が)まず最初ですね。っていうのは、あの、国債ってのは今ではもう当然のようになってるんですけども、元々国債っていうのはですね、あのー、もう許されない、まぁ…ものでもあるんですよ。っていうのは、税金っていうのはまぁ非常に大切で、国民からお金を取り上げるわけですから、国会の承認がいる。まぁ有権者はなかなか「うん」と言わないので、政治家も慎重になる。





ところが国債になるとなんとなく返還される、とそういうふうに思うんですね。ですからあのーいい感じがするんですけども、国の仕事ってのは94%赤字ですからね。えー、国債を使って事業をやったら戻ってこないんですから。結局国民が税金で払うしかないんですね。





ここでもまたえー、目くらましが出てくるんですよ。「ギリシャの国債は破綻したけど、日本の国債は日本人が買ってるから破綻しない」。もちろんこれは国の経済ってのは破綻しないってことです。家の中でオヤジが息子に金貸してるっていうようなもんですから、まぁ、破綻しないんですが、ただ、それを返すのは僕らの子供の時(時代)の税金だっていうことですね。





えーまぁそういうことで、政府はですね、税金というめんどくさいのをはずして、国債というものでやって、後に、その…国債費を払えないから増税するって…今そうですね。国債っての(を)なんで出したんだって言いたくなっちゃうんですけど、国債出す時は「税金に関係ありませんよ」って出して、出してしばらくたつと「えー、国債が返せないから増税します」っていう、こういうことですからね。





これを前向きに言いますと、減税する第一…まぁ今増税が問題になってますから、減税っていうことないんですが、減税の第一段階は補助金による国のビジネスをやめるっていうことです。これ大事で。それから軍事とか教育のように国にしかできないものは国がして、できるだけ減らして…役人を…まぁ二割程度削減。だまされる国民も、まぁ問題っていや問題ですが、やはり御用専門家でしょうね。「増税するのは仕方ない」とか、「議員定数を削減するのが先だ」とか、えー、まんまと税金を増やすですね…深慮遠謀(しんりょえんぼう…遠い将来のことまで考えて周到にはかりごとを立てること)にひっかかっちゃうんですね。





まぁ、日本人は非常にあの…素直でおとなしい民族ですから、えー、それが「そうかな」って思ってしまいますが、私は、えー素直で誠実だという点では、もう一歩下がってですね、単純に行ったらどうでしょうか。えー「公約に反することなら解散」。ま…こう言い続ける、と。えー、とにかく増税しないと言って政権を取ったわけですから、増税する時はもちろん一回解散する、と。…まぁいうことが正しいのかもしれません。えー、その時にはもう国民は実は、議員定数を削減すりゃいいっつって、あの…洗脳されてるかもしれませんけど、まぁこれは仕方がない、と思います。